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33| たてば綽約

〈 いり口(ご案内 〉

岡崎市甲山閣、栄の間

 2022年2月から10月までの間、居住していた愛知県岡崎市にある、甲山閣。

岡崎城の鬼門の守護の位置にそびえる、小高い山の一角にあります。
新しい場所に移り、はじめての場をひらくとき、試みとしてあったのが、
“TEA TEAM GREEN” 。
TEAでもあり、“TEAM”でもある、
と、いうことでした。
(ダジャレ?!笑 うん!^^)

4月から5月へ、炉もおわりの頃

 2021年の春から紡ぎはじめた、お茶のあい

最初の一年は、大きくとらえれば、亭主としてわたしがととのえ、しつらえた場へ、お客様をお迎えして、、、というスタイルでした。

そのうち、“もっと拡がる世界がみてみたい‥ひとりで顕れているのではないのだから・・・。” という感覚があらわれ。
“たくさんの意図、意識のかさなりあう様々、無数の点と点が織り重なり、場が創り、練られてゆく様相も含めすべて、受けとり、味わってみませんか・・・?“ ‥と。

それまで、季をよみとき、わたしが用意していたお花やお菓子に、参加者の皆様が方々で見つけたり、手作りで持ち寄ってくださったものが加わり‥。

お茶の設え、用いる茶道具も、わたしのごくごく限られた手持ちのものだけで取り合わせるのではなく、甲山閣に備え付け、貸し出されているものをすすんで拝借したり、参加者の方が、自作された道具や、お持ちの宝物のお軸やお茶碗などを、それぞれに持ち運んでくださるなどしました。

所有をこえて、自然に行き交う流れの着く先を、ながめてみたいと思ったのです。

茶会の趣向を顕すお道具の取り合わせすら、しっかりとした事前の打ち合わせなく、その日、その場を迎え入れるわけですから・・・。

茶道に精通される方々は、「こいつ正気か・・・?」と、思われたり、するでしょうか(笑)。

当の本人わたしも、“はたして、成立するのかな?”と、内なる枠をエイッと毎会とびこえて、毎瞬、顕れるその響きあいを愉しみ、より大きな意図を受けとる感動とワクワクを、体験させて頂いたのでした。

持ち込んで下さった素敵な刷毛目茶碗
芍薬の花

一花一葉活如来いっかいちようかつにょらい 一草庵中安楽国いっそうあんちゅうあんらくこく

『茶の湯の銘 禅のことば』より

 禅語『安楽』とは、心身に苦痛がなく、安らかな状態であること、とあります。
一花一葉活如来いっかいちようかつにょらい 一草庵中安楽国いっそうあんちゅうあんらくこく」とは、一輪の花、一枚の葉もこの世に現れた如来であり、たとえ小さないおりであっても、安楽な世界である、との意の禅語だそうです。

 芍薬の花の〈芍〉は、抜きんでて美しいことをさし、芍薬の根は古くから生薬に用いられることから、〈薬〉をつけ《芍薬》との説があります。
 一方、茶も古来、〈薬〉として用いられたのが、そのはじまりだ、とも。

 心身を苦痛から解放し、安らかな状態にたすけるために用いられるものを、仮に、この世界でくすりとよぶのだとしたら‥。

 私たちのまわりには、薬の形を持たない、ゆたかな薬効をもつもので溢れているし、私たち自身を含み、生きとし生けるあらゆるものが、くすりとして用いられるためにここにあるのだ‥とも、思ったり‥するのです・・・。クスリ

岡崎公園の藤棚

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