★今日の問題★

 被保佐人が「元本を領収し、又は利用する」ためには、保佐人の同意を要するが、例えば、どういう行為がこれに該当するか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「まず、これは次の条文の話だな? 」

民法
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

建太郎「民法第十三条1項一号、元本を領収し、又は利用すること。これだな」
胡桃「じゃあ、例えばどういう行為がこれに当たるのかということよ」
建太郎「ええっと、元本を領収するだから、要するに借金を返してもらうことだろ」
胡桃「そうね。じゃあ、もっと細かく見るわよ。100万円貸していて、5万円の利子を付けて返してもらう約束だったとするわ」
建太郎「うん」
胡桃「借りた人が、5万円の利子を先に返すわ。と言った場合は、これを受け取るのに、保佐人の同意を要するのかしら? 」
建太郎「えっ。必要なんじゃないの? 」
胡桃「ブー。間違いよ」
建太郎「えっ。そうなの? 」
胡桃「条文に、元本を領収しとあるでしょ」
建太郎「あっ。元本か。ということは、100万円を返してもらう場合は、保佐人の同意が必要だけど、利子だけ受け取る場合は、保佐人の同意が必要ないと」
胡桃「そうよ。利息領収は、これに該当しないため、保佐人の同意が必要ない。ということね。ちなみに、賃貸物件を貸していて、賃料を受け取る場合も、同じように考えるのよ」
建太郎「賃料を受け取るのに、保佐人の同意が必要ないわけだな」
胡桃「そうよ」

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