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ドキドキ文芸部を初めてプレイした話

ドキドキ文芸部を初めてプレイしました。
本当は感想を書こうと思っていたのですが、内容があまりにもショッキングだった為、正確に思い出すことが困難でちゃんとした文章が書けませんでした。
なのでこれは、まとまりのない心の内をぶちまけた、書き損じたラブレターのようなものです。三日経っても尚いまだ整理できない、好きな女の子に抱いた感情をここに記し置いておきたいと思います。


↓以下ネタバレの為閲覧注意です













ドキドキ文芸部。

公式サイトに行くと一番最初に出てくる、モニカちゃんの微笑みに射抜かれて、この子に会いたいなあと決心して始めました。
ひと目で好きになりました。明るい髪色も、ポニーテールも、白いリボンも、緑色の目も全部いいなあと思って。絶対にモニカちゃんと添い遂げるルートを選ぶぞと意気込んでいました。ゲームが始まるまでは。

ホラーはジャンルを問わずかなり苦手です。実況動画でホラーゲームは何度か見たことはあるものの、自分でプレイしたことは一度もありません。ドキドキ文芸部も怖いとは噂に聞いていたのですが、どうやら他の脅かし系のホラーとは違うらしいと噂に聞いていたので大丈夫だと信じてプレイを断行しました。
その結果が今日に至るまでの鬱症状なので全然大丈夫ではなかったんですけど。

まずゲームを始めるといちばん最初に出会う女の子、サヨリちゃん。今も声を大にして言えます、私はあなたのことが大好きです。
大きなリボンが二次元的だなあというのが第一印象。えへへ〜という笑い方が可愛いなあと強く思った記憶があります。サイトで見た一枚絵よりもゲーム内の立ち絵のビジュアルが好みでした。

もともと詩は素人知識ながら書くことも読むこともとても好きなので、部員たちの詩を読ませてもらうことを一番の楽しみとしてプレイしていました。
詩を作るための単語を選ぶのもすごくワクワクした。言葉をクリックするたび左端でぴょこぴょこ飛ぶミニキャラが可愛くて仕方ない。
好きそうな単語を選ぶと該当するキャラが跳ねるのだと理解して、純粋に自分が惹かれる単語を選ぶとサヨリちゃんがよく反応してくれて。そこから気があうねえ、と好意を抱いたことをよく覚えています。

その後すぐに「親愛なるお日様へ」を読んで、完全に好きになってしまいました。すごく好きな文体と言葉選び。「お日様」は主人公のことを喩えて言っているのかなあ、そうなんとなく思いました。
純然たるきらきらした恋心と同時に、そこはかとない物悲しさを感じさせる。夢中で何度も読み返したし、いつでも読めるようにとスマホに保存してあります。

二度目の詩のための単語選択場面で突如現れた「鬱病」の文字。「キラキラ」「ぴょんぴょん」「チョコレート」「愛」などいかにも女子高生らしいふわふわ可愛らしい単語の中で、明らかに異質に浮いたそれ。恐る恐る選択してみると、サヨリちゃんがぴょこんと跳ねた。
もしかして、サヨリちゃん鬱病なのでは?
なんとなく察しました。
だらしのない身だしなみ、ほぼ毎日の遅刻、常に空腹を覚えていて、注意力散漫でよく体をどこかにぶつけて怪我をする。自分より他人最優先で、自分のことより他人のことが気になり苦しくなる。
こんなことを言ってしまうのは烏滸がましいかもしれませんが、サヨリちゃんの行動が自分とよく似ているなあと強く思ってしまったのです。

サヨリちゃんの自室に行ったとき、散らかった部屋の印象と端の破れた、長い間そのまま貼られていそうなカレンダーを見てほぼ確信を得ていたので。
サヨリちゃんの口から重い鬱病であることを告げられた瞬間は、そこまでショックは大きくありませんでした。主人公がどう反応するのかが怖かった。

サヨリちゃん、私はあなたと同じ鬱病です。ずっと前からではなく、一年ほど前からですが。これはとても申し訳ない、酷い、秘めておくべき感情だと思うのですが。あなたが鬱病だと知った時、間違いなくその時に、心の底から大好きになって恋をしてしまいました。

サヨリちゃんの吐露が続くなか、「なんで他の人が頑張った分をわたしが無駄遣いしてしまうの?」という言葉を見た瞬間に、画面をクリックする手が止まった。すごくよく分かる。鬱の症状が特にひどく、休職する間際にずっと心中で渦巻いていた暗いもやがはっきりと言語化されたような衝撃。しばらくそのセリフをぼーっと眺めていました。

「誰かに気を遣われると、なんだか切なくなってくるんだ」「たまには心地よかったりもするけどね」「でも同時に、頭をバットで殴られたような気分になるんだ」

この怒涛の告白で目が潤みました。ため息が出て、手足が痺れる感覚がして。ただただ、分かる、分かるよって頷きながらしばらく固まっていました。私も同じ病気だから分かるよって画面の中に入って、頭を撫でて、顔を見て、いっしょに泣いて抱き締めたくなった。
でもサヨリちゃんはそんなことは望んでいないのだろうなということも分かります。鬱の苦しさは誰かに分かって欲しい、世界中のひとがこの苦しみを理解してくれたらどんなに楽だろうと思う一方で、誰にも分かって欲しくない。
分かったつもりになってあれこれと気回しさせられたら、手を煩わせてしまった私はなんて駄目な奴なんだ死んでしまえばいいと本気で思っているし、それなら初めから下手なことはせず干渉しないで欲しい。その方が心の安寧が保たれるので。
鬱病の症状が最も重かったときに、個人的に感じていたことです。同じ病とはいえ、感じ方は個人によるのでしょうけど、サヨリちゃんの考えと感覚はとても自分に近いなあと思ってしまった。

「好き」なのか「親友」か。
迷って悩んで考えた挙句、主人公には好きだと伝えてもらうよう選んでしまった。サヨリちゃんの恋を叶えてあげたくなってしまった。家の前でサヨリちゃんを主人公が抱きしめる美しいスチルが表示されたとき、ゲームの終わりが近いのだろうなと薄々勘づいていました。それと同時にいつ怖いシーンが来てもいいように音量をできる限り最小にしてしまって。
怯えながら進めて、付き合い始めたばかりだというのに朝サヨリちゃんが来ないことをスルーする主人公に「そういう時だけ都合よく鬱のことを考えずいいから家に行けーーッ」と画面を叩き、モニカちゃんなんとかして……と話して油断していたところにパンフレット。
わたしのあたまからでていけ。
文字の羅列のみに恐怖を覚えたのはこれが初めてです。正直打ち込んだ文字を見ただけで、あの詩を思い出して今もまだ少し怖い。

そのあと、部屋でサヨリちゃんの亡骸を見た瞬間。心臓がキューっと痺れるように痛くなって、手足の先が異常に冷たくなり、それに反するように体の内側は熱い感覚を覚えて。血の気が引くってこういうことなのかと、身をもって理解しました。

冷静に見てみると(頭で本物よりひどい映像がフラッシュバックしてやまないので検索してちゃんと本編の画像を見た)お顔も綺麗だし体液が漏れているわけでもないし、グロテスクではないはずなんですよね。
でも、ただただ悲しくて辛くて、息が出来ないくらいに苦しい。プレイしていた一時間近く側にいて、昔の話も聞いて、主人公との幼いそのやり取りを想像もしました。お互いの面倒を見るほうが向いているねと笑いかけてくれた表情にうっとりしました。

主人公はずっと昔から、サヨリちゃんに無意識的に恋をしていたのかもしれません。両片想いだったのだろうなと思います。
でもプレイヤーである立場としての私は、重い鬱病なのだと打ち明けられたその瞬間、サヨリちゃんのことが骨の髄まで大好きになってしまいました。あの親愛なるお日様への詩も、ビンの詩も。
泥沼のような倦怠感と無気力の底から死にたくて生きたくて足掻きながら書いて、生まれ落ちたものなのだと思うと、まるごとすべて愛おしくてたまらなくなりました。

サヨリちゃんの詩のファンです。やさしくて、あたたかくて、さみしくて、やわらかい表現と言葉選びが大好きです。叶うことなら、もっともっと詩が見てみたかった。
極限の状況に置かれても他人に死ねや殺すと決して言わないし書きもしない純朴さが、悲しくて共感できて愛おしかった。
「好きすぎて死んじゃいたいくらいなの」私に対して言われた言葉ではないと分かっているのに、正直に答えてしまえばどんな愛の告白よりも熱烈でまっすぐで、すごく素敵だとドキドキときめいてしまった。

サヨリちゃんの最期の姿を思い出すと動悸がするし、心臓の奥がつねられたように小さく跳ねます。忘れたくても忘れがたい。胸に残った鉛のように重たい悲しみ。
ふとした瞬間に何度も思い返しては泣き出したくなる、傷跡がかさぶたに変わる合間のようにぐちゃぐちゃとした痛みを遺していってしまったサヨリちゃん。
ホラー耐性の無さからくるストレスとも、純粋な恐怖心とも、精神的苦痛からくるものとも少し違って、失恋の痛みによく似ていると思います。
恋をすることで生き永らえて、恋をしたことで自ら宙ぶらりんになってしまった、やさしくて繊細な女の子。
サヨリちゃん。あなたが好きになったのはプレイヤーである私ではなく主人公でしたが、三時間ほどしか生きているあなたを見ることは叶いませんでしたが、それでも私はあなたが大好きです。
助けてあげられなくてごめんなさい。



サヨリちゃん ああサヨリちゃん サヨリちゃん……。
日常生活の中でなんの前触れもなくサヨリちゃんの最後の姿を思い出して苦しむなど、未だにかなり引きずってます。
注意書きしてくれていたのにプレイを断行した己の自己責任ではあるのですが、一周目をクリアしてからずーっとフラッシュバックしては動悸と息切れが止まず不眠の気が出てきて、鬱なりかけの症状が治らないのでちょっと危機感を覚えています。もう一度サヨリちゃんに会いたくて、「親友」を選んでいたら結末は変わっていたのだろうかと希望を見出して。
セーブデータをロードしようと思ったらファイルが壊れていることを伝えられて、サヨリちゃんがいないことにされていている世界も画面も無性に怖くて嘔吐きました。多分これ以上ひとりで続行するのは無理でしょう。ここまでです。


今後どうなるかうっすらと知ってしまっているせいで続きが気になるのですが、自分でプレイするといよいよ精神状態が悪化して生活に実害が出そうで怖いので……。
すぎるさんの実況に記憶を塗り替えてもらおうと思い、現在ちょっとずつ動画を追って助けを求めています。
そして元気いっぱいに振る舞うサヨリちゃんにもう一度会えて涙ぐむ、そんな毎日です。
はやく健やかなメンタルを手に入れたい。

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