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5月1日開催、RP人狼『コエノナイセカイ』ウィルについて まとめ

こんにちは。日月葉桜です。
この記事では、先日、五月一日に開催された、なごんさん主催、RP人狼、『コエノナイセカイ』について、ウィル役をした私から、本編での彼について、また、本編で語りきれなかった彼のことについて、触れて行ければいいなと思ってます。
とても長文になりますが、彼の演奏を聴くような形で見ていただけると幸いです。

※ 本編のネタバレを含みます。こちら主催者であるなごんさん(GM視点)の動画です。
まだ見れていない方は、見てもらえると嬉しいです。

① キャラクターについて

今回、それぞれのキャラにペアがいて、ペアの相手が、どんな感情であれ、〖大切な人〗であるという前提があります。
ウィルのペア──大切な人は、弟であるロディです。

(尚、ロディの演者はあのコウさんなので、ペア決めの日にウィルとロディで組みましょ〜ってなった時、一演者、キャラ深堀大好きマンとして、相当わくわくしてました。)

それでは早速、彼らの自己紹介から。

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ウィル自身言っているように、それなりに、否、恐らくかなり名の売れたピアノ奏者であり、作曲家でもあります。(ウィルの話している映画については、これ本編で殆ど触れれなかったので……、あとで細かく説明する時間を設けます)

弟のロディとは七歳離れた兄弟。ウィルが26歳、ロディが19歳です。

ロディは大学生ですが、今は休学して病院通い、だそうです。何故そうなっているのかは、後で示唆する発言が彼らから出てくることでしょう。

どうやらウィルとロディは、今回共に〖夢〗を共有する他の者と同様に、落雷事故に遭っていたよう。そして、──その時、何か、特にロディにとってばれてしまいたくない秘密が、兄であるウィルにばれてしまったよう。

……それは、いっそ死んでしまった方がマシだと、ロディが思ってしまうほどの秘密であるのは確かだそうだ。そしてウィルも、そんな弟の姿を見て、唇を噛みしめてしまう。結局、自分は何もできないのか、と。

さて、彼等の中で共有されてしまった『秘密』とは、何だったのか。

それでは、また少し彼らの話した軌跡を振り返ってみましょう。

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二日目、役職が各人に配られ、見届け人であるポールから、《自分が、大切な人をどうしたいか、どうなってほしいか》《自分よりも大切な人の「声」を取り戻したいか否か、絶対に愛情を失いたくないか》そう問われた後からの、『歓談』とは名ばかりの、実の兄弟との会話にしては、……少し重たい会話が始まった。

さて、ロディの口から主に語られるこの兄弟の過去、どうやら、手放しに良いものとは呼べなさそうです。

──ロディは母から虐待を受けていました。因みに、ウィルは親からの虐待は、受けてはいません。彼等の父親の会社が倒産し、蒸発したことで、金銭的余裕のなくなった母親は、ロディに牙を向くようになりました。

……この頃のウィルですが、学生時代から映画の作っていたフランクの映画に感化され、ピアノを始め、のめり込んでいました。

フランクと映画の作る約束をしていたり、ハイスクール卒業後には、レコーディング会社との契約の話も決まっているほどに、──『彼個人の人生』は、間違いなく順風満帆でしたし、自由そのものでした。

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然しウィルは、弟が母親によって命の危機に晒された事で、全てを、好きだったピアノをも捨てるつもりで、周囲の人間に何も告げることなく、自身の生まれ育った街から、弟を家から逃げ出しました。

ウィルは改めて後悔の念が過ってますね。確かにロディから笑顔が消えていたのは知っていた。だけどそれは、両親がロディの成長を感じ取って、厳しくするようにしたからだろう、かつて自分に厳しくも愛情をもって教育をしてくれたように。

……本人も言ってますが、ウィル、気付いてなかったんですよ。母の豹変に。更には父親の蒸発すら。

存外ウィルは、人への興味が薄い人ではあるのでしょう。それでも、弟のことはとても気にかけていたでしょうし、逃げる前から愛情をもって接してはいたのは、紛れもない事実でしょうが。──ロディからの感謝の言葉が、それを物語ってますね。……だからこそ、ウィルも「ありがとう」と口にしたのでしょう。

あと、やはり彼って相当口下手ですね。

実際、口下手なんでしょうし。その代わり、音楽には、驚くほど感情の乗った旋律を奏でることの出来る才能を持っているのでしょうけど。

……この言葉、覚えておくと得するかもしれません。

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……──『兄だから』という言葉は、半分逃げで言いました、ウィルは。その後直ぐに『忘れてくれ』と訂正するくらいには、この『逃げ』の発言は、最早失言に等しいものであったと。……どうして、失言と断言できるのか?

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ここで、ロディの口から発せられました。冒頭の自己紹介の時、彼がそれ以上言うなと叫んだ内容。兄にばれるくらいないらあの落雷で死んでしまいと思ってしまうほどの秘密。

──そう、〖兄への恋慕の感情〗


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自分の感情に対して『気持ち悪い』と形容するロディ。曰く、これは主観的に考えた時の思考だとか。『常識』を押し付けられたロディにとって、同性で、実の兄に対しての恋慕という『非常識』が、ロディ自身が許せないからとのこと。

「兄さんだって気持ち悪いと思ったでしょ」この言葉に、ウィルは思わず声を、荒らげているんですよね。「思ってない」と。……それくらいに、否定はしたかったんでしょうね、彼。

此処で比較対象で母親のこと出してますね。母親は、二度、ウィルに対して金の無心をしています。一度目は、ロディを重体に追い込んだ、ウィル15歳、ロディ8歳の時。二度目は、冒頭で話した、フランクの映画で大成し、名が売れてしまった時。

──冒頭、ロディが訳あって病院通いであると言いましたけど、この二度目の無心が原因だったりします。その時ロディは、母親だった女に刺されたのです。

だから、ウィルにとって母親の方が『気持ち悪い』と断言は出来るのかな、と。ロディの自身に向ける感情は、衝撃だけど気持ち悪い訳が無い。それだけは、確かに、この時点でも嘘ではない。

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ロディは、ウィルにされたい事を口にする。

キスをしたいと。抱きしめられたいと。──抱かれたいと。欲の籠った言葉を口にする。

これを直接聞いても、変わらないの?と。

……それでも変わらないとは、言えてしまうんですよね、ウィル。なんでかと言われると、嫌ではないとは思いますから。恋慕としては分からないけど、間違いなく愛情を持ってるので。誰に対しての感情よりも、優先した愛情を。だから、お互いに雷に撃たれて、こんな夢を見てるんでしょうし。

故の、気持ち悪いなんて、思わないと、改めて宣言したのでしょう、彼は。

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……で、狡いですね、これ。ロディやってる人が狡い発言つらつら並べる達人だからでしょうけど。

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その後に、ウィル、半ば態とこんな発言をしてますね。

二度、彼は弟が明確に傷付き、倒れ伏した時、その時に傍にいなかった。自分のやってて楽しいと思ってる事を優先した結果。その後ウィルは、ロディの傍を離れる事を極端に恐れる様になった。一度目の時は、学ぶ機会も、ピアノなんかも全て捨てさろうとした。二度目は、殆ど自宅での仕事に切り替えるようにした。

──彼は、ロディの愛情を拒んでいる訳では無いんですよね。確かに嫌がってはない。

ただ、──極端に〖兄〗であろうとはしているかもしれない。極端に、救う事に、守る事に固執している。それが、15歳のあの事件以降の〖ウィル〗。

ロディの言葉が、響かない訳では無いと思う。それでも、ロディの辛さを今迄も、そして今さっきも分からなかった自分が、ウィルはどうしても許せなくなってしまうだけで。

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この時の『苦しい』、きっと、兄弟でベクトルが結構違うんだなって分かる、貴重なシーンな気がしますね。

お互いの『苦しい』を癒せるのはお互いだけなんでしょうが、それが少し違う。そう思うと、未だに胸を掴まれるような感覚になる、なんて。

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──さて、ウィルですけど、見届け人のポールの質問に、結局答えを出せてないんですよ。ギリギリ迄考えて、考えて、その末に、『答えられなかった』んですよ。

どうして?……敢えて言うならば、ロディの事を考え過ぎているから。

ウィルは、あまりにも他人の、ロディの為に生き過ぎている。自分本位に考えるのが、極端に下手になってる。ロディが、俺の愛情で苦しむのだったら、愛情なんて消してしまった方がいいんじゃないか、と、悩んでしまったが故の、『答えれなかった』。

……本当に、彼は彼で、ロディの事が好き過ぎるんですよね。〖兄〗というフィルター、呪い、そんなものに縛られてはいますけど。

②ミッションについて

さて、漸くゲームに触れていこうと思います。

ウィルに配られたミッションは、これでした。

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【夜時間中にロディに関わる】

これがウィルに課せられたミッションでした。

このミッションを達成できる役職は、『占い師』『狩人』『家政婦』『人狼各種』この辺りになりますね。

その中で、『彼の本質に最も近いもの』を希望することにしました。

……想像には難くないかと思いますが、希望したのは『狩人』でした。そして、無事希望は通り、ウィルは『狩人』のカードを手にしました。(因みに狩人も争奪戦があったらしいのを、別演者の方と終わったあと話してた時に聞いて、ちょっと冷や汗をかきはしました(笑))

──ま、これ少なくとも、この物語の始まった直後のウィルにとっては、皮肉以外の何物でもないんですよ。「なんでロディを守れていない自分にこんなものを寄越しやがるんだ」って。

……でも、別に守れていない訳ではないんですよ、ウィルはロディのこと。分かりやすく守れてはいないのかもしれない。だけど、ロディの心を守り続けてきたのは、間違いなくウィルで、それはロディに確り伝わっている。

あとは、それが何時ウィルが気付けるか、ですが。

──さて、話変わりましてロディですけど、ロディのミッションは、

【人狼陣営として勝利する】

だったんですよね。

いやぁ、主催のなごんさんよくキャラクターの事読んでいらっしゃるなぁって、ハッキリ言って思いましたよ。だって想像つくんですもん、ロディのことを紐解くと、彼はあまりにも『人狼』との親和性が高いことに。

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そして赤茶のまーーよく出来上がってらっしゃること。結構なロディ関連の赤茶です。(エマ→幼馴染 メアリー→お互い知らない『世界』を共有しあった理解者 ニック→メアリーの大切な人)

……ま、赤茶に関しては、もっと傑作な場面あるのですが、もう少し後で。

そうして、『狩人』のウィルと、『賢狼』のロディ。別陣営同士で、ゲームは始まりました。二人の運命は、この配役を二人に渡し、動き始めました。

③三日目

さて、ここからゲームが始まります。その前に、三日目、ゲームを始まる前に交わした言葉を。

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先ずフランク、本当設定結構あったのに本編で生かしきれなくてすまない。いや本当に。

いい機会なので、ここでフランクとの関係性の深堀を。

彼とは、幼馴染です。ただし、とある転機が訪れる迄は、〖幼馴染、それ以上でもそれ以下でもない〗そんなつかず離れずな関係性でした。

少なくとも、ウィルにとってフランクという人間が結構な意味合いを持つようになったのは、14歳の時。この時にフランクは、自主製作映画で賞を受賞した。その映画を見たウィルは、彼の自由な発想で作られた映画に感化され、自分も何か自由を手にしたいと思うようになった。そして始めたのが、フランクの映画の題材にもなっていたピアニストを倣って始めた、〖ピアノ演奏〗。

──そうです。ウィルのピアノの原点が、フランクなのです。出し切れてないので、これはまた三次創作で形にします。

今迄(この時迄は)厳格でやや抑圧されていた環境にいたウィルは、解放されたかのように、感情を吐き出すかのような豊かなメロディを奏で、それに驚いたフランクと共に映画を作ろうと誘われ、ウィルも快諾した。

外での自由と楽しみを知ったウィル、家のしがらみに、恐らく興味があった訳でもなかったんでしょうね、家に帰る頻度が下がるんですよ。自分のピアノの表現を高めることと、フランクと映画を作ることにだいぶ没頭します。きっと徹夜もしたんでしょうね。恐らく、この時点では、ロディのことは、言ってしまえば、『ただの弟』でしたでしょうし。……ここと同時期に父親の蒸発、そして、母親のロディへの虐待、入るんですよ。

そして、ロディが虐待の影響で重体になった後、フランクエマ兄妹にも何も言わずに逃げるように失踪した。

その後、お互い22歳の時に、再開した時に、また映画を作ろうとなり、三年の年月をかけて、完成させた。

簡単なフランクとの経歴でした。

さて、このフランク、自信家なくせにコミュ障なところがある、という設定があったりしますけど、ウィルには比較的自信家な面を隠すことなく話せてるところ、ウィルも、話してもいいのかとすっと言えているところを見ると、やはりこの二人、なんだかんだ〖親友〗というか、〖戦友〗というか。そんな気の置けない仲である片鱗は、確かにあるのだと感じれて、この会話好きだったりします。(故に設定本編で生かしきれなくてやっぱり悔しいのだけど)

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さて、ゲーム始まる直前の兄弟の会話。

──先に言います。結構ウィルこの後もずっとこんな調子です。驚くほどロディがいるか不安に駆られているところがあります。独り言でも「ロディ」と呟くくらい、どうしようもなくロディのことばかり考えていたんですよね。

……本当、何がウィルの足枷になっているのやら。──恐らくは、〖兄〗であることだったり、〖トラウマ〗だったりなんでしょうけど。


さて、少しの談笑、何て呼べるかは分からない会話を終え、ゲームは本格的に開始。

占い師として名乗り出たのは、三人。

マリアンヌがロディ白を携え、ロディがジェイ白を携え、ジェシカがエマ白を携えて。

そして、ロディが「占いから吊りに行くならば、イタコを出して~……」という趣旨の発言からか、ケイトがイタコと宣言。一人確定となる。

……ハッキリ言って、この時の吊りは誰にするかは、必死になって考えていたなぁ。──ただ、私が、というより、ウィルが。……人によれば、変な感覚でしょうけど、あの時、ロディを正当に守れる口実を、本気で考えていたのは、間違いなくウィルだった。

占いに手をかける流れになって、ロディの真偽は、……正直分かってはなかったね、ウィルは。寧ろ、これは『中の人』としての推理を言うなら、怪しかったですよロディ、この日に関しては。何故なら対抗の占い師を殺しに掛かっている発言を真っ先にしたのは、ロディ、君だったから。

……だからといってウィルがロディに投票できるかと言われると、話は別ですけど。だからウィルは終始「占いの真偽は分からない」と言った上で、二人の内、どっちを吊ったらロディが真の場合噛み位置になる? と考えた末に、マリアンヌ投票を、彼は選びました。……翌々考えると、この時ロディへの投票が、他二人と比べて不自然に少ないので、此処も疑念のポイントではあったんですけどね? ……ウィルの心が、それを冷静に判断できるかはさておいて。

ということで、無事に二人は吊られず、ウィルは、上記で考えた理由を携えて、ロディを護衛しました。

④4日目

さて、ウィルに襲撃が入ることはなく、四日目に入りました。(因みに三日目夜時間の会話では、ウィルも襲撃対象だったとかなんとか)

さて、夢でまた逢えた兄弟の、少しだけの会話。

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……本当、どうも呼ばないと気が済まないくらいに、ウィルはロディのことで脳が埋め尽くされています。それがウィルも、ロディに対して恋愛感情が混じり合い始めているのか。……本当にそうなら、その感情を自分が持つ資格がないと、ロディに向けるだけの器じゃないと、自分に呪いながら、それでもロディを第一に思い、名前を口にしてる、そんな気がしますけどね。

──因みにここ、気遣いで動けるようなたまではないと、ウィルは言ってますけど、お前が気遣いの塊じゃなかったら、他の気遣いが気遣いと呼べなくなるくらいには、彼は気遣いしすぎているのにね、なんて思ったりしますよ。

そりゃあ、確かに気遣いでロディのことを受け止めたりはしてないのは知ってますけど。敢えて言うなら、気遣い過ぎて、ロディのことを受け止め切れていない。そういう男ですよ、〖今この時のウィル〗は。

……格好つけようとし過ぎている、かもしれない、そう思ったかな。

感謝の言葉と、ロディがいるから己は自由な気がすると言っている彼の鍍金は、いつ剝がれるのでしょうね。


さて、話をゲームに向けましょう。

ロディはメアリー白と、ジェシカはスーザン白を提示した。そして、ケイトのイタコの能力によって、マリアンヌは『狂人』であると開示された。

──この結果を見て、ウィルはなんと思ったか。彼は、「ロディを守っても大丈夫な口実ができた」と、安堵を覚えていました。正直、占い先的にロディの方が真目でした。マリアンヌ狂人が分かったことにより、この二人が意思疎通して囲った訳ではないことが明確になった。

ハッキリ言って、盤面的にロディの真目は上がるのは実際、『PL目線』でもよく分かる事。だから、『ロディを真だと思って守った』ことにはなるから、完全に利敵にはならない。

……ただし、『PL視点』分かるのだ。三日目の夜に噛まれなかった時点で、ロディはもう噛まれない可能性が高いこと。呪われし者があるから、覚醒懸念がある、白だと思う人を、この時のウィルなら、フランクだったかな、そっちを守った方が、良策なことくらい。

──ロディ守りは、愚策か良策かと問われれば、間違いなく愚策なことは。

だけど、ウィルは耐えられなかった。守らなかったことでロディが死ぬことに。二度間接的に殺しかけた〖トラウマ〗が、良策よりも、愚策を選ぶことを誘発した。……ずっと独り、「ロディ」って、言ってた彼は、確かに何かに囚われていたのを感じましたね。

この日は真占いがまだいるということで、グレーのミカ吊りという流れになり、ウィルは、ロディを護衛しました。

──それによって、全くもってとんでもない皮肉的な盤面が、ウィルだけがしらないところで、完成することになることは、……恐らく『運命』しか知らなかった。

⑤5日目 暗に示された現実

五日目、平和な朝でした。

どうして平和な朝になったか。

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最早皮肉という言葉すら生易しい、なんて、後でこのことを知った時思いましたね。

ロディ・フランク・エマ。そう、ウィルが15歳の時、何も知らなかったあの時、恐らく、知っていた三人は人狼陣営となったのだ。ウィルだけが村陣営、つまり、『何も知らない』のだ。皮肉もいいところだ。

なんならメアリーもよく考えた時、ロディがウィルの事好きなの察してそうだし、それをニックにも共有してることまで想像したら、

……嗚呼、本当に、本当に! 考えれば考えるほど、『ウィルは何も知らなかった』『躍起になりすぎて、真実にたどり着けていない』と、ウィルだけが知らない場所で、運命だけが皮肉っていたと思うと、言葉を失う。正直、何も言えなくなってきてしまう。

彼のことを考えた時に、この時の彼は何も知らなかったとわかってはいる。分かってていても、苦笑するしかやる事が思いつかなくなりますね。

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本当、そんな裏なんて『何も知らなく』ても、時は進む。運命は兄弟を何処かへと連れて行こうとする。

ゲーム再開の前に、二人はこんな会話を交わした。

ウィルは、全てを理解できていない苦しみに何処かで苛まれながら、ロディの、「ウィル兄さんのことを好きなままでいていい?」という言葉に、「いいよ」と。「勿論」だと返す。

……この時に、ウィル個人の気持ちに即して、「いいよ」と言えていたかと問われると、演じていた私も何とも言えないですけど。ただ、それでも、ウィル也に、ロディへの気持ちの変化は、曖昧ながら覚えていたと思う。それでも、自分の気持ちが、余計にロディに痛みを与えるかもしれないことに、未だに恐怖を覚えていたけれど。


では、ゲームの話に戻しましょう。

ロディの結果はクリス白、ジェシカはマイク白。盤面としては、狼が吊れているかわからない状態の13人盤面。──そろそろ占い決め打ち・若しくは占いの白先吊りの日に入ってもいい日です。

このゲームでは、占いに手をかけることとなりました。

ウィルがどうしたかと言われると、この日迄の総合的な占い位置と、結果に納得がいくかどうか、そんなところでした。

そう考えた時、やっぱりロディに軍配が上がり、ジェシカに投票しました。……うん、これはね、ロディの中の人が中の人だから上手すぎるとしか言いようがない。そうして、ジェシカ吊りとなり、ウィルは、……相変わらずロディを守ることをやめれず、──運命の最終日へと、時は進んでいきました。

⑥6日目 運命の最終日 磔刑に処された日

六日目の始まりは、二人の襲撃の文字だった。この部屋で二人襲撃される表記が出るのは、家政婦が人狼を覗いた時だけ。

この時残り人数10人。赤茶は全て健在。

──RPP盤面です。

……まあ、この時のウィルは、知る由もないのですけど。──否、正確には、それを信じた時、もうゲームの負けをほぼ認めるような盤面であると、自ら述べるようなものであるから、『PL』としても、言えなかっただけですけど。ロディが偽で、フランクが覚醒している懸念なんて、今しても手遅れになりかねないと、分かっていた。

だから、ロディが『マイク占い』なんて、あまりにも杜撰な占いをして、違和感を感じたとしても、知らないフリをしなければならない盤面だった。

ええそうです。ウィルからしても手遅れだったんです。色んな事を懸念するタイミングが。

もうウィルは、〖ロディは真占い師である〗という前提で動かなければならなかった。

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──故の狩人であるとの宣言。ウィルはロディの灰だったから。守りはロディだけだと宣言。実際、本当にそうしていたのは事実だけど。

そして対抗でニックが宣言した事で、凡そウィルかニックの何方かを吊るか、そうなってしまう。

……ロディが真だったら、盤面上苦しいから、ウィルが吊られるという結果が変わらなかったとしても、流石にもう少し票はバラけたかもしれない。

然し、そう、『ロディは人狼』だ。

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着々とウィルは吊られる流れとなる。ロディに迷いはない。

何故か。ロディは感情を失いたくないと強く思っているから。己の願望の為に勝利を目指しているから。──結局、ウィルから、愛されたいから。だから、ウィルを、兄を吊る。己が、己である為に、我儘を通す為に、大好きな人を吊る。

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ほぼ全員に投票され、ウィルは吊られる事になる。

……──特に、この三人に、ロディに、フランクに、エマに投票をされた時、思ったことが二つ。

『人狼ゲームをしている人間』としては、恐らく今日で終わりなんだという事。

そしてウィルは、『嗚呼、自分は裁かれたんだ』そう、思ってました。

ウィルは〖兄〗として振舞っていた事を、特にロディに糾弾された様な心地になりました。それが良くないんです、ウィルは兄さん。と。どうして、〖兄〗なんて姿に囚われているの? と。そんな貴方なんて、嫌だ、嫌い、と。優しくて生温い寵愛じゃなくて、ただ、僕を見て、と。

……まあ、ロディが本当はどう思っていたかなんて、正確に知り得る術を、ウィルは持っていません。でも、ウィルは、……初めてロディの涙と向き合えた、そんな気がしたんです。心と向き合えた気がした。目を合わせることができた気がした。

──間違いなく、ウィルはあの瞬間、正しくロディに『否定』された部分があった。それが、罰を与えられたようにウィルは感じたし、宛ら磔にされた様な心地にもなった。

……〖磔刑〗等どいう表現を使ったからか、なんだか、この兄弟が、【キリストとユダ】のように見えた。……厳密には違うかもしれないけれど、矢張りほんの少しでも、その要素があったように感じる。

『神』を『兄』と言い換える。──本当に、そう見えてきてしまう。

ウィル追放の時の二人は、何処か宗教画めいていた。それだけ、妙に美しかった。どうしてか。

ウィルに迷いがなくなったから、そう私は思う。

だけど、それはウィルに神々しい要素が加わったからといわれれば、違う。寧ろ逆だ。ウィルはあの瞬間、完膚なきまでに『ただの人』に堕ちた。『兄』であろうとすることを止めた。弟を救う、弟の為の『神』であることを、その弟自身から否定された。


『弟』は『兄』に、『ただの人』であって欲しいと願った。


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やっとロディの思いに気付けたウィル。本当に、こんな時に気付くことではないと思いながら、──彼は酷く満足気に微笑む。『ただの人』として。

──これ以降、彼は驚くほど、行動に自信をもってます。

ロディがどう思うかなんて、考えなくなりました。

無理して『兄』であることを止めたウィルの中に、それでもロディへの愛情はある。どうしようもなく、強すぎる愛情が。

『兄』は磔にされ、死に絶えた。そして、新たに生まれ落ちた、否、それでも残った心は、たった一人の、どこにでもいる、だけどここにしかいない、ただ一人の人間が抱く、ただ一人の人間に対する愛情。欲だってあるでしょう、ロディが言っていたようなこともしたいと思ってしまうでしょう。それでいい。

ウィルは、この瞬間、もう迷わなくなりました。気遣いをしなくなりました。身勝手になりました。

ピアノを弾こう、と。何故ならこの気持ちを、ロディに伝えたいから。俺が伝えたいと思ったから、と。

この時、好きだと言われて、ウィル、すごく嬉しそうにしてたんですよね。まだ慣れていないからと、『愛してる』までは、『声』にならなかったけど。胸の中では、クリアにその音が形になっていた。

ロディに微笑んだ後、ウィルは〖磔刑に処された〗。そして、ロディたちが一人襲撃したことで、ゲームは人狼陣営の勝利で幕を閉じた。


⑦ミッション結果

さて、ゲームは終わったが、彼らの物語はもう少し続きます。

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本当に、朗らかなんですよ、ウィル。負けたのを改めて認識した後も。しっかりと学校に通わせてよかったなぁと、何故か真っ先に思ってました。故の嬉しいだったり。

あとは、本心を、──強引だなんてロディに言われてしまいそうだが、知れたのが嬉しかったんです、ウィルは。

だからウィルはロディに向かってずっと笑みを浮かべている。あのゲーム最終日の後からずっと。もうこの時点で、ウィルのなすべきこと、望むことは決まってます。

だから、ロディの「好き」という気持ちに、「俺も好き」だと言えるようになった。……正直、言葉で言うつもりはなかったんですよ?ただ、もう声に出して伝えられないのなら、折角ならって思ったので、これから言えなくなるのに、言わずにいるのは、勿体ないかもしれないと思って、言ったんですよね。

でも、やっぱりこれじゃあ伝わり切らないぁとは、ロディの半ば自嘲気味の笑みを見て、改めて思ったのですけど。

やっぱり、今更過ぎる、遅すぎる己の思いを伝えるには、こんな口から出てくる言葉じゃあ足りない、そうウィルは思った。

それに、ウィルは何も怖くはなかったんです。声を失うことすらも含めて。だって、ウィルにとっての『声』は、感情を奪われない限り、誰も奪う事なんて、神にだって、運命にだって奪われないものなのだから。


────こうして、二人の談笑の後、結果が改めてアナウンスされました。

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ミッションの結果は、『両方成功』。故の、声は失ったままであるというものでした。

まあ、想像はつきましたね。ロディの発言もありますけれど、抑ミッションの想像がついたのもあるので。だってらしいですもん、お互いミッションが。彼等らしいなぁって、今見ても思う。

……さて、声を失った二人は、夢から覚める。

ウィルは、……──『声』でロディに最も伝えたいことを伝えようとします。

⑧結末 二人きりの演奏会

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起き上がり、一応、喉を振るわせようとしてみる。改めて声の出せないことを実感する。

ウィルにとってそんなこと些末なことだったけど。寧ろこれで声が出たら、拍子抜けしていたかもしれない。もっと別の『声』を使う気しかなかったのだから。

治癒の魔法のかけられたロディよりも覚束ない足取りで、病院の中異彩を放つ、そこだけ別世界に切り取られたようなグランドピアノの前に座る。

息を吸い、鍵盤に力を込める。ウィルにとっての『コエ』を、奏で始める。

手が思うように動かない。ロディとは違って、己には治癒の魔法がかかっていないから、まだ身体が思うように動かないのも理由になってはいるだろう。だけどそれにしたって、自分の演奏ってこんなにも下手くそだったっけ? そう、ウィルはこの時思いました。

今更、怖くもあるし、こんなこと初めてだった。自分勝手な気持ちをもって、自分以外の誰かの為に曲を奏でるのは、十年以上ピアノに触れ、公でも評価される『ピアノ奏者』が、今更初めて行う事だった。

そして怖くて堪らない。どうして今更怖いのか。これが本当の気持ちだと分かっているからだろうな。欲張ってしまっているとも言える。今更拒絶されたくない。今更、離れてほしくない。否、もう離したくない。ロディを今度こそ、守らせて欲しい。俺にロディを幸せにさせて欲しい。

全て伝えきるには、自分はなんてまだまだ実力が足りていないんだろうと、この時痛感もしているんじゃないかな。

不格好な演奏なのは、きっと技術的なものが理由だけでも無いのでしょう。きっと、ウィルのロディへの感情が、そもそも格好付けていた今迄と比べたらら、どう足掻いたって格好つかないものでもあるんだろう。

……だけど、こんな気持ちを持っている自分が、何処までも誇らしい気持ちって、あるんだと思います、ウィルの中に。呪いの様な縛りで守るのではなく、ただの〖ヒト〗として、我儘な気持ちで幸せにしたいと思う、守りたいと思うなんて。

──コイツ、本当に自信持つようになったなぁなんて、演じながら思いました。嗚呼でも、それくらいロディの事好きなんだなぁ、愛しているんだなぁって、彼らのことは一番近くで見てきた存在の一人ですけど、痛感しました。

ウィルは、間違いなく〖完璧〗からは程遠くなりました。どうしようもなく〖ただの人〗に堕ち切りました。あの演奏は、誰が聞いても『不完全』な旋律です。──だけど、完璧でない故に、完璧以上の演奏を、彼は確かに奏でることができるようになった、そう思えます。

二人は、確かに『声』は失ったけど、『コエ』は届く。そう確信の持てる結末を迎えました。最も幸福な運命に、ウィルとロディは辿り着けた、そう、私は思います。

台本を用意していたわけではないからこそ、半ば確信をもって言えるのですが……、ウィルは、声を失って、本気でよかったと思っているんじゃないかって思うんです。一種の等価交換をした心地ではありますかね。『声』を失うことで、彼は『コエ』を、本当の想いを手に入れた、とは思ってそうですね。ま、ロディの声もう聴けないのは、自分に対する罰なのかなぁと受け入れながら、今更未練を持ってる自分を見つめて、失笑はしてそうですけど。

なんにせよ、この時気持ちを『コエ』に込めるのに必死で、やってないですけど、──キスできると思いますよ、彼。終わった後に、抱きしめたりキスしてないって叫んだ彼は実際いましたし(笑)

──こうして、すれ違っていた兄弟は、お互いの心を通わせることができ、末永く愛し合うようになりましたとさ。めでたしめでたし。

……なんて、言いたくもなるような演奏会ができていた気がします。


⑨ 感情を失った時のウィルについての憶測

蛇足ですが、他の結末についても、個人的な意見を。

どちらかの声が戻った時は、正直、うまくは須増出来ないですね。恐らく今回辿り着いた運命には近いのかな、くらい。……あんなに『不完全で美しい演奏』ができていたかは、知りませんが。

──ただし、感情も失った時に関しては、この結末を辿ったからこそ、確信を持てることがあります。

もし、感情を失うことになった場合、ウィルは『兄』として完璧になったのだろう、と。

……この結論、本番前の演者同士の打ち合わせに出した私の結論とは違うものなんですよ。私は、彼の感情を追体験させられる迄、〖ロディ個人を想う感情と兄弟愛は、延長線上にあるのではないか〗と、思っていたんですよ。

──そうではなかったのだと、彼とちゃんと対話をして理解しましたが。

『ロディを想う感情』と、『弟を想う感情』は、間違いなく別の思考が生み出していたものだった。大切にしていたのは、正確には、他人主体で抱いていなかった感情は、前者だ。

……不思議ですね? これじゃあまるで、ウィルもロディに前から恋をしていたみたいに聞こえるじゃないですか。……実際どうだったかなんて、答えは出しませんが、敢えて。

なんにせよ、これで『弟を想う兄』として、これで完璧になります。この兄弟に関しては、『兄』を『神』と見立てることが出来る。

──嗚呼、間違いなく『完璧』な演奏が出来るようになるでしょうね、ウィルは。それだけは、憶測を残しておきます。

……私はもう、幸福の運命にたどり着いた彼等しか、もう、これっきりはみませんが。

⑩ お終いに

…………改めてなっげえ。ここまで流し読みでも斜め読みでも付き合ってくださってありがとうございます!

RP利敵なし人狼、時々流れてきては、興味津々に眺め、自分もこういう世界を、キャラの心を、少しでも伝えるをしたいなぁ、なんて、夢見ていたりしてました。今回思い切って参加して、本当に良かったなあと、改めて思います。こういう形式、改めて好きだなぁと気付けました。キャラの感情に左右されて、それでも推理をして、彼らの運命を観測する、その楽しさを改めて知ることが出来て、本当に良かったなぁと。

改めまして、主催のなごんさん、ロディの『コエ』を代弁してくれたコウさん、一緒に運命を共にした、14人の夢の同居人、本当に、ありがとございました!

これにて、まとめとさせて頂きます。以上、ウィルの演者兼、ウィルロディ兄弟の限界オタクの、日月葉桜でした!

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