次回お参りする時は、海で亡くなった命を想いたい『水天宮』神社紹介#3
※※※10月5日(水)、追記※※※
肝心の七福神について記述することを忘れていますね(^^;)
こちら水天宮で祀られているのは、七福神の中で紅一点である弁財天。境内内にある別社「宝生弁財天」におられます。
小さな拝殿、しかも全てが鮮やかな朱色で染められており、可愛らしい弁天さまの存在をそのまま感じることが出来ます。
ちなみに、弁天さま(=弁財天)は市寸嶋比売命という神さまと同一人(神)物。
イチキシマヒメは三姉妹の真ん中っこ。美人で気立てが良く芸達者。おまけに、養育係としての才が突出していたそう。引く手あまたの人気者にならない訳がありません。
イチキシマヒメのご利益にあやかりたいものですね(*´▽`*)
※※※
こんばんは。華です。
神社にお参りする時、事前にご祭神を調べることが出来るようなら今度からそうしたい。
今、心からそう思っています。
先日、東京観光に行ってきました。
場所は日本橋。
日本橋に設置してあるという『麒麟の像』を見るためでした。
実は、こちらnoteでの初投稿の自己紹介記事の見出し画像が、その時撮影した『麒麟の像』の画像。
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麒麟の像についての話は、神社絡みではなく、読書の話の一環で触れるつもりでした。日本橋の麒麟像に会いに行きたくなったのには、一冊の本の影響が強くあったからです。
東野圭吾著『麒麟の翼』です。
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東野圭吾さんの書く小説が大好きな私。といいながらも実は、東野さんの作品を二作しか読んでいませんでした。『プラチナデータ』と『ナミヤ雑貨店の奇蹟』です。
そう、たったの二作しか読んでいないのに、「私は東野圭吾さんの書く物語が好きだ!」とうそぶいていたのです。
――せめて十作は読まなければ。
その歪さに気づいたある日を境に、東野圭吾さんの作品をたくさん読み始めました。どれもこれもやはり面白い。長編ばかりではなく、ブラックユーモア満載の短編集もすごく面白かったです。
その中でも、特に私の好奇心をそそったのが、我が家からそう遠くない東京・日本橋が小説の舞台であるという『麒麟の翼』でした。
……麒麟の翼はじめ小説の話はまたの機会に。
私の心は今、ざわざわと揺れています。まるで波しぶきを上げ荒ぶれる海のように。
その理由は……。
――神社紹介・第三弾はどれにしようか?
そう思いながらスマホ画像を眺めていた時、ふと神社の画像が続く一角が目に留まりました。
「そうだ。今回は『麒麟の翼・聖地巡礼シリーズ。日本橋七福神』でお届けしてみよう」
思い立ったが吉日です。早速いつものルーティーンに。
七つある神社のうち、その紹介第一発目に『水天宮』を選びました。日本橋七福神の中で一番大きくて有名で、麒麟の翼の小説の中でも「鍵」となる神社だったからです。
紹介文を書く神社を決めたら、その神社のご祭神をネット検索。いつものように、軽い気持ちで一番上に出てきたサイトを開き、ご祭神の説明書きを読みました。
――水天宮には四柱の神さまがお祀りされています。
「へー。四柱も。安産で有名な神社だけれども、安産のご利益のある神さまの名ってどういうのなんだろう」
一柱目は、普通に神さまの名でした。
普通、なんていうと叱られてしまうでしょうか。
――天之御中主の神――
八百万の神々の中で、一番最初にこの世に生まれた神さまです。
まさに漢字名の示す通り、天(高天原=天空にある神さまの世界)の御中(=真ん中=中心)におられます。
二柱目、三柱目、四柱目は、神さまではありません。
人間、それも天皇です。正確には、天皇は一人、その天皇の母親と、そして天皇の祖母。おばあちゃん、お母さん、孫(=天皇)という三世代の関係性ですね。この三人が、アメノミナカヌシという神さまと同等の立ち位置でご祭神として祀られているそうです。
この二柱目以降の「元は人間」で死後、神さまとして崇められるようになった三人の運命が、さらりとご祭神の説明書きの中にあったのですが、これを読んだ瞬間、それまで浮かれ気分でいた心に、ずしりと「生と死」がのしかかってきました。
私の心がまるで鳴門の渦潮のように渦巻き始めたのはここで。
なんと、三人ともが海に飛び込み自殺を図り、うち一人は救助、うち二人は命を落としたそうなのです。
入水(海に身を投げた自殺)の舞台は山口県壇ノ浦(現下関)。
歴史好きな方ならすぐお気づきでしょうか。
平家が滅亡したあの壮絶な合戦、壇ノ浦の戦いでの敗北直後の出来事でした。
まず、二柱目のご祭神、安徳天皇。平家一族。一才二カ月(満年齢)にして天皇へ即位。そして、六才四カ月(満年齢)の時、山口県壇ノ浦(現下関)の海上で、船から海へと身を投げる祖母の胸に抱かれ、祖母とともに死亡。
三柱目のご祭神、建礼門院(平徳子)。安徳天皇の母。
建礼門院の父は、あの平清盛であり、母は時子。
救助されて一人生き残った建礼門院は、京都へ送還されたあとに出家、仏さまの道へと進み、息子・安徳天皇と平家一門の亡き御霊を弔い続ける。
四柱目のご祭神、二位の尼(平時子)。安徳天皇の祖母。
壇ノ浦で源氏に追い詰められた平家一門は、白旗を上げて生き延びる道を選ぶのではなく、自ら命を絶つ道を選ぶ。二位の尼も然り。
死の覚悟を持って六歳四カ月の安徳天皇を抱き上げた二位の尼。
祖母の並々ならぬ気配に不安になったのでしょう。
安徳天皇は「どこへ連れてゆくの?」と祖母の顔を仰ぎ見たそうです。
二位の尼は「波の下にも都がございます。極楽浄土へ参りましょう」と告げ、幼子もろとも海に飛び込んだのだとか。
無理心中。
なんて悲惨な運命を歩まれたのか。
壇ノ浦の戦い、こんな悲しい物語がある戦いだったでしょうか。
学生時代に習ったはずなのに、全く記憶がありません。
ここのところ、歴史をもう一度学び直したくてたまりません。
どんなに惨めでも、どんなに苦しくても、自ら命を絶つ道を選んで欲しくない。
報われない努力だらけかもしれないけれど、「きっと良い方向に向かっていく」と信じて生きることをやめないで欲しい。
二位の尼に会うことが出来るのなら、思いとどまるよう話し合いたい。
……いえ、多分おそらくきっと、今こうしている間にも、この世に絶望し、自殺という道しか選択肢がないと思い込んでいる人たちがたくさんいるのですよね。
最近、頻繁に「人身事故で電車が遅延」の文字を目にしています。
人身事故って、そういうこと……ですものね。
今からでも遅くない。彼ら、彼女らが生きる希望を微かにでも抱けるような力強い発信をしていけたら。
二位の尼による無理心中の話を知った今、強烈にそんな使命にも似た感覚が芽生えています。
……安徳天皇、そして二位の尼。どうぞ安らかにお眠りください。
【水天宮】
<所在地>
東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目4-1
<ご祭神>
・アメノミナカヌシ
・安徳天皇
・建礼門院
・二位の尼
<ご利益>
安産・子授け・病気治癒・水難避け
今回はこれにて。
最後までお読みくださり、本当にどうもありがとうございました。
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