冷蔵庫と鰻

母は料理好きです。
人をもてなすのも大好きでした

その母が
買い物に行けなくなって
生協の宅配のみになり、
「1週間後のことなんて考えられない。
食べるものがない」

というようになりました。

ならば、とあれこれ買ってきました。
冷蔵庫に収めようと開けてみたら

冷蔵庫びっしり…

いつ作ったかわからない
瓶詰めの調味料
2年前に賞味期限切れているバター6本
その他なんだかわからないものがわさわさ

牛乳一本入る余裕もありません。 
これはなんとかせねば…
大変な仕事になりそうでしたが
冷蔵庫掃除に取り掛かる事にしました

全部まとめてゴミ袋に入れてしまいたい
けれど、ある程度分別して

なにこれ〜やだ〜!

あまり言ったら母がかわいそう、
とは思いつつ
何か言わず(叫ばず)には
作業出来ない有様でした

「それは食べるから捨てないでよ」

「賞味期限が半年前。ダメ」

「そのくらい大丈夫なのに…」
という困り顔で覗き込む母の横で
ガシガシと処理していきました。

多分その時の「捨てられちゃった」記憶が
強く残ったのかもしれません…

うなぎ

猛暑が続き
食欲が落ちて食べていない様子。
「こんな時は鰻かな」
と母の家に行く時に買って
持っていきました。

母と一緒に準備して
「鰻は喉を通るね。食べられるねえ」
と美味しく食べました。

良かった。良かった。

それから数日後
電話で話しているとき

「あのね。この間はる子ちゃん冷蔵庫の
鰻持って帰っちゃったでしょー

昔ならいいけど、今お母さん買い物いくのも
大変だから困るのよー。
大事に食べようと思って置いてたのに
ないから〜」

「鰻は私が買って持っていったの!
一緒に食べたでしょ?」

「…食べる物なくてね…」

「そういえば、はる子ちゃんこの間
鰻持って帰っちゃったじゃない?」

と同じ話がはじまり、、、


「この頃、鰻はばっかみたいに高いでしょ!
うちでも今年はまだ食べてないんだけど
お母さんにはって買っていったの!」

「…うん」

あー
しばらく鰻を持ってかれた話を
聞かされる事になりそうです😩

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