産まれた時間

ずっと気になってた。
占いでよく見る生年月日の後にある『午前・午後』を選ぶところ。
わたしはいつも『不明』を選ぶ。

昨年の年末に母からの誘いで今年入ってすぐの1/2、わたしの母と相方とわたしの3人で日帰りのカニバスツアーに行ってきた。
聞くのはこのタイミングにしようと年末から決めて、相方にも伝えていた。

当日、バスに揺られ何カ所か観光し、旅館につき3人それぞれカニを貪ってるときに、相方にアイコンタクトをし、
「わたしって産まれた時間って何時だった？よく占いであるがん？前から気になっとって。」
「んー、、あんたお腹の中で心肺停止して急に帝王切開になったから覚えてないわ。」

「え、、？」と相方と目を合わせる。

「急すぎてあんたのお父さん手術の同意書のハンコつく手が震えてなかなかつけんかったんよ。急に心音が聞こえんくんなって、ザーーーーーって音が続いて、新人の看護師さん2人となんなんだろうって言ってたら、別の看護師さんや先生が血相変えて走ってきて、麻酔の先生もすぐ来れんしで、最低限の麻酔で手術始まってな。最後の方、麻酔切れて痛かったわー。」
と教えてくれた。

わたし1回死んだんだ。

産まれたくなかった？
心臓動かすの疲れてちょっと休憩したん？
もしかして産まれた後辛い思いすること知ってたん？

よく分からないけど、母の入院先が大学病院で緊急事態の対応をしてもらえたおかげでわたしはこの世に引き戻されて今こうやって生きてることを知った。

だから産まれたときから薬まみれの毎日だったんだ。
だから長期間かけて何十回も脳波検査してたんだ。
この際、わたしが知らないだけで本当は何かの障害だったとしても、もういいや。また知りたくなったら病院に聞きに行こう。

でもわたしがわたしのお母さんなら毎日のように殴らない
殴らせてるお前が悪いとも言わない
どんなに自分が若くして母になっても
どんなに大好きだったであろうお父さんと別れたとしても

わたしここまで生きてて凄いな。
わたし尊いな。
これからはわたしはわたしの母であり、わたしの娘であろうと決めた。

母子手帳もどこにあるか不明で結局産まれた時間は分からなかったけど、わたしは壮絶な出産を経て育ててくれた母に感謝しつつ、わたしはもう大丈夫です。と母との距離は保ったまま生きていこうと思いながら1.1kgのカニを悪戦苦闘しながら平らげた話。