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EA出品の注意点|MQL5.com編

EAをMQL5.comに出品しました。
MQL5.comはちょっとクセがあり、出品するのに少しハマりかけました。

EA(MQL5.comで言うところの「エキスパート」)の出品の承認は、いっさい人手が介入することなく全自動で行われます。
ですが、それゆえに注意が必要な点もあります。

以下に、出品する際の「注意点」について解説していきます。

⏬この記事は、次のような方を対象にしています

✔ EAを開発されている方
✔ EAを販売サイトに出品しようとしている方

⏬出品の手順は、MQL5.comの公式サイトに記載されています。

「マーケット」でプロダクトを宣伝する方法

登録する際には、この手順に沿って作業をしてください。

それでは、注意点について解説していきます。


✅1:販売者登録は実名のみ

登録時に、本人確認書類の写真と、その書類と一緒に写っているセルフィー写真(スキャン画像は不可)をアップロードします。

本人確認を行うには、承認された書類の1つの写真を撮り、アップロードします。最近の写真をアップロードしてください。スキャンされたコピーは受け付けていませんのでご注意ください。写真は高品質で、書類全体と書類の情報がはっきり写っている必要があります。

https://www.mql5.com/ja/articles/385

本人確認のあとに、その画像をもとに販売者の名前が登録されますが、個人の場合は販売者名は「実名のみ」です。

ニックネームやハンドルネームは使えません。

また、一度登録された名前は基本的に変更できません。

この名前も自動的に読み取っているようで、実際の名前とは似ても似つかない名前が登録されることがあるようです。

ちなみに、法人として登録する場合は、会社設立証明書のアップロードが必要です。

💡「実名公開はNG」という方は注意しましょう!

✅2:大文字のみの単語を使ったEA名はNG

販売者登録が終わったら、次は出品するEAを登録します。
このとき、公式サイトでは以下のような注意書きがあります。

製品のタイトルは、そのアイデアを反映した意味のあるものにします。略語は使用せず、 大文字も使いすぎないでください。製品のタイトルでは、金銭を言及したり収入の約束を含めないでください。派手なタイトルは避けてください。

https://www.mql5.com/ja/articles/385
  • 「金銭を言及したり収入の約束を含めないでください」

のくだりは、まぁ理解できます。
ただ、

  • 「略語は使用せず、 大文字も使いすぎないでください」

というルールが謎です。

実際、大文字のみの単語を含む名前のEAを登録しようとしたところ、「大文字のみの単語は使用できません」とエラーになりました。
おそらく、自動スペルチェックで大文字のみの単語は無条件でエラーにしているものと考えられます。

ロゴ画像や、取引コメントにEA名を設定している場合は、販売名とのズレが発生します。

💡「名前のズレ」には注意しましょう!

✅3:バージョン番号は必須

EAを出品するときは、ソースコードの提出は不要で、コンパイルされたプログラムファイルのみアップロードすればOKです。
ただし、アップロードするプログラムファイルには「バージョン番号が設定されている」ことが必須です。

アップロードする前に、#propertyディレクティブを使用して定義されているコード内のプログラムプロパティを確認してください。プロパティには、[メジャーバージョン].[マイナーバージョン]の形式のファイルバージョンが含まれている必要があります。このバージョンは、新しい製品ファイルをアップロードするたびに上げる必要があります。マイナーバージョンにはカテゴリの分離がないことに注意してください。1.01と1.1は、実際には同じ最初のマイナーバージョンを意味します。

https://www.mql5.com/ja/articles/385

ソースコードには、以下のようなversionプロパティを記述する必要があります。

#property version   "1.00"

それも、適当に設定することは出来ません。
最初にアップロードするEAのバージョンは「1.0」から始まらなければなりません
以降、アップロードするたびに、マイナーバージョンを1ずつ加算しなければなりません
この制約が守られていなければ、EAをアップロードすることができません。

💡「バージョン管理」はしっかり行いましょう!

✅4:動作チェックで動かなければNG

出品されるEAは、アップロードされるときに、異常動作を起こさないよう「自動チェック」が行われます。

アップロードされたファイルは、自動検証のために即座に送信されます。これは、基本的な品質管理を意味します。取引条件チェックの欠落、ゼロ除算エラー、過剰なリソース消費などのプログラミングエラーの検出。
自動売買ロボットの場合、システムは取引操作を実行するかどうかをチェックします。

チェック中、プログラムは、異なるシンボルと時間枠で、異なる取引条件でストラテジーテスターで複数回実行されます。

https://www.mql5.com/ja/articles/385
  • 取引条件チェックの欠落

  • ゼロ除算エラー

  • 過剰なリソース消費

  • システムは取引操作を実行するか

このあたりをチェックしてくれるのは良いですが、

  • チェック中、プログラムは、異なるシンボルと時間枠で、異なる取引条件でストラテジーテスターで複数回実行されます

この部分は注意が必要な場合があります。

例えば、ある特定の通貨ペア+時間軸に最適化されたEAがあったとします。
このEAで、サポートされていない通貨ペア+時間軸で動作できないようなチェック処理が組み込まれていたとします。
そのような場合、チェックは通りません。

また、EAの初期化処理に、特定の口座でしか動作しない「口座縛り」が含まれているEAもチェックは通りません。

何からの「稼働制限」を行っている場合は、出品できませんので注意してください。

💡出品時には「稼働制限」は解除しましょう!

✅5:公式フォワードがない

EA販売サイトでは、EAのフォワードテスト成績を公開しているところも多いです。
購入者の多くは、フォワードの実績データを参考にして購入の判断をしているのではないかと思われます。

しかし、MQL5.comは、フォワードデータの公開はありません!

購入者は、EAの販売ページから、ストラテジーテスターでのみ動作する無料の「デモ版」をダウンロードして、バックテストを自分で実施することで購入を判断をさせているようです。

客観的なフォワードデータが存在しないため、購入の判断は自身でバックテストするか、またはすでに購入された方の「評価」に頼ることになります。

そのため、フォワード成績がいくら良くても、MQL5.comでは評価されにくいという点は注意が必要です。

💡フォワードが良くても、購入には必ずしもつながりません!

✅6:サポートが塩対応

これは、公式サイトには記載されていませんが、「サービスデスク」によるサポートは質問選択型のチャットボットでしか行なえません。

販売者名の変更依頼をチャットボット経由でしたところ、自動応答で「変更できません」と対応されました。

唯一、「Other question」という選択肢を選ぶと、依頼内容を含むメッセージを送信することができます
そこに至るまでのユーザーインターフェースが非常に分かりづらいので、注意してください。

また、サポートの対応は塩です。

上記のルートで
「EA名を大文字に変更してください」
と依頼メッセージを送信したところ、返信されてきた回答は
「残念ですが、できません」
といったものでした。

💡サポートの対応は「一行メッセージ」と考えておきましょう!

✅まとめ

MQL5.comは、メタトレーダーの開発元が展開していることや、グローバル市場をターゲットにしていることもあり、EA出品サイトとしては有力な選択肢と言えるかもしれません。

ただ、いろいろなクセがある点は注意しておきましょう

この記事が、EA開発者の皆様の助けになりましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました

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✅作者ホームページ

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