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泣いても幸せにはなれない

学校とか職場で、周りの人達に囲まれながらしくしく泣ける人、すごいなって思う。



私はいつの頃からか「人前で泣いてはいけない」と思っていて、

大人になってからの一社会人としては、まぁそれはそうよねって感じだが、

私は小学生くらいの頃からそれが形成されていた。



たぶんきっかけは小学校低学年の時の出来事だと思う。

とある女の子が、どうやら他の子とひと揉めあったらしく昼休みに階段で号泣していて、

周りを他の子供たちや、話を聞きに来た先生が囲んでいた。


しかしその子は嗚咽でなかなか上手く喋ることができず、

進まない展開に次第に先生も焦ったのか、

「泣いてるだけじゃわからないでしょ!!」とその子を叱りつけた。


私も一度泣き出すと涙が止まらなくなってしまい言葉が出ないタイプなので、その女の子の状況はよく理解できた。

それ故に、辛いことがあったのに自分では処理しきれない感情や体の反応から、叱責をくらってしまった彼女に対して胸が痛んだ。



その日私は、

「人前で泣くと結局自分が余計傷つくはめになる」

と学んだ。



それから私は、

男子生徒に「ブス!」と吐き捨てられた時には下を向いて声を押し殺して泣き、給食の準備に追われるクラスメイトや先生誰一人にも気づかれることなく泣き止んで給食を食べた。



男子生徒がノールックでめちゃくちゃ勢い良く閉めた引き戸が、その後ろで扉を通過しようとしていた私の頬に全速力で激突した時も、何が起きたのか全くわからないままに頬が激しく痛いことへのパニックを起こしつつ、咄嗟にトイレに駆け込んでとりあえず頬を押さえながら泣いた。

(奇しくもこの時もまた給食の準備中だったため、その後は何事も無かったかのように軽く頬を腫らしながら給食を食べた。)



小学生の給食前なんて、この上なくうるさく、バタバタしていて、ハプニングやトラブルが良く起こるものだ。

そこで大っぴらに泣いて注目を浴びていては、給食を食べ始める時間がどんどんずれ込み、皆苛立ってしまうだろう。







それに比べ、都会の大人は良い。

多少変な様子の人が紛れていても、余程じゃない限りほっといてくれる。


小学生時代あれほど涙を堪えてきた私だが、成人し社会人になってから、何度駅や電車でボロ泣きしながら通勤したかわからない。


これが心温かくて積極的な人ばかりで、泣いている人にはすぐに駆け寄って手を差し伸べてくれるような街だったら、

私はきっとここでも涙を我慢していただろうから、

辛い時に涙を垂れ流させてくれる都会の大人たちにはとても感謝している。

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