インザマット2

範宙遊泳『インザマッド(ただし太陽の下)』Actors' Profiles No.1 武谷公雄

武谷公雄 Taketani Kimio

1979年12月16日 生まれ。大分県生まれ、神奈川育ち。
1999年早稲田大学劇団森に参加。退団後、保険会社勤務などを経て2007年よりフリーで演劇活動再開。
最近では神里雄大(岡崎藝術座)作品の常連。台湾岡崎藝術座代表。
木ノ下歌舞伎『黒塚』にてCorich舞台芸術まつり2013にて俳優賞受賞。
最近の主な出演作品として、岡崎藝術座『隣人ジミーの不在』(作・演出:神里雄大)、五反田団『新年工場見学会2014』、サンプル『シフト』(作・演出:松井周)など。

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◎自分がもっとも堕落した瞬間

6年ほど前にもある公演でこういった文章を書くということがありましたが、散々たるものでした。
まず句読点の打ち方がわからない。読点は何となくわかる。←コレ(自信がなく辞書を引く始末)
次に漢字や言葉がわからない。30半ばがち近づいてるのに何をしてきたのだろう。きっと堕落して生きてきたんだろう。

まず堕落という言葉がよくわかってないので、辞書を引いてみる。この時点でパンツ一丁でビール片手なのでどうかと思う。

【①落ちること。脱落。墜落】
これはちがうな

【②[仏教で]仏に使える、ひたむきな言葉を失って、俗人と同じような、俗に満ちた生活をすること。】
わからないな。

【③品行がわるくなって正しい生活ができなくなること。身をもちくずすこと。品性が卑しくなること。また物事が、正常で健全な状態を失うこと。】
いつもだな。

【④おちぶれること。勢いがなくなること。失敗すること。零落。】
勢いがあったことがない。

[小学館 日本国語大辞典/三省堂 新明解国語辞典参照]

③に近いのは、東日本大震災の日、震災の衝撃で少し自分の中で何が起きているのか理解に苦しみ、翌日に代々木公園でドックランで犬を眺め、銭湯に入り、新宿でやってる居酒屋に行き、下北のガールズバーに行きました。
それから震災後ほぼ一週間客がいないガールズバーに通いつめました。その一週間ただガールズバーに行く毎日でした。
本当に何かせねばと思いながらもよくわからず、ただただガールズバーで、全く生きてきた世界が違う女性たちと俳優をやってるなんてことも話さずに震災のこともあまり話さずに一週間ほど過ごしました。
説明できない後ろめたい気持ちでした。

◎いま戦っているもの、こと

上記に記したガールズバーで出会った女性と付き合う運びとなり、別れ、36万を貸すこととなりもうすぐ二年が過ぎようとしています。1円も返済されてないので稽古場と彼女の家が近いので訪ねてみようと思う。

あとこれは長い課題ですが、メールが苦手です。先日のある主宰の方とのメールのやり取りをご覧ください。

主「明日のご予定いかが?お昼か夜は都内におります。」
武「明日は大丈夫ですよ!! 予定がありだめですすいませ。でも今日は○○さんとあ・うん。の向田邦子や俳優についてかたりました。またまたお話したいです。」

・・・間

主「都内ですよ。」
武「あ、大丈夫ですね。20時くらいに新宿あたりはいかがですか?」
主「新宿のどこにしましょう?」
武「三平にしましょう。」

・・・間

武「5階のはやし家です。」

なんのこっちゃ。後で演出の方がメールの文章を笑いながら読み上げてくれたから救われた。
まず行けるのか行けないのかわからないし、「でも」の意味がわからない。…間の時、主宰の方は制作さんと読解されてたそうです。
しかも都内という字を読んでない。
また、店の名前より先にビルの名前を言っている。演出の方は三平は店の名前と思い検索してしまったという、ごもっとも。

携帯もそろそろ僕の言動や人間関係で一回メール送ったら、句読点や誤字、宛名チェックして送ってほしい。間違ってますよとか、検査機関を通してから送ってほしいです。

◎公演に寄せて

坂口安吾は、ごめんなさい感覚でしかないので、これは個人的な感想ですが。エッセイなど程よく書かれてるものもあれば、広く、浅く書かれてるものもあり。狭い範囲で深く書かれてるものもあります。
わかるわかるというものもあれば、もうわからないよーというところまで連れて行かれる文章もある。
そんな深さのしれない沼のような言葉や技法のエッセンスが山本卓卓流に抽出されて、山本氏の身体を通って彼が感じ、訴えたいことが程よく言葉として訴えかけられています。
戯曲としても舞台としてもとても奥行のある作品です。
あとは俳優がその言葉を身体を通して訴えたり訴えなかったり空間を埋めたり、埋めてみなかったり。
言葉と文章の苦手な俳優の戦いぶりも含め劇場に確認しにきてください。

つたない文章で失礼しました。


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範宙遊泳 新作本公演
『インザマッド(ただし太陽の下)』
作・演出:山本卓卓
2014年8月9日(土)−17日(日)
こまばアゴラ劇場

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◎KAI-YOU掲載記事(前作『うまれてないからまだしねない』舞台写真公開中!)はコチラ
◎過去公演がまるまるご覧いただけるYouTube範宙遊泳チャンネルはコチラ

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