2.改めて、私という人間が人物画を描き始めたわけ
いきなりだがタイトルの番号が違うんじゃない?って思う方もいるだろう。
間違いではない。
ただ、1はあまりにも暗すぎるので自主規制している。
開放できる日はくるのだろうか?
たぶん来ないだろう。
この回も大概暗いが1はそれよりも暗い。
この回もちゃんと暗いので、暗いのが嫌いな方はここで読むのをやめていただければと思う。
とりあえず自己紹介から始めよう。
『はなむぐり』という名でTwitterによく出没している。Instagramの方は時折、TikTokはやってない。
主婦と介護職員の合間に絵を描いている。
主に模写。
シャーペン画。
シソンヌさんを中心にお笑い芸人さん(有吉の壁で活躍されている方々)を描いている。
絵を描き始めたのは去年の2月の終わり。
絵描き歴一年と2ヶ月。
まだまだ甘い所だらけだが、やっと人様にも見せられるような絵を描けるようになったと思う。
絵を描く事は苦手だった。
というか、毛嫌いしていた。
小学一年生の時に先生に絵を手直しされ賞状をもらった。
「私の絵のままでは絵として認められなかった」と思った。
小学四年生の時には担任の先生に「あなたの絵は気持ち悪い」と言われた。
それからは図工の時間は適当に済ませた。
教科書をよく見て先生の思う理想的な作品を適当に作ってやり過ごしていた。
それは中学生の頃も続いた。
高校では選択制だったので美術を選ばず、「これでもう絵を描く事はない」と安堵した。
時は経ち大人になり結婚して子供にも恵まれた。
子供が「絵を描いて」とねだるようになった。
とりあえず簡単なアンパンマンの顔だけ描いて誤魔化していた。
あまり描きたくないのが子供心にもわかったのかそんなに絵を描くことをねだる事はなかった。
しかし、下の娘が年頃になり反抗期に入り始めた頃、絵を描くのが好きな娘がリビングで絵を描きながら突如「1分で絵を描いて」といい始めた。
反抗期入りたての娘とのコミュニケーションの取り方を模索している途中の私は仕方なく目の前にあった缶コーヒーのBOSSのマークを描いた。見出し画像のヤツである。
「結構うまいじゃん」
絵を褒められたのは保育園時代以来の事だった。
というより、褒められる事自体あまり無い人生を送ってきていたので褒められる事自体に慣れていない。
純粋に嬉しかった。
そこへ畳み掛けるように娘が次々とお題を出してきた。
お題を描く。
娘が褒める。
有頂天になる。
絵を描くってこんなに楽しいんだ!
真っ白な紙から私が生み出すもの。
無から有を。
それからは毎日描いた。
私も娘も調子に乗っていた。
ある日娘がとんでもないお題を出してきた。
「好きな芸能人を描いて。1分以内で」
急に言われて思いつくのはシソンヌのじろうさんだけ。
秋にファンになったばかり。だけど家族にはこの歳で推しができたのは恥ずかしくて公言してなかった。
急いで描いた。クオリティも低くて殴り描き。
それでも
「すごいシソンヌのじろうさんじゃん!壁のヤツ!雰囲気出てる!」
わかってくれた。そして娘は褒めてくれた。
その瞬間。
じろうさんの言う『脳汁』がドバッと出た。
生まれて初めての経験。
こんなことがあるのか!
喜びに打ち震えるなんて生まれてからほとんどなかった。
私に足りなかったもの。
『認められる』ということ。
生来ドシでおっちょこちょいな私は仕事でもプライベートでも中々認められることはなかった。
小さい頃からいつも1人でいた。
寂しくなった時は優しそうな、許してくれそうな人の横にいた。
可愛げのない子だったと思う。
誰にも認められないって思っていた。
そういう人生だと諦めていた。
それが、
まさか自分の娘に認められるとは。
そして、『認められる』事がこんなにも嬉しいだなんて。
残念ながらあの時の『脳汁』を超える体験はまだない。
私はあの『脳汁』体験がしたくて今も描いている。