宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-36
侠元保志こと宅本保志は、特別受益者であるので相続人の資格を得ていたとしても相続分がないこと。既に家庭裁判所の審判により廃除されていること。が記されていた。
「特別受益者か……」
「建太郎。意味分かるわね? 」
胡桃が探るような眼差しを向けてきた。建太郎はうなずくと、胡桃が持参した六法を開いた。
民法
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
「要するに、特別な贈与や遺贈を受けた場合は、その相続人の法定相続分は少なくなるってことだろ? 遺贈については、遺言書に記載されている額をそのまま反映させるけど、特別な贈与――つまり生前の贈与については、『婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として』受けたものに限られる」
「そのとおりよ。それから、特別受益と混同しやすいものとして、寄与分があるわ。これは何か分かるかしら? 」
民法
(寄与分)
第九百四条の二 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、法定相続分の規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4 第二項の請求は、遺産の分割請求があった場合又は相続の開始後に認知された者の価額の支払請求がなされた場合にすることができる。
「ああ。分かるよ。被相続人の事業に貢献したとか、面倒を見ていた者は、他の相続人よりも多くの財産がもらえるってことだろ」
「そうね。尤も、単に被相続人の会社で働いていたとか、親や配偶者の療養看護をしていただけではだめで、特別の寄与と言えるレベルのものである必要があるわ」
「ほとんど認められることはないってことだよね? ちなみに、宅本伯父さんの場合は? 」
建太郎が琴美に顔を向ける。
「宅本前会長の事業に貢献したと言える相続人は一人もいません」
「だろうな……」
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