エコと道徳

日本には「もったいない」という道徳的な価値観があります。その価値観から「節約」とか「リサイクル」といった概念が支持されることがあります。

最近、スウェーデンの裕福な家庭のお嬢さんが国連で気候変動に取り組まない大人を批判するスピーチしたのが話題になりました。
10歳の頃に知った地球温暖化や気候変動に怒りと恐怖を覚えたことから彼女の活動が始まったと言われています。

これに対して多くの人が批判をしていますが、アスペルガー症候群の幼気な少女の批判に耳を傾けない批判的な大人への攻撃もあります。

科学的わかっていることをいくつか書いてみます。

現在の大気中の二酸化炭素濃度は0.038%程度で、これは10億年前の1000分の1です。人類が誕生したころは現在にかなり近い水準に濃度が下がっていますが、大型の生物が繁栄していた時代は現在の10倍100倍という濃度でした。
二酸化炭素による地球温暖化や気候変動を訴える人たちはとてもズルくて、ごく最近の二酸化炭素濃度しか示しません。それを見れば二酸化炭素濃度も気温を上がっていますが、もっと長期的に見るとそうでもない。

温暖化ガスは地表から反射される輻射熱を遮って地球の大気圏の外側に逃がさないから温室効果があるのですが、二酸化炭素が遮る率というのは5%程度だそうで、どんなに二酸化炭素が増えても最大で5%の温室効果にしかならないということです。

現在は地球にとっては寒冷期です。温暖期という言葉は使われないようですが、これは温暖な時期が地球の歴史から見ると圧倒的に長いからです。地球上に年間を通じて氷が存在する期間を寒冷期と言います。今が特殊なんですね。

動植物は地球から見たら酸化還元をする触媒のようなものです。植物は大気中の二酸化炭素を取り込んで炭素を作ります。それを食べて動物の身体ができます。米も我々の身体も炭素が材料です。二酸化炭素というのは動植物の材料なのですから、これが極端に減ると動植物は絶滅してしまいます。

動植物が絶滅しないためには二酸化炭素をある程度出さなければいけません。おそらく現在の1000倍くらいの水準でも、過去に動植物が絶滅していないのだから(だからこそ今があるわけで)問題はないかもしれません。

この二酸化炭素を出す役割を負っているのが人間です。
過去の生物の死骸が炭化して堆積・沈降したのが石油ですが、これを掘り出して燃やし二酸化炭素に戻して大気に還しているのが人間です。
地球にとって人間は炭素を二酸化炭素に戻す触媒なのです。

石油はまだたくさんあるし、前述したように二酸化炭素濃度が増えても平気なんだから、米が元気に育つようにたくさん石油を燃やしましょう、という方がエコではありませんか?(エコはケチるという意味ではないですよね)

エントロピーの法則というのがあります。物質は無秩序の方に向かうというもので、物理学をやっいる人ならエントロピー計算をしたことがあると思います。

例えば、瓶の中の飴玉を床にぶちまけたとします。ぶちまけた飴を拾い集めて瓶の中に入れるのは大変ですが、ぶちまけるのは簡単です。この「ぶちまける」がエントロピーが増大する方向です。自然界はエントロピーが増大するする方向なので、その方向に大きなエネルギーを必要としませんが、その反対の方向には大きなエネルギーが必要です。

リサイクルというのは、このエントロピー増大に逆らったら考え方です。プラスチック製品は燃やせば二酸化炭素が出ますが、燃やさずに溶かして再びプラスチック製品を作ろうとすれば大きなエネルギーを使いますし、不純物を取り除く努力をしても、元の品質にするのは大変なのです。燃やしちゃった方がエコなんです。
リサイクルをした方が余計にエネルギーを使うので、それこそが「もったいない」のです。

昔の「もったいない」道徳は石油文明以前の道徳です。そんな時代でも再生はほとんど行われず、物質の劣化方向で使い回しをしていたのが実情です。

日本は産油国ではありませんから、石油をなるべく使わないようにという考え方にも一理はありますが、これは安全保障上の資源確保の観点に立った問題であって、環境問題ではありません。

エネルギー使用量は活動量です。
エネルギー使用を控えれば活動が減ります。
職も減り貧困化します。

現在の若者の貧困問題もエネルギー問題なんです。

あのスウェーデン少女のスポンサーには中国のある機関が関わっているという噂もありますが、これは日本封じ込め戦略の一部かもしれません。

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