【出産の記録#2】妊娠高血圧症候群②
こちらの記事の続きになります ↓
陣痛誘発について
妊婦検診で妊娠高血圧症候群と診察を受けた翌日。早朝から私の入院を義実家へ伝えたところ、心配したお義父さんがお守りをもって駆けつけてくださいました。車を出してくれるということで、甘えさせていただくことに。入院に必要な荷物を旦那さんと手分けして車へと運びます。
病院へ到着後まずは入院手続き。前払い金を納め入院棟へ案内されます。病室についたところで旦那さんとは一時的にお別れ。担当の助産師さんから入院着に着替えるように指示されました。あまりにもスピーディな展開に思考が追いつかないまま、ピンクのゆったりとしたワンピース型の入院着を羽織ります。その後、今回行う誘発分娩がどのようなものなのか、担当医から説明がありました。旦那さんも合流して詳しい処置の流れを確認します。
私の場合、子宮口はこの時点で2cm開いている状態。目標の子宮口全開10cmまでは長い道のりが予測されます。そのため、まずは頸管拡張という処置を施す必要があると言われました。
そして子宮頸管が十分に拡張してきたら子宮収縮薬(陣痛促進剤)を点滴で投与し、陣痛を起こさせるという流れになると説明を受けました。さらに、これらの処置をすることによって起こりうるリスクについての説明を受け、納得した状態で同意書へサイン。その後すぐに旦那は一時帰宅。私は処置が始まりました。
プロウぺスによる子宮頸管の熟化
私の受けた頸管拡張の処置はプロウぺスによる子宮頸管の熟化というものでした。
はじめて聞く単語ばかりで難しかったのですが、要は子宮口をやわらかくして開きやすくするために、膣内に薬剤のしみこんだ紐のような形状をしたものを投与するということなんだそう。診察台にあがりすぐにプロウぺスを投与されました。
そして陣痛室へ移動。特に身体の変化を感じることはありませんでしたが、胎児の心拍とお腹の張りを測定する機材を取り付けられます。さらに、先生から血圧が高くなりすぎたら帝王切開になる可能性もあるので「食事と水分はとらないように」と指示がありました。そのため、水分補給のために点滴も入れられます。人生初めての点滴でした。なんなら、入院自体も初めての体験。健康優良児に育ててもらった私はこの日だけでいくつの初体験をすることになるのだろう……とこの時すでに途方に暮れてしまいました。
これが陣痛なのか……?
プロウぺスを投与されただけで陣痛がくることがあるとはいうものの、陣痛促進剤を投与したわけではないので、まだまだ陣痛を感じるのは先のことだろうと思っていました。しかし、9:30ごろから陣痛室にこもり始めたにも関わらず、11:00ごろには、なんだか骨盤が重たい……生理痛のような痛みを不規則に感じる……と違和感を覚え始めます。助産師さんに「骨盤あたりが痛いのですがこれは陣痛ですか?」と聞いてみたところ、規則的に来ているわけではないので「前駆陣痛かな……」と曖昧な感じ。初産婦の私は陣痛の痛みを経験したことがなかったので、数日前から続いていたお腹の不調が原因なのかも……と自分を納得させて耐えました。
とはいえ、治らまらない痛み……助産師さんが子宮口の開きを随時確認してくれるのですが、お昼を過ぎた触診では「3cmかな……進みはゆっくりね」といわれる始末。そのときには私は骨盤をグーーーと押されるような痛みを定期的に感じていたため、こんなに痛いのに陣痛じゃないのかな?全然子宮口開いてくれていないじゃん……と軽く絶望をしてしまいました。
血圧が170??
さらに、妊娠高血圧症候群ということで、血圧を30分おきに測定されます。お昼過ぎの計測で「う~~ん、高いね……血圧上が170超えているのでちょっと先生に相談してきますね」と助産師さんに言われてしまいました。相談ってなに?帝王切開になるってこと??怖い。まだ心の準備が追いついていないよ……。高血圧の自覚症状は軽い頭痛がある程度。定期的にやってくる腹痛に比べたら大したことはありません。
そんな風に頭のなかでマイナス感情が波のように押し寄せてきていたところ、助産師さんから「とりあえず点滴を追加して血圧を下げましょう」といわれ、先ほどとは逆の腕に点滴をされました。さらに「帝王切開になってもいいように血液検査をするので採血もしますね~」と血をとられている模様。腹痛が辛すぎて、腕の様子を気にする余裕はありませんでした。その後1度トイレへ行かせてもらうと、信じられないくらいの出血。「え?このタイミングでこの出血量はあってる??」不安になってナースコールを押しました。対応してくれた助産師さんは、「出血を確認して大丈夫ですよ、子宮口の開きだけ確認してみますね」と。この時確か15:00くらいだったと思います。「子宮口4.5cm」まだ半分も開いていないことにさらに絶望してしまいました。とはいえ腹痛の正体が陣痛であることを確認し、この痛みがどんどん強くなって間隔が狭くなっていくのね……と腹を括ることができました。
プロウぺスを外しましょう
その後、先生が見に来てくださり定期的な張りが強くあることから血圧を安定させるためにも「プロウぺスを外しましょう」と処置をしてくれることになりました。ただここで問題が……。処置をしようと膣を触診されてもプロウぺスが見つからないというのです。「トイレで外れました?」と聞かれても、そんなことを確認する余裕はなく用を足してしまっていたため「わかりません」と答えることしかできません。先生は「診察台上がってもらってしっかり確認しましょう」と助産師さんに伝えます。すでに定期的感じる陣痛で悶え気味だった身体に鞭打つように、診察室まで歩きます。へとへとになりながら診察台にあがったところで、先生から膣内をぐりぐりされます。とにかく痛い……腰から下全部が痛覚に反応するような何とも言えない苦行を乗り越えます。すると先生が「破水した」と一言。「高位破水だね」と続けます。
ちょろちょろと温かい水が流れ出る感覚がありました。プロウぺスはやはり見つからず、トイレに行ったときに外れてしまったのだろうということになりました。再度陣痛室へ戻されます。助産師さんが「破水したので抗生物質の点滴も追加します」とさらに新しい点滴をかけているよう。こちらは再度注射器をさされることはなかったので一安心しました。
水が飲みたい
陣痛に耐えている間、一番欲しかったのは水分でした。いくら点滴で脱水症状にならないようにしているとはいえ、口のなかがカサカサで痛みを逃がそうと息を吐く度に酸欠のようなめまいを感じては、口の潤いがないことがここまで苦しいことなのかと、少量の唾をのみ込みつつ感じていました。携帯を握っているにも関わらず、旦那さんへLINEを送る気力も残っておらずただベッドの淵、金属部分を握りながらその冷たさを感じで集中して痛みを逃がすのみ。パニックになってはいけないと自分に言い聞かせて、痛みがくる度にもうすぐ会える赤ちゃんに「私たちを選んできてくれてありがとう」と伝え続けていました。
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