母という人

私は母に褒められたことがない。
褒められるようなことをしなかった……と言われれば、まぁ(笑)

部活で表彰されても、勉強で学年順位をあげても、褒められることはなかった。
本当の娘じゃないのかなと思うほど。

母はとにかくなんでもできる器用な人。
小学生の時の私の服はほとんど手作り。
カバン、リュック、スカート、セーター。
料理もそう。
雑貨もそう。

なのに、私はビックリするほどぶきっちょ。
よくため息つかれてた。

私は私のために頑張るのではなく、母に認めてもらいたくて頑張っていた気がする。

母はプライドが高くて、厳しい人。
少し前に息子から
『昔からばあちゃんのこと怖かった』
と言われた。

その母が認知になって、歩けなくなって、痩せて、小さくなった。

コロナというものを知らない、分からない、だから会いに来ない娘をきっと薄情だと思っていたに違いない。
2年という月日は思ったより長くて………残酷だ。

子どもが高校生くらいの時に初めて
生活のこと、経済的なこと、父のことを話してくれた。

もっと早く聞きたかった。
もっと早く素直になりたかった。
もっと早く伝えたかった。

お母さん、会えないけど私はすぐ近くにいるよ。
お母さん、あなたが母親でほんとに良かった。

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