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ボクの先生は山と川

こんにちは。

釣りキチ三平でお馴染みの、矢口高雄先生のエッセイです。
自然界への愛情溢れる美しい描写や、
まさに日本のふるさと、というべき里山の暮らしの
知恵や工夫、家族や村の人々との交流など
時に我々現代人が忘れかけている感情を思い出させてくれる好著です。

もちろん僕はマンガ好きですから、矢口先生のマンガもほぼ片っ端から読みました。
矢口先生の作品は、まさに文化遺産とも呼べるものだと思います。
このコロナのおかげで、行こうと思っていた秋田県
増田町のまんが美術館へもまだ行っていないので、
近々行こうと思っています。

この本の中で一番好きなのは第4章、蛍雪のころ、です。矢口先生の中学時代、昭和30年前後の話です。

秋田の山の中の村ですから、自治体にも余裕はありません。もちろん村人もみな、戦後まもなくの地方の農村ですから、総じて貧しいです。
お金も、モノもない。

校舎はできたが、校門はない。
草ぼうぼうの荒れた土地はあるが、グラウンドはない。
修学旅行に行きたいが、予算がない。

しかし、彼らは最初から諦めることはありませんでした。生徒も、先生も、地域の人たちも、みんなで知恵を出しあって、労働して、アルバイトして、次々と夢を実現していくのです。
今と違う部分はもちろんたくさんあります。
今こんなことをやったらコンプライアンスがどうのとか、危ないからとか、あちこちから色々と横ヤリを受けて実現し得ないものもあるでしょう。

その時にあるもので、知恵を出し、誰かを頼って、
協力して、なんとかする。

その姿を想像するだけで、僕は何故か感動したのです。そしてそれを実現した時の喜びを、分かち合える気がしたのです。

現代は、まぁスマホひとつで何でもできるくらい便利な時代です。でも、手間がかかるから生まれる感動や愛着も確実にあるのです。
それをなくしてしまったら、人間として何か寂しい
のではないか、と思うのです。

僕にとって、時々、何度でも、読み返したくなる本なのです。


⇒to be continued