マガジンのカバー画像

昭和 近代文学 名著復刻版

15
1926〜1943(昭和元年〜昭和18年)
運営しているクリエイター

#近代文学

暗夜行路

志賀直哉 60歳。 長編小説。大きくてずっしり重たい「百科事典」のような本。表紙は文字のみですが、本体には挿絵が8枚も入っています(ページに貼り付けているタイプ)。 これまで数多くの本を紹介してきましたが、「口絵、挿絵」を担当した人の名前が紹介されていない場合がほとんどでした。ところがこちらの本では1ページを使い、丁寧に紹介してくれています。(ありがたい) 本の装丁には著者の思いがこめられています。なので私としては是非知っておきたいのです。 著者 志賀直哉 発行所 座

濹東綺譚

永井荷風 58歳。 濹東綺譚 =隅田川東側の話 向島区(現・墨田区)にある私娼街、玉の井が舞台。小説家(永井自身といわれている)と若い娼婦との出会いと別れのストーリー。 表紙カバーがなく、白と黒のみ。挿絵に白黒写真。本全体に鮮やかな色彩はありません。 この本が出版されたのは1937年。盧溝橋事件がきっかけで日中戦争が始まった年になります。 この時代、すでに活動写真という言葉は廃れ「映画」と呼ばれていました。そこをあえて昔の言葉を使う荷風。昔を懐かしんでいるのがわかりま