#01 小説『シャドウゲート』 序章 / 透明な社会
情報透明化報奨法が制定されたのは、ある静かな秋の夕刻だった。茜色の空が東京の高層ビル群を染め上げ、そのシルエットはガラス窓に反射し、街全体を幻想的な光で包み込んでいた。
その報は、テレビ、インターネット、街頭ビジョンなど、あらゆるメディアを通じて一斉に発信された。
「速報です。情報透明化報奨法が、つい先程、可決成立しました!」
ニュースキャスターの張りのある声が、坂本レオの耳に飛び込んできた。彼は、雑然としたワンルームマンションのデスクで、ノートパソコンに向かっていた。