★今日の問題★

権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしようとしている。
この場合において、構成員でない第三者が登記名義人となっているときでも、当該第三者個人を債務者として、不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることができる。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと、ややこしいな。債権者は、権利能力のない社団の不動産に対して強制執行しようとしているんだよな」
胡桃「そうよ」
建太郎「でも、その不動産の登記名義人は、構成員でない第三者だと」
胡桃「そうね。要するに、その第三者は、権利能力のない社団から委託されて、不動産を管理しているような関係だと思えばいいわ」
建太郎「おう。それで、債権者は、その第三者個人を債務者として、不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めようとしていると」
胡桃「そうよ」
建太郎「債務者は、権利能力のない社団なんだろ。その第三者個人を債務者とするというのはおかしくないか? 」
胡桃「そうね。この問題の正誤を判断するだけなら、その考え方でいいわ」
建太郎「おう。じゃあ、設問は間違いだと」
胡桃「そうね。ちなみに、このような事例では、どのような手順を踏むべきかということは、民事執行法の話になるけど、参考までに、判例の考え方を確認しておいてね」

 強制執行の対象となる不動産について、第三者が登記名義人となっている場合は、社団の財産であるかどうかを確認する手続きが必要になるとされている。
 次の判例の通りである。

 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしようとする場合において、上記不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、上記債権者は、強制執行の申立書に、当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか、上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきであり、上記債務名義につき、上記登記名義人を債務者として上記不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。(最判平成22年6月29日)

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