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男の勇ましさと女の妖艶さと。どちらの念ともを強く発している『末廣神社』神社紹介#5

 こんにちは。華です。

 八月も後半。コオロギ? スズムシ? クツワムシ? 秋の夜長を彩る虫たちの競演が日中にも聴こえるようになってきましたね。
 そんな秋の気配に、ついつい、熱中症対策も油断がちに。
 ですが今日も朝から、ムシムシ、ジットリ。暑いですよね。
 皆さまもどうぞ気を抜かず、情緒あふれる秋へと気持ち良く入っていってくださいませ。

無料イラスト素材集より拝借。

 さて。
 では早速ですが、週一神社紹介に参りましょう。
 先週に引き続き、東野圭吾さんの長編小説『麒麟の翼』の聖地巡礼シリーズ、日本橋七福神巡り。今回は第三弾となります。

 水天宮を起点に反時計回りで進んでおります故、本日ご紹介するのは『末廣神社』です。
 先週の記事と同じく、皆さまに、なんとなくでも位置関係を感じてもらえたらと思い、日本橋七福神めぐり公式サイト(https://www.nihonbashi-shichifukujin.gr.jp/)から拝借した画像を添付してみます。
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 地図上を赤い四角で囲ったのが『末廣神社』です。
 地図をご覧になって敏感に察した方が多いでしょうか?
 日本橋七福神巡りで訪れたどの神社も、完全に住宅街の一角。住宅と住宅の間や、住宅街の角地にあります。
 今回ご紹介する末廣神社も然り。

 だけどね。
 浮いている印象など全く持ちません。ここ末廣神社も、前回ご紹介の松島神社も、これから順次紹介していく小網神社も茶ノ木神社も、どこも異空間を貼り付けたような違和感を感じさせたりしないのです。

 とはいえ。
 それら神社が目に入った瞬間、「結界」という言葉が頭をよぎります。神聖な領域がそこにあることをしっかりと感じるのです。

 異空間を感じさせないのに、結界があることを感じさせる。
 矛盾していそうなこの二つの印象を違和感なく与えてくる日本橋七福神の神社たち。

 その中の一つ、今から紹介する末廣神社は、異空間と結界という矛盾プラス、もう一つの矛盾を感じさせる神社でした。
 末廣神社の鳥居をくぐってすぐ、何かゾクゾクするものを感じていた私。
 今回、末廣神社をご紹介するにあたりいろいろ調べてみて、あの時感じていた独特の空気感の正体に気づきました。
 その正体とは。
 これ、一つだけではありません。
 二つの正体があったのでした。

 その一つ目。それは。
 男の念と、女の情念と、です。

 ここ、末廣神社のある地周辺は、江戸時代初期、初めて遊郭ゆうかくが作られた場所だそうです。
 遊郭よりも吉原よしわらの方が聞き馴染みがあるでしょうか?
 その当時、町は活気づいていたそうです。
 幕府の命により数十年後、遊郭は他の地に移転したそうなのですが、その移転後も町の賑やかさに変わりはなかったのだとか。

 ……女であることでこの地に生き、そして何かを想い願ってここ末廣神社を参拝した女性がたくさんいたのではないでしょうか。
 そして、彼女たちの魅力に引き寄せられた男もまた、何かを想い願ってここ末廣神社を参拝していたことでしょう。

 そんな色恋の念を感じたのが、「矛盾が同居する不思議な感覚の正体」の一つ目。

 そして二つ目の正体。それは。
 子を想う母性と、勇猛果敢に戦う男の姿と、です。

 ここ、末廣神社では、とても珍しいことに「他の稲荷」を境内内で祀っているのだそうです。その「他の稲荷」というのが驚いたことに、マザーテレサ(ヨーロッパ生まれながら、インドで貧しい人々のために生涯を尽くした女性)の日本版ともいえる徳の高い女性を祀る稲荷なのだそう。

 江戸時代、その徳の高い日本人女性は、助産婦をしながら生計を立て、働く女性のために子供を預かり、また親から見捨てられた孤児を引き取り、食事を与え学問も教え自分の子どものように育てたそうです。
 彼女が亡くなったあと、彼女のその生きざまを称え稲荷社が建てられたそうなのですが、ある時、なんらかの事情でお社の維持が不可能となり、兼ねてよりご縁のあった末廣神社がその『養母世稲荷』をお預かりすることとなったのだとか。
(末廣神社 公式hpの本文より抜粋 https://suehirojinja.or.jp/yuisho/

 境内に堂々と立つ御神木、椎の木の根元に小さいながらも立派な稲荷がありました。
 きっとこれがそのお預かりしている養母世稲荷なのではないでしょうか?
 ↓↓↓

 その事実を知らずに参拝していたあの時の私でしたが、子を慈しむ心、まさに母性。そんなエネルギーを強く感じていたのだと思います。

 そして同時に感じていたのが、とても力強い勇ましさ。
 神社入口に設置してあるのぼりで、「七福神の一柱、毘沙門天びしゃもんてんという戦いの男神を祀る神社」というイメージは確かに持っていました。
 ただそれだけではありません。境内には力強さを目で感じさせる大きな石が二つ、凛と建っていたのです。

 一つ目が『は組の石碑』
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火消しで有名なあの「いろは組」の「は組」のことです。
火消したちの住む町が末廣神社の周辺にあり、この付近一帯の防災を担っていたそうです。

 二つ目が『満願成就 徳の石』
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大きな椎の木の根元に置かれている石。
御神木同様、しめ縄が巻かれています。
静謐を思わせながらも、その中に渦巻く熱く力強いパワーがあふれ出ているようでした。

 毘沙門天という先入観プラス大きな石二つ。
 これらの効果で力強く勇ましい感じを覚えたのでしょうね。

 優しく包み込んでくれるような母性的オーラと、毘沙門天をはじめ、江戸の町を守る火消し男衆の男気と。そんな相反するパワーの混在を感じていた。
 これが「矛盾が同居する不思議な感覚の正体」の二つ目。

 とても小さい神社ではありますがこのように、矛盾パワーを違和感なく楽しむことの出来る素敵な神社でありました。
 末廣神社。
 ぜひ一度、足を向けていただけたらと思います。 

 ――勝運を授け、災難を避ける
 400年間信仰を集める
 人形町の地主神
 日本橋七福神の毘沙門天
 商売繁盛、金運財運向上――

 上記紹介文は私の言葉ではありません。
 末廣神社公式hpのホーム画面に流れてくる言葉です。
 言の葉。ことのは。コトノハ。
 この文章に当てはまるのは「言葉」という単語ではなく「言の葉」
 そう感じるのは私だけでしょうか?

 そんな流れる言の葉に癒しを得られる末廣神社hpはこちら。
 ↓↓↓

【末廣神社】
<所在地>
 東京都中央区日本橋人形町2-25-20

<ご祭神>
宇迦之御魂神うかのみたまのかみ(稲に宿る神)
大国主神おおくにぬしのかみ(=七福神の一柱、大黒天。七福神が二柱、ここ末廣神社にはおられるのでしょうか(苦笑)?)
少名毘古那神すくなびこなのかみ(とてもちっちゃな神さま。お母さんの手の指の間から零れて落ちてしまったほどの小ささなんですって。まるで一寸法師ですよね。幸せをもたらしてくれる神さま)
須佐之男命すさのおのみこと(彼について近々熱く語りたいです。スサノオ。彼の存在を知ると、「絶望の淵にあっても明るい未来が訪れることを信じて頑張ればきっと」という希望を持ちたくなります)
大宮比売神命おおみやひめのみこと(古事記で見ることのない神。日本書紀にも登場しないよう。『古語拾遺』という書物に登場する神さまのよう)
・毘沙門天=七福神の一柱。必勝の神。
 
<ご利益>
 厄除け・五穀豊穣・開運招福・商売繁盛・勝運 他多数

 では、今回はこれにて。
 またしてもご祭神の部分に、あれもこれもと詰め込んでしまいました。
 読みづらい思いをさせてしまっていたとしたらすみません。

 たくさんの方に楽しんでいただけるような神社紹介を目指して試行錯誤していきます。
 お読みくださった皆さま、どうもありがとうございました。
 次回の更新を楽しみにお待ちくださると幸いです。

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