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45| Orbit

 2022年、蟹座新月の日。
帰り道に立ち寄った本屋さんで、坂本美雨さんの著作『ただ、一緒に生きている』が目にとまり、お守りを手にするような感覚で、自宅に持ち帰った。

 文字、文章。その行間や、写真やイラストから溢れだす柔らかさといとおしさに、わたしの内側はほっとやわらぎ、たしかにあるのにまだ言語化することのできない、微妙でとても繊細な塊のようなものが、するするとひろがるスペースを得て、はにかんでいるきがした。

受精卵の大きさは0.2mm。
赤ちゃんになるということは、それが約40週の間に2500倍に大きくなっているということ。そのプロセスを通して、アメーバ、魚、恐竜、すべての時代を経験するんですね。お母さんのおなかの中では、生命が生まれて今までの40億年を40週間で駆け抜けるのですから、お母さんも赤ちゃんも宇宙体験をしているということです。

『ただ、一緒に生きている』 
特別対談 佐治晴夫×坂本美雨 みんな宇宙が育ててくれた


 この地球、この小さな宇宙で、物質や概念のようななんらかの〈カタチ〉でなにかを経験すること。

 み、触れ、きき、きこえ、味わうことのできる〈カタチ〉として存在するものを、新しい意識存在として、新たに体験しなおしてゆくための〈軌道〉が、幾重にも無数に描かれ、凝縮された一瞬のなかに置かれている。

 胎内へといのちを迎え、育み、はぐくまれ、共に、ひろく、温かなあたらしい世界へと送り出し、おくり出される存在たち。

 いままさに、彼方からいま此処に真新しく、何度でも、なんどでも生まれようとするすべての存在にとってのモールス信号のように、無数のうつくしい軌道〈Orbit〉の在処を知らせることのできる、存在の一端であれるように、、と、こころから。


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