健康になる


恋人から、野菜を食べろ、8時間寝ろ、ストレスをためるな、体を冷やすな、と生活指導を受けている。

最近は境界性パーソナリティ障害の本を買って、自分で取り組める実践的なスキルを試してみたりしている。恋人は、私が黙々と本を読む隣で何も言わずに待っていてくれて、本を畳むとこちらに微笑んでくれる。

私はひどい人間だ。歴代の彼氏はみんなサンドバッグのようだった。
母にさえ、火がつくと止められない、と言って怯えられている。
私にはそんなつもりはなかったけれど、今思い返してみれば、私の怒りは相当理不尽なものだったと思う。

欲しい時に連絡がない。やめてほしいことをやめてくれない。言って欲しい言葉をくれない。
思い通りに行かないことなんて当たり前なのに、私はそれが許せなかった。愛しているなら全てやり通して当然だと思っていた。できないのは愛していないからだと決めつけた。
私の中には白か黒、善か悪かしかない。

健康になりたい。曖昧な世界を受け入れたい。自分を受け入れたい。他人を信じたい。

古い友人に言われた言葉が今でも鮮明に思い出される。お前は気分が変わりすぎてついていけない。
それでも彼は、一定の距離をとりつつも今も友人でいてくれている。時々LINEをくれる。

私は急には変われないと思う。もしかしたら、一生このままかもしれない。
でも、それでは絶対ダメだと思うことも違うのかもしれない。それすらも白黒思考のひとつなのかもしれない。

私は当時から私のままだけど、友人はいる。
ついていけない、と言われた頃は彼にベッタリだった。教室でも放課後の帰り道でもずっと一緒にいた。距離が近すぎると甘えすぎてしまって、依存的になって、それで相手が疲れてしまう。
それがわかったから、友人はあえて私と一定の距離をとって、その距離で友人で居続けることを選んでくれたんだと思う。口は悪いが、賢明で優しい友人なのだ。そして、狭すぎた10代の私の世界を一気に広げてくれた人だ。

私はこんなにひどいけれど、周りにいる友人は素晴らしい人ばかりだ。そんなに素晴らしい人達が周りにいてくれるのだから、私にもどこか友人にするに足りる何かがあるのだと期待したい。

私の周りにいてくれる素晴らしい人達のために、私はこの衝動をなんとかコントロールして、彼らにふさわしい人間になりたい。

だから健康になろう。野菜を食べ、軽い運動をし、お風呂につかり、夜は早く床につき、8時間しっかり睡眠をとり、朝は決まった時間に起きてお日様の光を浴びる。

それ以上を求めるのはその後でいい。

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