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宝石の話です。ココナラで【あなたに合いそうな宝石を提案します】というサービスを出品しているからか「石を見て欲しい」と写真添付でお問い合わせがありました。

「感想でも良いから」とのことでしたが、丁重にお断わりしました。
「私どもGraduate Gemologistは科学的なデータをもって何の石か鑑別しますので、見た目で判断することは禁止されています
と。"致しません" より "禁止されている" 方が伝わりやすいかなと思いまして。そして、お買上げのお店にお問合せください、ともお伝えしました。

見た目で判断することを "Sight IDサイトアイディー" と言います。IDはidentification、宝石鑑別はGem Identificationですので ”鑑別” の部分ですね。世の中にはわかりやすい石もあり、鑑別実習にも出てきます。

「べっこう飴のような見た目、食塩水に浮く。アンバーだ!」
食塩水に浮く=比重が大変軽い、です。確かにアンバーは軽いですが……。

「Sight IDはダメだからねー!ちゃんとデータ取って判断して!」
と先生も口を酸っぱくして言っていました。

アンバー(琥珀)っぽく見えても、プラスチック等との鑑別は必要です。ですから、持った感覚が軽くても、屈折率を測り、偏光器で見て、顕微鏡で見て(サンスパングル(※)でもあればアンバーの可能性大)蛍光やスペクトルを見て、比重を測って(アンバーの可能性が大なら食塩水)とう手順を踏む必要はあります。

※サンスパングル
加熱処理した時に内包されていた気泡が弾けて、円盤状のインクルージョンができます。加熱処理は色を良くするためや、このサンスパングルを作るために行われていて、詐欺ではありません。

前述の話は「アプリで〇〇(宝石名)と出た」ともありましたが、写真で鑑別できるほど簡単なわけはなく。実際、似た石でも比重が肝だったり、スペクトルで判断したり、蛍光を見たりしますし、顕微鏡で60倍ぐらいにして違いを探していくこともありますので、今は写真での鑑別は無理なのではと思います。

可能性があるとしたら、拡大してインクルージョンを探すことでしょうか。天然あるいは合成の痕跡を探すとか、その石特有のインクルージョンを特定するとか。それには写真も高精細でないと難しいかなとは思いますが。

まずは売る側が、わかった上で仕入れて、きちんと表示して欲しいものです。

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