40| 軽井沢① 翠(みどり)の波
軽やかな無音が、みどりの木々、葉々から、さらさら溢れ落ちる。
やわらかい滴を含み、その厚みを増した木々葉々と、それらが根を伸ばす土の呼吸する、力強くやわらかな振動が、手に取るように此処にある。
みどりが生き生きと拡がる様に、私たちの大地の鼓動が乖離なく、地続きで手のひらまで伝わる、その細やかな振動数には、いろいろな発声がある。
その発声が、いま、その音階を変えながら、次々と柔らかく解け、溶けては消えてゆくのがみえる。
私たちは、いまこの瞬間、天・源へと還りながら、同時にこの地を育んでいる。
そのことを知っていても、知らなかったとしても。
ここまで、絞りきり、流し落としてきた涙の分だけ、とてつもない、やさしさとあたたかさは備わり。
“ありがとう”と、音もなく降り注ぐ労いは、いまここに、光のシャワーのように束となって送られているから、顔をあげ、手を拡げ、その宇宙を解放するなら、いまこの瞬間に、波々と満ち溢れ、溢れるほどに受けとることができる。
だから、また。緑々と、翠々と、そのすべてを含み、信じて、ゆく。
はじまりから、幾重にもいくえにも、無数のつながりに愛され、育まれてきたことへの無限の感謝を。
共にここまで携えてきた、大いなる大いなる愛を、いまここに迎え、具現のとき。
いまもいままでも、これからさきもずっと、私たちは波でしかなく、またそうであることゆえの。
無限のよろこびと甘美を、共にいきましょう。
まずは、この星に生命ある限り。
そして、ずっとその先も。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?