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わかりやすい!中医学の基礎

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中医学を勉強してみたいけれど、難しそう・・・ 中医学初心者、本を読んでもよくわからない・・ そんな方に向けて、できるだけわかりやすく『中医学の基礎』を解説していきます。 中医…
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#中医学の基礎

わかりやすい!中医学の基礎 Vo.16〜腎の役割〜

腎の役割西洋医学では、『腎』は『尿を作る場所』『水分を調整する場所』と認識されていますが、中医学では生命の根本に関わるとても大切な臓と位置づけられ、『成長や発育・老化に深く関わる臓』だとされています。 体の中の水分(津液)の代謝はもちろん、呼吸によって体内に取り入れた『気』が深く体の芯まで行き渡るようにするのも腎のはたらきによるものです。 腎と関連の深い五行は水 腎は水分コントロールを行う場所であり、『水』と深い関係があります。 腎のはたらき3つ ①発育、生殖能の要

わかりやすい!中医学の基礎Vo.13〜肝の役割〜

今回は、『肝』についてです。 もうすぐ2月、2月3日の節分を境に、自然界は春に向かっての準備を始めます。 春は、肝との関わりが深く、肝の伸びやかな性質が、自然界の一部である私たちの心と体を伸びやかにし、スムーズに『気血津液』をめぐらせてくれるのです。 肝の役割 肝の定義 体に必要な『血』『気』『津液』をめぐらせ(疏泄) 『血』を貯蔵する臓(蔵血) 『疏泄』『蔵血』とは 『疏泄』 肝は、気血をスムーズに滞りなく体にめぐらせる働きがあります。 この機能を中医学の用語で

わかりやすい!中医学の基礎Vo.12〜五臓と役割〜

今回から、五行説との関連が深い、五臓の役割についてご紹介していきます。 五臓と六腑中医学では、『臓』と『腑』にはそれぞれ次のような違いがあると定義しています。 臓 臓とは、『実質的な臓器』をさし、具体的には『中身が詰まっていてからだをスムーズにはたらかせるために重要な役割をしている』臓のことです。 五臓(裏) 心・肝・脾・肺・腎 腑 『臓」とは、中身が空洞で、臓で作られてた栄養物質や気、津液が通過する器官を指します。 六腑(表) 小腸・胆・胃・大腸・膀胱・三焦

わかりやすい!中医学の基礎Vo.11〜陰陽バランスとからだの不調〜

陰陽バランスとからだの不調との関係 今回は、陰陽のバランスが私たちの体にどのように影響するのか、少し詳しくご紹介いたします。 陰陽に分類される『気血津液』の役割 陰に分類される、血・津液・津液は私たちのからだを潤し、余分な熱を冷まして体を不調のない快適な状態に保つ役割があります。 陽に分類される気は、体を温めて活動的な状態にする役割があります。 この、陰陽のバランスは、季節や環境によっても変化しますが、不調を感じないように環境に応じて常に変化しており、からだを健康な状

わかりやすい!中医学の基礎 Vo.10〜5行学説と五臓の関係〜

五行学説  五行学説とは、自然界の全てを木・火・土・金・水(もっかどごんすい)の5つのグループに当てはめて分類し、その関係性を解く理論・考え方です。 五行の『木』『火』『土』『金』『水』には、表のような性質があります。 五臓東洋医学では、五臓は心・肝・脾・肺・腎の5つで、それぞれ表のような役割と性質を持っているとされています。 西洋医学の心臓・肝臓・脾臓・肺・腎臓と一部重なる部分もありますが、中医学では組織というよりは機能としての臓腑に注目し、その役割を当てはめていま

わかりやすい!中医学の基礎Vo.8

それでは、中医学の思想である『陰陽・五行』について学んでいきましょう。 陰陽について 「陰陽(いんよう)」は、荘子の観念(黄帝内経が生まれた当時に活躍した思想家)として誕生しました。 陰陽の定義 陰陽の定義は 「宇宙の一切の事物や現象を、相対的に陰と陽という大きな属、対立と統一の元に説明したもの」で、中国の古い哲学思想である「陰陽論」に基づくもものです。 「陰陽」は、中国古代の思想で、天地間にあり、互いに対立し依存し合いながら万物を形成しているとされています。 陰

わかりやすい!中医学の基礎Vo.6

中医学の考え方の元となっている世界観について学びましょう。 この考え方は、3大古典の1つ、『黄帝内経(こうていだいけい)』に記されています。 中医学とその世界観 黄帝内経より抜粋 1)人は天地の気を受けて生まれた   中医学では、世界を陰と陽の相互作用によって生じた物質と考えており、人も物質世界の一部として捉えています。 2)形と神を分かつことはできない  肉体と精神は分けられないということ。形(肉体)があって生命があり、生命があってこそ精神活動や生理機能がある

わかりやすい!中医学の基礎Vo.4

今回は、気血水の最後、『津液=水』の説明です。 『津液=水』とは 「津液」は、「水(すい)」とも呼ばれ「血」以外の人にとって、からだの機能を維持するために必要な水分の総称です。 具体的には、細胞内外の水分や、汗、涙、消化液、鼻水、尿、などをさします。 ここでは、中医学の講座であるため『津液』という言葉を使用します。 正常ははたらきをもつもの=津液 病気や体調不良の原因となるもの=痰・湿 津液が、局所に過剰にたまったもの、粘性をもち滞ったものなどは、「痰」や「湿」と

わかりやすい!中医学の基礎講座Vo.2

前回は『気』『血』『津液(水)』について大まかに触れました。 中医学に興味のお持ちの方は、これから中医学の本を読むこともあるかと思います。 中医学では、人体における壮大な概念(フィクション)をもとに私たちの病気とその治療法について考えていきます。 西洋医学を学んできた方には、最初は理解できないことだらけ。 ???の連続です。 『気』『血』『水』だけをとっても、それが本当か??を追求することに意味はありません。そう考えて、治療していくと上手くいったという結果の集積