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Soundrops札幌のこと

 ご承知のとおりこれはライブの感想文ではありません。ただ単に、開催されなかったSoundrops札幌公演の前後にわたしの身の上に起きたことをそのままのみこんだままではいられなかったので、そっとここで吐き出しておきたい…そういう文章ですから読んでほしい気持ちもあまりないです。でもこれを読んで「おつかれさん」って肩をたたいたり頭をヨシヨシしてくれる人がいたらちょっと泣くかもしれません。

 いつもギリギリでなんて生きていたくないから余裕もって常に優雅たれと思って暮らしてるのにイベントごとの前になるときまっておかしなことが起きてしまう。今回もお仕事のめんどくさいクレームとか超特急案件とかそんなものが立て続けにやってきて。いやな予感はしていた…っていうか覚悟もしてました。

 そうしたら案の定で。もともと7/1〜3の予定で札幌にむかう予定だったのにどうしても抜けられないお仕事が7/1に入ってしまったのが30日のお昼前のこと。わたしの2泊3日はツアー形式でしたので飛行機とホテルを部分的に変更することはできず、仕方なくいったんすべてをキャンセルして予約とりなおし。キャンセル料30%ぐらい持っていかれてしまいました。

 仕方ない、これもすべてゆかりさんに会うためだ、そんなふうに気持ちを切り替えて午後のお仕事に集中して、休むはずだった金曜日の段取りをととのえて、ここまで準備したらもう道筋どおりお仕事進めれば土曜の開場時刻にまにあう…って手ごたえを感じながら、夕方にちょっとできたあき時間にTwitterをのぞいてみたら………


 たしかにゆかりさんの喉のことは心配。すてきな歌声もさまざまなキャラを演じる声色もみんなをひきつけるトークも、その傷めたところから出てくるのですから、ご本人の心細さはいかばかりか。喉が炎症して痛みや苦しみを感じてはいないか、責任感の強い方なのでご自分を責めていないか… 心中を案じて祈る気持ちもわたしの中にはもちろんあったけれど、模範的に王国民らしくふるまうにはちょっとショックがおおきかったというか、がんばったけどそこまでは強くなれなかった。

 それなりに長く生きてきた中でいまがたぶんいちばん責任とストレスを強く感じてて、そんな中で目標にしてたものがなくなってしまって、あっこれダメかもっていういやな影がよぎった。興味深いことに…いやどうでもいいだろうけど失恋したときの気持ちに似ていたかもしれない。心に突然ぽっかりとおおきな穴があいて、そこにみるみる淡い青緑色のつめたい水がたまって池ができあがって、それをただハイライトの消えた目をした無表情のわたしが見つめているような、そんな感じ…どんな感じ?

 それでも一晩寝たら、ゆかりさんのことを気づかいつつもせっかくだから札幌いっておいしいもの食べてすこしでも元気になろうって気持ちになってきて。それというのも今回は札幌にいる昔からの友人にも会う予定にしていて、お仕事の風向きがあやしくなった数日前に「申し訳ないけど金曜いけないかもしれないから夕食は土曜日の終演後でもかまわない?」ってたずねておいたのが結論からみればわたしのGood jobなところで、それをしっかりお店の予約変更しておいてくれた友だちがBetter job。

 結局休暇返上した金曜日はもちろんのこと土曜日も午前中ギリギリまでお仕事して、会社から羽田空港までタクシーつかまえて。この暑さの中キャリーバッグ引きずってダッシュとか無理よそんなの。

 そんなことしてると急にわれに返る瞬間があって、お店予約して待っててくれる友だちには申しわけない言い草なのだけど、わたしこんなにボロボロになって働いて、キャンセル料払ってホテルとりなおしてまる3日楽しく旅行する予定が1日半仕事にうばわれて、しかも行った先にゆかりさんはいない… ゆかりさんが悪いなんてちっとも思ってなくて、そうじゃなくってこんな働き方とそれについていけない能力不足のわたしが悪いんだけどそれにしたってどうしてこんな目にあわなきゃいけないのって思ったら涙出てきて、タクシーの運転手さんもきっと困ったと思うんだよね。「羽田空港、全日空の出発ロビーまで急いでお願いします」って乗ってきた客が後部座席で泣いてるんだもんね、実家のお母さん危篤なのかな…とかよけいな想像させてたら申しわけねえ🥺 うちの両親はまだまだ元気です。

 そんなわたしを救ってくれたことがふたつ。

 ひとつは通信障害。お仕事で使ってる携帯電話はauで、ふだんは土曜日でもけっこう電話がかかってくる。ましてこの日は前もって段取りした超特急案件が動いてるからどんな連絡がくるのか気になって仕方ないけど電話は鳴らない。最初は心配になったけど、飛行機乗っても降りても札幌の街を歩いてもアンテナの立たない携帯電話に「このままずっとくたばってくれたらいいのに」って感じるようになりました。わたしのせいじゃないもん。だれかが何度もかけてきてるのかもしれないけど、肌身離さず持って歩いてるのに鳴らないのがいけないんだもん。そして帰京しても沈黙を貫くauいいぞいいぞ週明けもずっとおとなしくしててくれよ…

 もうひとつはやっぱり仲間の存在です。 まずはもちろんお店を予約して待っててくれた友だち。わたしがかかえてる事情とはまったく関係がないところにいるから、なんでも話せるし気づかってくれる。長いつきあいだから、っていうか気があうから長くつきあっていられるのかなって思う。

 それと、ほかにも今回わたしと同じように万障くりあわせて公演のない札幌に乗りこんできた王国民がけっこうおおぜいいらっしゃった。この方々もお仲間。街の中で出会うことはほとんどなかったけど、きっと同じ境遇の人たちが楽しそうにしていて、おいしそうなものを食べてる。それは思った以上に「じゃあわたしも!」って気分にさせてくれるものでした。

 公演中止っていうのはどうやっても記録にのこるもので、それをあとでふりかえったときにどんな気持ちになるだろう?って考えたとき、公演がなくなっても行ってよかったって思えることはきっとたいせつなことだと帰りの飛行機の中で感じました。だから機内でこれを書きはじめた。いつものライブ後の完全燃焼とはようすがちがって全焼したかな?って感じではありましたが、ゆかりさん、わたしたちはゆかりさんにきっかけをもらって勝手に楽しんできました。そこに関してはいつもとあんまり違いがないので、こっちのことは気にせずにしっかり治してくださいねって伝えたいです。

 10月に次のライブがあるとのお知らせもありますが、まだちょっと先のことすぎるしお仕事が楽になる保証もなく、あのダイアリーを読んだあとでもそれまでがんばるなんて大見得も切れませんでした。まだまだ弱気ですね…

 それでもこつこつやっていればいつのまにか秋になっているような気がするし、はるかかなたではあるけど目標はできた気がします。きっとそうやってころんだりまよったりしながら1日ずつこなしていくよりほかに方法はないのでしょう。さしあたり10月にむけてあしたをつぶします。Soundrops札幌組のみなさんおつかれさまでした。そしてゆかりさんが早くよくなりますように。

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