美術表現に関わる近時の国内規制事例10選 1994-2013
Arts and Lawのファウンダーの作田知樹による、美術表現とその規制に関する事例集「美術表現に関わる近時の国内規制事例10選 1994-2013」が公開されています。
近年、外部からの抗議や規制によって、アーティストや美術館などの展示機関が展示を中止することは少なくありませんが、そういう「表現」と「規制」の対立が表面化した近年の事件がまとめられています。渋谷駅の岡本太郎の壁画「明日の神話」と一体化するよう設置されたChim↑Pomの「Level 7 feat. 明日の神話」の事件や、写真家のレスリー・キーがわいせつな写真集を販売したとして逮捕・略式起訴された事件は有名なところでしょう。国内で、こういう視点でまとめられた専門家のテキストは多くないので、ご興味のある方は是非。
「近年は、芸術家を支援するNPOや文化政策学者からも、既存の状況や規範への異論の提示という点で、ジャーナリストの活動と芸術家の活動は近いものがある、それにも関わらず、芸術家はジャーナリストなどに比べて自由な活動への法的保障が少ない場合があるということが指摘されています。」
というのは、確かに頷けるところ。伽藍とバザール風に言えば、「目玉の数の多い」インターネット時代には、表現への法的・倫理的規制が今後も強くなり続けるでしょう。表現を行うために、法的・倫理的規制の検討が不可欠になりつつある今、その試行錯誤の一例を紹介するテキストなのではないかと思います。
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