毎日一分で読める民法判例問題41
★今日の問題★
宅地に設定された抵当権の効力は、植木および取り外しの困難な庭石等には、宅地の構成部分になるから当然及ぶ。しかし、特段の事情のないかぎり、石灯籠および取り外しのできる庭石等には及ばない。正しいか?
胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」
建太郎「おう」
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
6秒
7秒
8秒
9秒
10秒
胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと。これは、主物、従物の問題だな」
民法
(主物及び従物)
第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2 従物は、主物の処分に従う。
建太郎「この規定の従物に該当するかどうかということだな」
胡桃「そうね。石灯籠および取り外しのできる庭石等が従物だということになれば、宅地に設定された抵当権の効力が及ぶということになるわけね。じゃあ、どう考えたらいいかしら? 」
建太郎「確か、石灯籠および取り外しのできる庭石等は、従物でいいんじゃなかった」
胡桃「判例を確認するわよ」
石灯籠および取り外しのできる庭石等は根抵当権の目的たる宅地の従物であり、植木および取り外しの困難な庭石等は宅地の構成部分であるが、従物は本件根抵当権設定当時宅地の常用のためこれに付属せしめられていたものである。
そして、本件宅地の根抵当権の効力は、構成部分に及ぶことはもちろん、従物にも及び(大判大正八年三月一五日、民緑二五輯四七三頁参照)、この場合根抵当権は本件宅地に対する根抵当権設定登記をもつて、その構成部分たる物件についてはもちろん、抵当権の効力から除外する等特段の事情のないかぎり、民法三七〇条により従物たる物件についても対抗力を有するものと解するのが相当である。
そうとすれば、根抵当権者は、根抵当権により、物件等を独立の動産として抵当権の効力外に逸出するのを防止するため、物件の譲渡または引渡を妨げる権利を有するから、執行債権者に対し、物件等についての強制執行の排除を求めることができる。(最判昭和44年3月28日)
建太郎「うん。石灯籠および取り外しのできる庭石等は、従物であり、抵当権の効力が及ぶということだな。設問は間違いだと」
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