言えなかった言葉を言える日

明日の予告先発が発表された。札幌ドーム今シーズン初の有観客試合の先発は、上沢直之。

忘れもしない去年の6月、横浜スタジアム。ピッチャー返しの打球がエースに直撃したあの日、きっと全てのファイターズファンから笑顔が消えたと思う。さらに病院での検査結果を聞いたときは絶望したはずだ。膝蓋骨骨折。今季絶望、どころか選手生命が危ぶまれるほどの重症だった。

SNS上ではその日、球団の垣根を越えて #頑張れ上沢 というタグをつけたツイートが溢れかえりトレンド入りまでした。感動的な光景と言えるだろう。けれど自分はそういうものだとわかっていてもその状態の上沢に「頑張れ」と言うことがどうしてもできなかった。今は頑張らなくていい、頑張れないときもあるんだよ。そんな思いでいた。


その後の「上沢が開幕を追い越してしまう」と言われるほどの回復ぶりはファイターズファンはほとんど知っているだろうから省くけれど、とにかく彼の一軍復帰登板は札幌ドーム開幕戦だった。ドラマティックというかなんというか…いやここはマロンティックと言わせていただきたい。北海道のTV局では試合前に上沢の特集を組み、応援する側の気持ちは否が応にも高まっていた。「上沢が札幌ドームのマウンドに帰ってきただけで満足」という状態。上沢に向ける気持ちは「頑張れ」よりは「ありがとう」だった。

結果的にその日上沢はファンの想像を超えた素晴らしいピッチングを見せてくれた。甘く見ててごめんなさい!と謝りたいレベルで。ただ球数制限なのかイニング制限なのか5イニングでマウンドを降り、残念ながら勝ち星を掴むことはできなかった。


さて、明日はどうだろう。前回登板から二週間空き、更に準備が進んだ状態。5イニングを超えて投げる姿を見られるんじゃないか。そうであれば、満を持してこう叫びたい。


頑張れ上沢!!!


実際には叫ぶことは出来ないが、あの日言えなかった言葉を拍手でもなんでも伝えるチャンス。気持ちが高ぶって、気づいたら明日のチケットが購入済みになっている始末である。

明日こそ勝ち投手になって、「勝つまで変えない」と言っていた痛々しいレントゲン写真アイコンから卒業してもらわなければね。溺愛する娘の写真アイコンにしたりするのかな、なんて幸せな未来予想をして明日に向かう。

頑張れ上沢!!!



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