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いのちを摘む

緑の斜面を、夏をはらんだ風が抜けてゆく。
ここは和束。
京都一のお茶処。

6月26日午前10時半。
久しぶりにJR加茂駅に降り立つと、既にアスファルトは良い焼き具合だった。
主催者の松澤さんと合流し、バスに乗り込んで15分ほどで和束の集落に到着。
和束というと車がないと行けないイメージだったが、バスの時間さえ外さなければ簡単に行けることに気づいた。
飛び込んでみると意外と簡単だった。

ヒーヒー言いながら坂道を登っていくと、まず倉庫に案内された。
見慣れぬ機械が並んでいる。

茶摘みの機械

茶摘みの機械だった。
和束は斜面が急で大型機械が入れられない為、この重たい機械を2人で持ち上げながらお茶を刈っていくそうだ。
なかなかの重労働だ。

更に坂を登ると、今日お世話になる民宿・えぬとえぬが見えた。

民宿・えぬとえぬ

昔遊び行った大叔母の家が思い出されて、懐かしかった。
縁側のお花もいかにも涼しげで、実際古民家の中も良く風が通り清々しかった。

女将の北さんもとても明るく、気さくな方でちょっと安心した。

一息ついて、美味しい水出し茶を水筒に頂き、いざ茶摘みに。
道中、今茶園の存続が危機的なこと、茶園を経営するには10年先を見越して今から動かなければいけないこと、放棄された茶園が増えると他の茶園に害虫・害獣被害が及ぶことなどを聞いているうちに、茶畑に着いた。

お茶を摘む時は「一芯二葉」といって、伸びてきた新芽の先を摘む。

一芯二葉

先をつまんで引っ張るとプチっという手触りとともに草特有の匂いがした。
すぐそばでは小さな蜘蛛が一生懸命巣作りをしていた。

気づくと30分以上、夢中になって摘んでいたらしい。
お昼には女将さんがお茶づくしの料理を振る舞ってくれた。
お茶だけでこれほどアレンジができるのかと驚いた。

お茶づくしの昼食

中でも自分で摘んだお茶の葉の天ぷらは格別だ。
お茶のほろ苦い中に土と水の香りがした。
製茶されたお茶では分からなかったが、確かに私達は生命を頂いていたのだ。

宿に戻り、利き茶とお茶パフェを頂いた。
市販されているお茶は複数の茶葉をブレンドしているそうだが、今回は1品種を3種類いただいた。
出し方もあるのだろうが、どれも濃い!

たっぷりお茶を堪能して、自然のパワーをチャージした1日だった。

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