毎日一分で読める民法判例問題48
★今日の問題★
現代において、入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する旨の入会部落の慣習に基づく入会集団の会則は有効であるが、入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする旨の入会部落の慣習に基づく入会集団の会則は無効である。
胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」
建太郎「おう」
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
6秒
7秒
8秒
9秒
10秒
胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと。これも公序良俗の問題なのか」
民法
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
胡桃「そうよ。ものすごい古い慣習が残っているわけだけど、現代でも、その慣習は通じるのかということね」
建太郎「ええっと。慣習がある場合は、慣習が優先するんだっけ」
民法
(任意規定と異なる慣習)
第九十二条 法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。
胡桃「そうよ。任意規定であれば、慣習を優先することになるわね。ただ、慣習を優先するにしてもその慣習が、公序良俗に反するのであれば、その慣習も無効になるのよ」
建太郎「なるほどな。ということは、設問の慣習も公序良俗に反するかどうか考えろということか」
胡桃「どう考えたらいいかしら? 」
建太郎「うーん。世帯主に限るというのは、堅苦しいけど、まあいいとして、女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとかいうのは、今の時代では理解できないよな」
胡桃「そうね。判例も次のように述べているわ」
判例も、入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分は、現在においても、公序良俗に反するものということはできない。としている。
それに対して、後半の「入会権者の資格を原則として男子孫に限定し、同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分は、遅くとも平成4年以降においては、性別のみによる不合理な差別として民法第九十条の規定により無効である。」としている。(最判平成18年3月17日)
建太郎「うん。ということは設問は正しいんだな」
胡桃「そうね」
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