ひらマンの感想をまた書こうと考えた話

10月に書いたこととその後

私こと葉野は10月にこのような投稿をしました。

長いので要約すると、

投稿作品すべてに感想(私の場合は1ツイートぶんでしたが)をつけるのを少しやってみたが、やめる。
理由① 他に質量ともにすばらしい感想を書かれている方がいる中、自分の短く拙い感想は作者にも全体にも寄与しないのではと考えた。
理由② 自分でもマンガを描いてみたくなり、いまの自分のキャパシティでは制作と感想の両立は難しいと考えた。
これは聴講生としてというより自分はどうしたいかということを考え、マンガとの向き合い方を考えた結果である。

という感じです。

その後、内容通りに感想ツイートは基本的にやめ、講座を受講し、絵の練習をしてたまに描いたものをアップするという活動をこの3ヶ月近く行っていました。マンガを描いていないじゃないか、絵=マンガではないぞ、というご指摘があるかと思います。実はこの投稿のあと少しネーム作りに取り組んでみました。しかし、自分の場合、ある程度自分のイメージする絵が描けないとマンガを作る楽しみが感じられないなと気づき、しばらく絵の練習をしてみようという方針になったという事情でした。そして決してたいして上手くはないものの、描きはじめた秋から考えるとまあまあ絵っぽく描けるようになったかな?と感じていて、そろそろネームを作ってみようかなと考えているところです。

考え方の変化

そんな中、先日このようなツイートをしました。

このツイートの後、「気がしてきた」部分についてもう少し細かく考えてみようと思い、まず、ツイート内のリンクにあるさやわか先生の発言について内容を整理してみました。これは大塚陽也さんが、ご自身の

「自分はひらめきマンガ教室の作品に感想を書いているが、書くためのエネルギーが足りていないと感じており、このままでは感想と感想との間にインターバルが生じてしまいそうになっている。基本的に本人向けに感想を発信してゆく場合、どんな工夫をすればよいか」

という質問に対するさやわか先生の答えの部分です。
※発言の内容によって、話の前後を入れ替えている部分があります。

【マンガの性質について】
●大前提として、基本的にひらめきマンガ教室についての感想というのはなんでもいいと思っている。なぜなら、マンガを読んでいる時なんかそんなこと(感想)は考えない。マンガは立ち読みされたり、「なんかわかんないな」と思ったらすぐ読むのを止められたり、読み飛ばされたりする「速度のメディア」。そこが大事。●「他人のものになってしまう」ということが漫画の本質。なので「自分のことが分かっていない」とか「お前に感想を言われたくて描いているわけではない」みたいなことを言う受講生がいるとしたらそれは間違っている。
●受講生にも「マンガはとにかく完成させないとだめだ」と言っている。受講生は課題が進むにつれてだんだん完成させられなくなっていく。それは、伝えるということがすごく難しいことだと気づいてくるから。
「マンガを描く」「時間内に完成させる」「読者のことを考える」の順番で難易度、そして重要度が高くなっていく。自分一人しか読者がいないのであれば1年で8ページしか描けなくてもかまわないが、そうではなく「確実に締め切りまでに誰か(読者)のもとに届けたい」という気持ちを大事にしなければならない。それがマンガであるという話。

【感想を書くという行為について】
感想を書こうとするとすごくエネルギーが必要だということはすごく重要なこと。なぜなら批評というのがそういうものだから。
●漫画に限らずだが「本人向けに感想を向けて発信する」という場合に、つまり本当にそこに読む人がいるのだと感じながら何かを書く場合に、なにかものすごい重さを感じるもの。だが書くことに責任を持つというのはそういうこと。
「ある事象を人の営みと捉え、それについて説得的に語る行為」というのが、自分の批評に対する定義。説得しなきゃいけない。つまり、どうかすると「面白くなかった」っていうことを説得しなきゃいけない。そのためには、ちゃんとした手練手管を踏まえなければならず、だから、ハードルが上がっていく。

【具体的な手法】
●今回のおたより(どんな工夫が必要なのか)への自分なりの返事は、ものすごく平たく言うと手を抜く方法を考えるということ。これは教室の受講生にも教えていること。どうやって手を抜くか考えるためには、まずしっかり書かなければならない。しっかり書いたうえで、手を抜く方法を考える。

自分はどう感じたのか

ひとつひとつの部分についていろいろ考えることがありますが、そうするとすごく長くなるので、焦点を絞って書きます。

重さ、伝えることの難しさというのはとてもよくわかって、まさにそれに注ぐエネルギーと他とを天秤にかけた結果、感想を中断したと言えます。描いた本人に読まれるというのはプレッシャーだし、本人以外でも他に見られるからには的外れなことは書けないという気持ちも働く。また、他にすぐれた感想を書く人もいる。そう考えていくとどんどん「きちんとしなきゃ」というふうになっていって、「きちんとできないから、やらないほうが自分にも周囲にもいい」となる。もちろん、自分でも描きたくなったというのも大きかったですが、それが両立できないと感じたのはそういう重さや難しさに耐えきれないなと感じたからだと思います。
こう改めて整理してみると、感想を書くときに悩むことというのは、マンガを描いている受講生の方々と同じような難しさを経験しているのかな、と気づきました。そして、「思ったような形で完成できないのであれば、断念するのではなく、どうしたら完成できるのかを考えるべき」という受講生への指導は、そのまま「きちんとできないならば、やめてしまうのではなく、どうすればできるかを考えるべき」という、感想を断念した自分への指導にもなっているな、とも。

ひらめきマンガ教室において感想とはなにか

ひらめきマンガ教室においては、受講生は課題ネーム、完成稿を提出し、それがサイト上で世界中誰でも見られる状態で公開されます。これについては特にここが大きなポイント!という感じで言われることもあまりなく、ひらマンは毎年そういうものだよね、という感じで受容されていますが、考えてみれば不思議です。マンガ教室であれば最低、受講生内だけが公開範囲でもいい。でも誰でも見られる。「ひらめき⭐︎マンガ教室」のサイトには、ネーム提出の段階について以下のように書かれています。

2、webにてネーム提出
正規受講生は、各回の7日前までに、課題に沿ったネーム(上限16ページ)と内容に関するアピール文(200字程度)を提出します。ネームとアピール文は、所定のフォームより、専用ウェブサイトにアップロードします(ネームのファイル形式については別途指示します)。提出されたイメージとテキストは、受講生以外でもアクセスできる状態で公開されます。一般読者の反応は以下の選考・講評で考慮されます。

一般読者の反応が考慮される、とあります。受講生以外でどれほど反応があるかは自分はよく把握していないのですが、ただ、感想、というのはここにあたるものとして考えればいいのかもしれないなと思いました。(講評で考慮されるかも、とかはとりあえず置いておいて)
教室では主任講師、ゲスト講師のネーム、完成稿講評があります。百戦錬磨の眼でもって、主に技術面について課題作品へのアドバイスが行われるそれはいわば「正解」のような位置づけと言えるのかもしれない。なので、感想を書くほうも、というか、他ならぬ私がそうだったのですが、「正解があるんなら、正解を知らない自分が下手なことは言わないほうがいいのでは」という意識が働いてしまうし、作者の側も「教室で正解を言われるんならいいけど、講師でもない人にいろいろ言われてもな」と思う人もいるかもしれない(勝手な憶測です)。
しかし、「講師」ではない、あくまで「よき読者」であろうとすれば、感想を書くにおいて「正解」との距離感を図る必要はないのかもしれない。そして、そういう捉え方ならば、書くことができるかもしれない。そう思ったのでした。

自分にとっての感想を書く必要性

そこまで考えるのは、やはり感想を書かないということについて自分としてはどこか「これでよかったのかなあ」という思いがあったことの現れだろうと思います。実際、感想を書かないとなると、忙しかったら課題作品にすべて目を通していない時もついあったり。受講の機会を100%受け止め切れていなくなっているのでは?という意識はありました。1年というのは決して短くない時間だし、せっかくの機会をもっと活かすべきではないかと。でも感想を再開させるのはなー、と思っていた年末年始にこういうチャンスがあったので、じゃあやってみようか、という気持ちになったというわけです。新年だし!というのもあるかもしれませんね。

また感想をかきます

というわけで、次回から感想ツイートを再開しようと思います。さやわか先生も実際に「1ツイートしか書かないとかね」と言っておられましたが、やはり自分にとっても時間的、エネルギー的に考えても(1ツイートのほうが必要になるという面もあるかもしれませんが)以前のように1ツイートにまとめるのが適当だなと思うので、同じ方法でやろうと思います。
ただ上記のように「再開するための考え方」を整理はしたものの、実際に書くことにおいてはまたいろいろ悩んだり、うまくいってなかったりすることでしょうが、やってみようと思いますので、よろしくお願いいたします。
もちろんマンガの練習も続けていきます。今度は両立できるように、そうできる方法をとりながらやっていきたいと思います。

相変わらず、勝手にせいやという感じですが、前回と同じく、ふーんそうなんだねという感じでよろしくお願いします。


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