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高木紗友希の去り際〜恩義と正義〜

高木紗友希、3月末日をもって専属マネージメント契約を終了。
彼女の主張には正直落胆した。基本的にUFには辛口な僕からしても、今回ばかりは事務所の対応に非は感じられず、むしろあの状況から他の形ででも復帰させてあげようとする温情からは、最大限の譲歩と慈愛が感じ取れた。これだけ義理堅く最後まで所属アイドルの面倒を見てくれるアイドル事務所が他にあるだろうか。その点ではいつもながらUFには頭が下がる思いだ。

「Juice=Juiceでいられないなら退社したい」

気持ちは分かる。だがあまりに一方的なその文脈からは都合が良過ぎるようにも聞こえ、少しばかり身勝手な印象をも受けた。自身の進退を考える時、ファンの気持ちをどれだけの時間を使って考えただろうか、と。

1ヶ月。それ以上?

彼女の中で応援してくれる人達が一番ではなかったことを表すかのような発言、という心象があった。もし彼女がファンの気持ちを十分に理解し、考えに考え抜いたのなら他の選択や、去るにしても他の言葉があったはず、いや、それを出すべきだった。

あるいはそこまで考えが及ぶ余裕が無かったのかもしれない。
でも、そうであっても…だ。
1ヶ月あれば考える時間はある。ファンの姿を顧みたり、心を落ち着かせて自分が置かれた状況をじっくり把握できる余白はあったはずであって、決して言い訳にはならないし、してはいけない。彼女の立ち回りから責任感を感じられなかったことは、騒動そのものよりも残念に思えた。プロではなかった、と言ってしまえばそれまでか。

無論、ジュースはおろか仮にソロで、あるいは別の形で会社に残りたいと彼女が主張してもファンは認めなかったかもしれない。会社側がいくらサポートしたところで、あの状況からしてまず無理だっただろう。それでも償い方をどこかで埋めようとする心意気がもしもあったなら、少なくとも「Juice=Juiceでないのなら辞めたいので去ります」という主張を投げる以外に誠意を見せる方法が他にあったのではないだろうか。

去ったことが問題ではない。
が、去り際の在り方には失望した。結果的に恩を仇で返すだけになってしまったようなイメージが何より悲しく、素晴らしい歌声を持っていた彼女だからこそ今回の顛末は残念でならない。エッグから長くハローに在籍した人の中からは、恩義を受けた相手に対し後ろ足で砂をかけるような人は出て欲しくなかった。ファンに関してはさておき、せめてもの救いとして、彼女と事務所との間に相応の謝罪と話し合いが十分に持たれ、双方が納得のいく結果があったと信じたい。



一方でハロプロを去るや否や、早々と個人のSNSを立ち上げたとのこと。あれだけの騒動を起こしたからには複雑な思いを抱いている人も少なくはないだろうし、そう容易く音楽やタレント活動を再開できるとは思えないが、ハロプロ以外でなら無条件に再出発できるという安易な心得違いだけはして欲しくない。動乱を被らされた人間に対し手を差し伸べてくれた事務所。ここでできない人は、他ではもっと難しいはずなのだから。個人的には彼女の今後に同情はできないが、僅かながらまだ付いて来てくれるファンがあるとすれば、今までの分も彼らを大事にして欲しい。

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