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64| 生命の間
先日のヘアカットで、数年ぶりに前髪をつくった。
前髪だけでなく、軽く、新しい感覚も気に入って楽しんでいる。
カットの翌日、アフターフォローのメッセージを寄せてくださったあかりちゃんに、髪の綺麗なラインのわかる写真を数枚、お送りした。
あかりちゃんをお迎えした際、『茶 挑戦』の掛け物をみられて、
「これ好きです。はなおちゃんが書かれましたか?とってもユニーク・・・」
と、言っていらしたことを思い出し、
「ユニークな、『茶』の書き主さんがうつっています(笑)」と、添えると、
「お写真ありがとうございます〜。
髪だけじゃなくて、全部、はなおちゃんの線がすごくキレイです。「茶」この方ですかっっ!
キャラ濃いですね。なんか、みんな笑笑」
賢さんにもシェアすると、
「光栄です‥。あなたもね!」
と。・・・いや、まったくだ!(笑)
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□入り口
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『茶』の書き主である、長年の茶友I君の手は、昔、先生に、「紅葉みたいに小さな手」と、揶揄されることがあった。
点前の順が覚わらず、先生の思う綺麗な点前に遠い。イライラの向かう標的になりやすかった。
何を言われてもあまり本人に響かないのが、余計にマズい。「上手くやる」とか、「頑張ってフリをする」「合わせる」などのコマンドは、彼には搭載されていなさそうだ。
稽古場の彼は、基本的に嬉しそう。
楽しそうで、「いつまでふにゃふにゃしてるの!!」と叱られても「へへへ・・・」と、豆腐のよう。
真剣な顔つきをしていても、ニコニコ微笑む大黒さんにみえてきてしまう。
彼ひとりだけ、御免状の階級も、お点前の稽古も、周回遅れであることに、本人なりの悔しさや羨ましさはあったようで、わたしと違い、お稽古をサボることも、脱走することもなかったように思う。
男子ひとりでニコニコしていて、女子の多い環境が好きなのかな…?と思うこともあったけど、これはとんだ見当違いだった。
とにかく、『お茶』が、好きなのだ・・・。
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昨年から、新しい先生の門下に入られ、今まで以上に熱心に稽古に通われているようだ。
おそらく、誰かに何かを言われたからではないと思うのだけど、今年に入り、どこか変化された感じがあった。以前より腰が据わり、どっしりした感じがする。
多少ずんぐりむっくり気味で、言動や挙動も、一般からすると変わっている点もあるかもしれない。
さらに、席中でしれっとおならをブリっとするなど、社会の規範(マナー)を平気でふみ倒した実績も多数。
が、彼を前にすると、“ほんとうの美しさ、魂の美は、振動でしかなく、多分目には見えないんじゃなかろうか‥”という感じすら、わたしにはする。
愛の塊のような、素直な人がひとりいるだけで、わたしも、わたしを含む場も、全体が、その多大な影響を受ける。
あるままをゆるしあうたび、それは新たな可能性となり、共になにかを突破している。
特にわたしは、ひとりではこえられないところを、彼の存在に、何度も手を貸してもらい、助けられてきた。
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時の間、空の間。生命の間。
〈瞬間〉には、思考や物差しを挟みこむすき間はないように感じる。
まるごとまるごと、そのままに、ありのままに受けいれて、あるまま泳がせているような。
やわらかな〈まなざし〉だけが、そこには注がれている気がする。
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