58| 鶯
鳥の鳴き声。動物の遠吠え。風の音。木の葉のさざめき。虫の音も、四方八方より多重奏。蝉時雨など。
あちらこちらから、ユニークでたのしい、音の響き。
自然にききあうのか、息をあわすのか。
個はそれぞれ自由奏だとしても、やさしいハーモニー。宛ら、360° ホール。
夕方、明るい星々から送られてくる様々な音に包まれ、こちらからも参加し、音階に加わりながら夕食をつくる。しずかで穏やかな時間。
たくさんの音に紡がれ、今夏を楽しむ。
音なき音、生命の奏でる音、細やかな振動、場所の恩恵‥。
巡り、つながり。育みやサポートなどのやさしさに、感謝する。ありがとう。
島根県大田市温泉津。
金蓮山願楽寺の脇を通る細い山道。
10歳の父が、山向こうに魚の行商にゆき、日も暮れる頃、お米を担いで降りてくる母親を迎えに、提灯を片手に通ったところ。
強面でひょうきんな父から、“こころがなぐさめられる・・・“ と、ふいに溢れ落ちてきた音が、わたしの深いところに響いた。
幾重にも折り畳まれていた深い場所が、掬われて、還っていくように感じた。
つながりに届く音。届いている音はきっと。
ただきかれるのを、やわらかくひらかれるのを、待っているのだ・・・。
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