見出し画像

10|心の葉と茶 - 宗葉先生 -

 わたしがお茶の道へ転がりこんだのは25歳のとき。
その伏線となっていたのが、21〜22歳のときのアメリカ留学でした。
 わたしが、主に持ち帰ってきたものにはふたつあり、ひとつは、踊りdance
もうひとつが、MUSASHI MIYAMOTO。

 留学先のオレゴン州立大学には、Art系の学部があり、副専攻として、世界の様々なdanceのクラスを履修することができた。

 ある日、Downtownにあるお店に出掛けたら、Jazz danceの先生(女性)も来ていて、ある音楽がかかったときに、パートナーらしき男性とふたり、まわりの人から押し出されるようにして、踊りだした。

 先生はプロのダンサーだったけど、そのときの先生は別ものだった。 
お互いがお互いのためだけに踊っていて、二人の息遣いだけがそこにある…という感じだった。鳥肌がたった。

 ふたつめは、Farmers Marketで出会った日系二世のご夫婦のご自宅で観た、三船敏郎さん主演映画の『宮本武蔵』…!脳天がカチ割られるような衝撃とはまさに…!!!超絶 COOL JAPAN ・・・・ (と思った…)。 

 NASAの航空宇宙や洋楽・洋画などに憧れて渡ったアメリカというくにで、一番衝撃を受けて持ち帰ってきたのは、〈宮本武蔵〉という“つつ”の先にある、自分が生まれ育ったくにとの、出会いなおしだった。

 帰国後、日本の伝統文化・芸能に少しずつ触れながらも、次の一歩が踏み出せなかった。 
どちらかというとアクティブな性質上、身体をつかって動くもの、和太鼓などの楽器か、踊りなど、と思っていた(茶道は合うわけないと思って、選択肢にもあがらなかった!)けれど、なかなか師や場に巡り合えなかった。

 そんな様子を見ていた妹から、「そんなに日本文化だっていうなら、お茶の先生からお稽古場の見学にと誘われているから、一緒に行かない?」と声がかかり、ついて行った。
見学という名に胡座をかき、お抹茶とお菓子に黙ってニコニコしていたら、帰り際にひとこと、「ではお姉さんも、来週からお待ちしておりますね。」と、言われ、現在に至る。

 わたしは運動部あがりで、身体の使い方やリズムに独特のクセがあり、それ以外にもダメだししかされなかった最初の八年。
さりとて、特段気負いも思い入れもなかったかためか、落ちこむこともなく、終始一貫低空飛行状態で、淡々涼々と稽古に通った。
その後幸いにして、劣等生にも羽化する機会が訪れる(笑)・・・のだが、いまにして思えば、さして覚える気もなく、ひたすら型の反復を身体に刻み込んだこの八年の歳月に、宝があったような気がする。

 「もうダメか、と何度も思ったけど、
あなた、とうとうやめなかったわね。」

 やめなかったことに理由はなく、結果でしかないけれど、おそらくわたしにははじめから感づいていたことがあって、それにわたしは引っ張られてきたのだと思う。
それを、わたしは自分で言語化することも出来ず、また、そういったことを説く方も、わたしの知るなかではいらっしゃらなかったけれど、お茶の世界でこそ絶対にいるはずだ・・・と思い続けてきたら、やはりいらっしゃった。
 だから見つけたときは、あぁやっぱり、、、と嬉しくて心が震えた。

●茶道と意識 修正分 
 茶の湯お点法時「意識/動作/呼吸の心得」

 踊りも、剣も、茶も、みな同じところへ行く。
繋ぐのは呼吸であり、身体であり、意識なのだと思う。

 宗葉先生の書かれている他の記事も、読み込めば読み込むほどに胸がいっぱいになる。
ユーモアに溢れていて、勇気が湧いてくる。
今ここに生きている先生の足跡。 
わたしにとっては生きている教本。

 私たちは、肉付けし、削ぎ落とし、を何度も繰り返し、錬磨されてゆく。
どんどん澄みゆく清流のように。
支流と支流は出会い、流れをつくり、そして流れてまた別の支流と出会う。

 その流れに触れるとき、わたしはいつもひどく感動して震えてしまう。
お茶に限らない。このくにに流れる伝統文化・芸能と呼ばれるもの(もしくはそうよばれていないものも)の流れに触れるとき、生意気ながら、ほんとうに尊いな...と思う。

 同じくらい敬意と感謝が溢れるのは、支流となった存在のあること。
わたしが宗葉先生の流れに触れたように。
だからわたしも、次の支流のところまで、透き通って流れていきたい。

画像1

宗葉先生、ありがとうございます。
わたしの名の尚は、父が『尚武しょうぶ』(転じて、文武両道)の意をこめ、母は『素直すなお(なお)』にと願い、名付けたそうですが、先生のブログを読ませていただきながら、なんだかそのことを大切に思うようになりました。
また、わたしも以前から、“こころ”という言葉を大事にしていて、だからこの出逢いに心底驚きと感謝があります。

最新のこの記事も、宗葉先生からのエールのようにも感じました。

●武蔵「五輪書」と茶道の関わり

精進します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?