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【BL漫画レビュー】覆面×聖母の救済BL『インモラルと紙袋』おまる著


こんにちは!ボーイズラブレビュー屋さんのぴさんです。

個人的におまる先生の作品が大好きでこんなに素晴らしい作品を描く人間は国が保護すべきだし(オタク好きなものを宝箱にしまいがち)全人類に‘良さ‘を知ってほしくてこのノート群作り始めたまである。

そんなおまる先生の商業デビュー作『インモラルと紙袋』の感想レビュー始まります。

あらすじ

男子高校生のイチは好奇心からゲイ向けチャットで知り合ったヒロという男とチャットエッチを始める。最初は馬鹿にしていたイチだが巧みな言葉責めや誰とも知れない画面越しの相手の言いなりになる背徳感からかいつの間にかチャットエッチにはまっていってしまう。

チャットでの行為で収まらない二人はその続きを現実に持ち込むがホテルに現れたヒロは紙袋を被っており!?何やら事情のありそうなヒロだが高まった興奮の前には些細なことで、顔の見えない相手との行為に耽ていくイチであった―――。


チャットセックスと覆面セックスて性癖の海かよ!(まあそう)

クラフト紙に自慰配信DKのようなエチ絵・タイトルよりでかい作中の言葉の羅列が目を引く本書ですが面白いのが題材です。まさか商業誌で覆面攻の単行本を出す時代が来るとは・・・。あとがきに書いてあったのですが覆面に関してはふゅーじょんの担当さんだとか。ふゅーじょんぷろだくとからは『覆面男子』という商業アンソロジーも出ているようです。絶対その人の趣味だ・・・。(私はまだ読んでいないのですがもし読んでよかったと思う方がいたらコメントなどで教えてください。)


二次創作ではたびたびモブとして出てくる覆面ですが今回はメインカプ、しかも純愛です。最初はギャグ、もしくはエッチ全振りかな~とあまりストーリーに期待せず読んでいたのですが、いや、涙止まらんな


ノンケDK聖母受によるトラウマ持ち攻救済BL

攻のヒロは過去ゲイであることがバレいじめにあい学園生活に苦しい思いをしたことが明かされます。もともとおとなしかったであろう彼は教室の片隅からカースト高男に憧れとも劣情ともとれる感情を抱いたまま大人になり、過去憧れていたところに立つイチと出会います。チャットで出会ったのは偶然ですが、過去の経験からもイチの天真爛漫さにヒロはどんどん惹かれていきます。

好奇心旺盛なイチはヒロの紙袋の中を暴こうとしますが紙袋の下にいる自身を知られることによって幻滅されてしまうかもしれない、そんな不安から強い言葉で拒んでしまうヒロ。心の中でわだかまりを抱えつつも二人の関係は加速していきます。

しかしある日イチが女の子に告白されている場面に出くわすヒロ。彼はもともとノンケ、さらにうら若きDK。現実に頭を殴られ自分の欲望に巻き込んではいけないと気付くヒロはイチを犯し嫌われようとしますが、イチはそんなヒロの弱さごと‘‘赦し‘‘てしまうのでした。

あわわ・・・太陽の聖母受、攻の仄暗い感情すべてを受け入れ包み込み‘‘赦し‘‘を与えてしまうんじゃ・・・。ヒロの覆面も心の壁のメタファーなのかなと思います。イチはそんな壁まで含めて赦し、愛しているというのね・・・。

3話の‘‘赦し‘‘シーンでは思わず聖母マリアで画像検索して出てくるんじゃないかと思うくらい(むしろ出したい)、美しい浄化が描かれています。(最初聖母マリアの画像と該当シーン並べてほら!!!!したかったけど絶対買って読んでほしいからやめた。友達の聖母受好きな人に見せたら限りなく近いマリアと天使の画像送られてきた。)

おまる先生の他作品も読んでいますが救済BLを得意としている様に見受けます。同時収録の『かなし君』を筆頭に『さよならコンプレックス』『カーテンコールにはまだ早い』『それでも好きです笠原さん』(いつか全部のノート書きたいな・・・。)基本軸が救済です。陰キャ・陽キャが出会い、闇へ進む相手を日の光の下に連れ戻す話が多いです。ツイッターでたまたま知ったのですが商業デビューのきっかけになったらしい(?)作品がpixivにありました。

R-18作品ですが、救世主描写が露骨ですね!感謝!!!これも思春期の仄暗い劣情を抱えた陰キャがノンケ聖母陽キャに赦される話です。ここから商業デビューが決まったというのですから見つけていただいたふゅーじょんぷろだくと様には頭が上がらねえ・・・。

90年代×令和のエモ新しい漫画

また、おまる先生は90‘s漫画の懐かしさを感じつつもそれだけでなく新しい風が頬をぶん殴っていくような独特な画風でまさに令和に名を馳せていくだろう期待の作家様です。画風だけではなく表情の描き方がいいです。喜怒哀楽どれをっとっても魅力的で、ページごとに印象に残る表情が描かれているといっても過言じゃないですね。(読んだ方に伝わってほしいんですけど、なんでそんな覆面の男なんかを・・・て聞かれているときのあとから読み返してあ~と思うイチ君の含みのある顔が個人的にツボだなあ。)

90‘s風といえば春泥先生なども有名かと思いますが、春泥先生はネオ90‘s(平成・令和に90‘s風漫画を描く)という印象ですがおまる先生は90‘sのエッセンスを足したと言うほうが私の中ではしっくりきます。

覆面純愛BLもっと増えてもいいと思う

覆面でアマゾン調べたけど上記リンクともう一つくらいしか出てこなかったな。純愛覆面もっとあってもいいと思うけど・・・。(見落としあったら教えてください。読むので。)

覆面にそもそもの需要が少ないのか、覆面によって心情変化を表しにくいのか、なんにせよ今後の開拓が期待される土壌ということです。

ふゅーじょんぷろだくとさんへ 受が紙袋被らされているボーイズラブを出してください!(欲望に素直なオタク)

さいご

今の時期のような、周りがピリピリしていたりでもやもや・むかむかなど気持ちがすさんでいる人に読んでほしい作品です。一緒に聖母受に救済されましょうね。