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文学碑や史跡の逍遥録

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文学碑や史跡の逍遥録
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#作家

檸檬  れもん  レモン    大阪府

こんにちは。 昨日に続き、文学碑のメモを。 レモンスカッシュやレモンサイダーなど、「檸檬」と聞くと爽やかなイメージを持ちますが、梶井基次郎先生の名著「檸檬」は独特な読後感です。暗澹たる感情が沸き立ち、最後も不気味に終わります。しかし、不思議な読書体験が故に、何度も味わってしまうのです。檸檬のように。 大阪にて、梶井基次郎先生の文学碑を訪れました。靭公園内「うつぼこうえん」にある文学碑。夜でしたので、探すのに少し苦労しました。 びいどろと云う色硝子で鯛や花を打出してある

鴨川の対岸には、思いを馳せるあの子が・・・   京都

こんにちは。 京都の御池通にあります、夏目漱石先生の句碑を訪れました。 木屋町に宿をとりて川向の御多佳さんに 春の川を 隔てゝ 男女哉   漱石 句碑は昭和四十一年(一九六六)十一月、「漱石会」が明治の文豪夏目漱石(一八六七~一九一六)の生誕一〇〇年を記念して、句にゆかりの現地に建てた。 漱石は、生涯、四度にわたって京都を訪れた。最初は明治二十五年(一八九二)七月、友人で俳人の正岡子規とともに。二度目は明治四十年(一九〇七)春、入社した朝日新聞に「虞美人草」を連載する

随所に点在する文学碑。思いを馳せる

こんにちは。 文学碑は全国に点在しています。和歌や俳句や小説の一節など、文学作品に関する語や文章を刻みつけた碑のことです。言霊を大事にし、言葉を後世に継承するために、彫り込んだ碑でしょう。 綺麗な言葉には、心を濯いでくれるものがあります。 例えば、 夕暮からひどい雨になった。山々の姿が遠近を失って白く染まり、前の小川が見る見る黄色く濁って音を高めた。こんな雨では踊子達が流して来ることもあるまいと思いながら、私はじっと坐っていられないので二度も三度も湯にはいってみたりし