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自家採取の天然麹菌いよいよ検体へ

今年の目標の一つに、天然麹菌を検体に出すことを掲げていました。この土地で自ら採取した麹菌で仲間と育てた大豆の味噌を仕込みたい。その為にはまず、カビ毒を産生しないAspergillus・オリゼーであるとのお墨付き、つまり同定検査が必要です。

自宅の庭先から採取

梅雨時に森での採取ではAspergillus・ニガー(黒カビ)の洗礼を受け、今年は何をやっても黒が出て来る年でした。
7月25日
軒先のない家なので玄関のポストの上に蒸した玄米を置いて採取開始。

黒く見えているのは椿の木灰をまぶし付けた色です。
強いアルカリ環境にすることにより、こうじ菌以外の雑菌を防ぐことが出来るという昔ながらの知恵です。

4日目、何もない不毛の地に白く何かが生まれたかと思うとポッと黄色い花が咲く。この瞬間が一番嬉しい。

5日目
黄色い胞子は増え、色も濃くなって来ますが同時にまたもや黒カビもお出ましに。
今回の目的はオリゼー採取ですから早い段階で分離しておかねばなりません。

6日目
裏を見るとこんな感じ。

出来るだけ黄緑色の黄麹菌らしきものだけを選び取り、これを種として次の蒸し米に種付けを行います。

培養して検体へ

選びとった麹菌を椿の木灰をまぶした玄米に付け、培養6日目。
純粋培養された黄麹菌の製麹時に出る栗香とよく似た香りに加え、胞子が出てきました。

培養9日目(8月9日)
一面に黄緑色の胞子が出たので完成とし、此方を検体に出すことにしました。

これまで幾度となく麹菌らしきものが採取出来ていても検査機関に出すことが出来なかったのは門前払いと、出た菌の数や種類によっては費用が相当嵩むであろうと言われ怯んでしまったことにありました。
天然菌は危険。Aspergillus・オリゼーと酷似している猛毒のフラバスは近年日本でも検出されていると聞きます。

オリゼーであるとお墨付きをもらうことが出来ればアフラトキシンの心配はないと過程して2週間を祈る思いで待ちました。

分析結果報告

純化同定し顕微鏡観察したところ、頂のう上のフィアライドと推察される組織形態が観察されたことから、検査品はAspergillus oryzaeと推定されたとの報告書が届きました。

推定された。
つまりやはりそういうことなのですね。
製造販売まで考える場合は、DNA検査を受けることが業界及び消費者への安心材料となり必要不可欠になると言うことです。

そう考えると種麹屋さんの純粋培養がどれほど凄いことなのか、室町時代から続くもやし屋さんの偉業が今日の醸造業界にどれだけの功績があるのか。
その一端を垣間見ると同時に、ただ感覚だけで命を繋ぐためにカビの酵素で穀物を発酵させてきた先人に頭が下がります。

ロマンの先がある事も学びつつ、掘り下げ辿ることによって見える道がある。
そんな変わった人がいても良いかなと。

培養シャーレも送っていただきました。

この夏、池間島の天然麦麹や稲玉麹をシャーレで培養していたので研究機関での培養シャーレを見てみたかったのです。

こちらは昨年稲玉麹から培養した胞子を今年2回ほど培養を繰り返したものです。
此方も同定検査に出せば稲玉田圃のお米農家さんとの可能性も広がります。

華麹菌でいざ製麹

庭先で自家採取した華麹菌で製麹してみました。
48時間出麹。
とにかく香りが良いです。
勝手にアミラーゼ優位なイメージを抱きつつ出麹使いで早速甘酒に。

待ちきれず3時間で味見。
言葉に出来ない…
こんなに甘くなるとは…
信じていたけど信じられない感動に包まれています。
手前味噌かもしれないので舌の肥えた友人に味見してもらおうと思います。

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