箱根の物語を、箱根で働く人たちのお芝居で
忠臣蔵・四十七士の討ち入り話、日本ではとても有名なお話です。実は、私がコンサート活動でお世話になっている400年の老舗 箱根甘酒茶屋さんにもただならぬ関係があります。
この四十七士達の隠密行動はスピンオフとしても人気で、その中に『神崎与五郎 東下りの詫び証文』というのがあります。隠密行動をしなければいけない剣士『神崎与五郎』が、道中で馬子(馬を引く仕事)の酔っ払い『丑五郎/うしごろう』に絡まれ、『大事の前の小時』と土下座に耐え、その上『自分が悪かったというお詫びの証明書まで書かされる』、という屈辱的な物語です。最後は神崎与五郎の討ち入りを知った丑五郎の、後悔と反省で幕を閉じるという、なんとも日本的な戒めの物語です。
この詫び証文がどこで起こった出来事なのか?箱根説、三島説?またどこまでが事実なのか?など史実的には賛否両論あるようなのですが、歌舞伎などで上演される時は、箱根甘酒茶屋さんがその舞台となっています。そんなことからも、箱根甘酒茶屋さんを訪れる人がおられ、密かにご当地物語としても知られているのです。
箱根甘酒茶屋 十三代目店 主山本聡さんは、この丑五郎が『反省をする』シーンが大好きで、自身のお店が歌舞伎の舞台にもなることから、様々なイベントを開催してきました。その中のひとつに私の演奏する『箱根八夜』特別演目『東下りの詫び証文』のお芝居があります。実は、私もこのお芝居に『演者』として出演しているのです。イベント時の記録動画をご覧くださいませ。
神崎与五郎役・山本 聡(箱根甘酒茶屋十三代目店主)/馬子の丑五郎役・高梨五十六(箱根じんりき)/甘酒茶屋三代目店主役・広瀬哲哉(ハーモニカ奏者)ナレーション・山本道子/ギター・中村アキラ
丑五郎役の高梨五十六さんは箱根で人力車をひく現役車夫、TVチャンピオンの箱根クイズ王でもあります。長身と精悍な顔つきが役柄に説得力を与えます。ナレーションの山本道子さんは店主聡さんのお姉さま、語学にも堪能で、私も別な企画でナレーションを依頼させていただいています。ギターの中村アキラさんはコンサートからの続投です。
私はもともとリハーサル時の代役でしたが、そのまま本番まで出ることになりました。元の役者が子供でしたので、私が声を高くしていた流れで、本番も『目玉親父』のような声でやることになりました。私はもともとBGMとSE(効果音)担当でしたので、役者をやりつつハーモニカを吹いています。
この詫び証文は様々な形でイベント化されており、四十七士の討ち入りの日である12月14日には箱根甘酒茶屋主催で『与五郎祭り』が定期開催されています。ここでは講談師 若林鶴雲(かくうん)さんの迫力の講談がお楽しみいただけます。司会と演奏は私と、ギタリストの渡邉英一さんでお届けしております。(このイベントはお昼で、電気も使うイベントです)イベント時の記録動画をご覧くださいませ。