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【産総研】静電気を見えるようにしてみた

ドアノブを握ろうとしてバチって静電気が飛んできて痛い思いをした経験は誰にでもあるよね。人間やったら痛みを感じるだけやけど、電子機器に対してはノイズとして動作停止や誤作動の原因となり、最悪の場合は電気的に破壊されてしまうこともある。そのため、工場などの生産現場では色々な方法で静電気対策が行われている。

「この迷惑な静電気を事前に予測し回避できる方法があればなぁ」ってことで、静電気がいつどこで発生するのか把握する「静電気センサー」が必要とされてきた。これまでにも色んな静電気センサーが開発されてきたけど、そうしたセンサーの多くは表面に凹凸のある物の対して正確な測定をするんが難しかった。また、対象物が移動してたりして測定環境が変化してまう中での測定には対応できてへんかった。

そこで、産総研はどんな状況でも静電気の出所を特定できるようにする技術を開発することに。そして、彼らは静電気の発生を発光で可視化する技術として、肉眼でも静電気の発生を観察できるようにする発光物質の特定に成功しはった!

静電気の発生を発光で可視化する/ Credit: 産総研プレスリリース

まず研究チームは、静電気で発光する物質を探すため、電荷が移動することで発光することが知られている物質を系統的に調査しはった。その結果、セラミック微粒子「SrAl2O4:Eu2+」が空気中のイオンや帯電粒子などの微弱な電気に反応して発光することが明らかになったの。ほんで、この物質をアクリル樹脂に添加したフィルムに静電気発生ガンから放電を行ったら、フィルムが緑に光った!

さらに、静電気を発生させる棒(ヴァンデグラフ型静電気発生器)に指を近づける実験もやってみはった。すると、指と静電気棒が近づいてくると発光して、指を動かすと発光する場所もそれに合わせて移動する様子も確認された。このメカニズムは最初の実験とは逆で、静電気棒から指に向かって電荷が放出されたときに発光が起きたんやから、開発された静電気発光材料は、材料が帯電するときと放電するときの両方で発光現象が起きることが示された。

見つかったセラミックス微粒子は粒子のサイズが数μmほどで、さらに発光すんのに電源を必要とせえへんから、世界最小の静電気センサーとなっている。これを対象物に塗布することで静電気センサーの機能を持たせることができることから、例えば高速で動き回る半導体製造装置に発生している静電気の様子をカメラでリアルタイムに遠隔で測定することなどができるようになるかもしれん。静電気発生のモニタリングや静電気対策の新たな技術基盤が誕生した瞬間やね!


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