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70| 京都大原 山は生きている

旅の記録。鳥風の吹く頃。
賢さんのナビゲートで、ふたたび京都・滋賀へ。
1日目は、北川美術館四君子苑の後、大原、三千院へ。

  芽吹を迎え、溌溂とする山々の内を走り、小雨まじりのなか、京都へ。

 四君子苑の春の公開にあわせての再訪です。
北村美術館の近くに『季朝喫茶 李青』のあることにきづき、はじめて立ち寄り、美味しい韓方茶をいただくことから。

 店内に置かれていた李朝の薬箪笥を見て、ふと、大学時代に、中国上海市の隣、南通市の市長さんの娘だった、ルームメートの帰省に付き添った旅を思い出しました。
 車で片道3時間ほどかけて、中国内地へと向かい、土埃の舞う、壁一面がふるい薬箪笥で埋め尽くされた中医薬のお家を訪れる体験。

 ガタゴトの道行き、車中でわたしはほどなくゲロッキーとなり・・・。苦し紛れにしばらく寝入ったのち、目的地に到着して下車すると、眼前には、どの時空に入り込んだかわからないような、幻想的な景色の展開が。

 その展開を、息をのむように眺める他方で、地球内奥から湧きあがる、中国大陸の分厚い層を何層も、何層をもこえて濾過し、足裏から届けられる、やわらかく、平和で、安息感のある穏やかなエネルギーを、じっと感じとっていました。

 北村美術館四君子苑に於いても、位置座標は何度も再計算されて・・・。

 土地の由来の説明の中で、私たちが2021年12月に訪れた曼殊院門跡のことや、このあと訪れる予定でいた三千院など、宮門跡のことがお話されました。
「僕たちこのあと三千院に行って、大原に宿泊する予定です。」とお伝えすると、「いいですね。楽しんで来てくださいね!」と、皆さんに、送り出していただきました。


  大原の地は、古に魚山と呼ばれ、これは、同じく声明(仏教音楽)の中心地とされた、中国山東省所在の「魚山」の名称に由来し、この地にうつされたものということのようです。

 この日も、私たちの参詣中、境内中央に位置する、往生極楽院から長く発せられていた声明念仏が、雨上がりの湿り気ある山々に低く響き、吸収されてゆきました。

  山々は霧を纏い、私たちの準備より、歩きはじめは幾分か表層気温の低い道行きでしたが、歩いている内にぽかぽかとあたたかく。
雨にも洗われた地表、山々から湧き上がるエネルギーを、全面に受けとり、私たち自身も、まるごと洗われるような1日でした。

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