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舞夜物語 vol.6

たとえば 気配について

冬の朝 透明感の漂う白い朝
薄陽射す しずかな始まり

たとえば

ふと何かと感じて見やった先には

季節の変化に 
いつもの時間の筈とハッとする

陽の入り方が変わった窓辺では
余りにもの 急ぎ足 勇み足に
マッタマッタと
すこしはひと息おつきなさいと
美しき日常の景色が
大切ななにかをそっと知らせる

或るときは

微睡の記憶の波が押し寄せては
時折 硝子を震わし
カタカタと小刻みにそよぐ葉と葉
枝と葉のザワザワとしたあとには
ほんの少し 白いカーテンが
ふわっと揺らめいた気がした
そのあと 
一直線に強い陽射しが向かってきて
部屋全体が一気につい20分前のように
陽光明るく心を照らしはじめた

雲と風と太陽よ
こんなにも気持ちを揺さぶるとは

そういえば

心に太陽をもて
嵐が吹こうと
吹雪が来ようと

そう山本有三氏は教えてくれた

窓辺は
春なのか秋なのか
冬なのか夏かもしれない

朝なのか 昼なのか
夢かもしれない

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