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10.19②

こんにちは。

既に最下位が決まっていた有藤ロッテ。
あと一歩で王者・西武から王座を奪える位置にいる
仰木近鉄。

近鉄優勝の条件は、この最終決戦ダブルヘッダー
2連勝。

当時の規定により、ダブルヘッダー第一試合は、9回を終わって同点は打ち切り。
つまり、9回までに勝たなければならなかった。

いきなり愛甲の2ランで先制された近鉄は苦しい闘い。鈴木貴久のホームランで1点を返すも、7回裏に3点目を失い、再び2点差。
8回、一死一、二塁で代打・村上隆行。
気合いの一打は、左中間フェンス直撃の同点タイムリーとなる。

しかし、同点ではダメなのだ。

あと1回で、勝ち切らなければならない。

9回表二死、3-3同点。
マウンドにはロッテのリリーフエース牛島。
ここで仰木監督は、ベテラン梨田を代打に送る。

梨田は、今季限りの引退を決めていた。
現役最後の打席だった。

こんにゃく打法と呼ばれたフォームの梨田は、この時なぜかリラックスしていたと述懐する。

無心で振ったバットから放たれた打球は、決していい当たりではなかった。
しかし、近鉄ナインの近鉄ファンの想いを乗せた打球は、センター前に落ちる勝ち越しのタイムリーヒットとなった。

4-3。

梨田は、2塁ベース上で、生まれて初めて、
ガッツポーズをした。

そして9回裏には、エース阿波野がマウンドに。
ロッテ打線を振り切り、勝利をもぎ取った。

優勝への扉に、手を掛けた。

その頃、テレビは細切れながら川崎球場の様子を伝え始める。日本中に、その熱狂が伝播する。

球場は超満員、いつのまにか近隣のマンションの屋上にも人だかりができていた。

第一試合終了のわずか25分後、
最後の戦いが始まった。

⇒to be continued