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コスモスか?君は!

 〜 伝説巨人イデオン・サイドストーリー 〜

●ナレーション
亜空間飛行中のソロシップ。束の間の休息も、戦士たちには次の戦いの準備でしかなかった。

ベス
「どういうことなんだコスモ。なにをそんなにムキになって。言いたいことがあるなら、はっきりと言ったらどうなんだ。」

コスモ 
「だってそうだろ。『イデオン1号機』『2号機』とかで、別にいいじゃない。その方がてっとり早いよ。」

カーシャ
「あたしはコスモに賛成よ。確かに最初に『イデオン・足』なんて呼ばれて、腹を立てはしたけど、全部に名前をつける必要があって?なんだか滑稽だわ。」

コスモ
「シェリルさんはどうなのさ。頭がいいんだろ?こういう時こそ、なんとか言いなよ。」

シェリル
「嫌な言い方。あなたそういうところ嫌われてよ。まぁ、『イデオ・デルタ』『イデオ・ノバ』『イデオ・バスタ』については悪くないと思うけど、車両形態での名前を、あえて変える必要なんて、本当にあるの?ベス。」

ベス
「あるね!それが軍というものさ。少なくとも私はずっとそうして生きてきた。いけないか!」

カララ
「私もよろしいでしょうか?」

カーシャ
「何よ。のこのこしゃしゃり出てきて、自分の星の言葉にでもしたいって訳。いちいち話を混ぜっ返さないで欲しいわね。」

ベス
「やめないか、カーシャ!」

カララ
「いいのです、ベス。ありがとう。。。」

シェリル
「それで、カララは何か気になるの?この名前。」

カララ
「はい。そもそも、『イデ』なる謎のエネルギーによって我々は導かれ、この戦いは始まりました。『イデ』自体が存在するのは、もはや疑う余地のない事実です。ですが、一体、誰が、いつ、なんのために、、、、巨人の方に(オン)を付け、『イデオン』としたのでしょう?」

コスモ
「オモチャ屋さんじゃない、そういうのはさ。」

ベス
「コスモ!言葉に気をつけろよ!」

コスモ
「へいへい、お堅いのね、軍人さんはさ。」

カララ
「話を戻しましょう。すでに『イデ』は『イデオン』として存在しており、人々にその存在を示しています。オープニング曲での4度の連呼もありますので、無垢な子供たちならすでにその名を覚えてしまっているはず。もし、(オン)をつけたことで何かしらの問題が生じるとすれば、すでになにかしらの『示し』が、私たちにあるはず。そうでしょう?ですから。。。」

シェリル
「『イデ』にも、名前についての、意志があると、、、正論だわね。」

カララ
「はい。であれば、まず考えるべきは、波動ガンを安易に『イデオン・ガン』と呼ぶ我々に、今現在災いが降りかかぬ以上、そのような流れの名前を、『イデ』は望むのでは、と思うのです。」

カーシャ
「じゃあ何、あなたは『イデオ・バスタ』ではなく『イデオン・バスタ』にすれば、それで『イデ』がご満足っていうの?ほんとに異星人っておめでたいのね。」

コスモ
「じゃあさ、とりあえず、それで行こうよ。『イデオン・デルタ』『イデオン・ノバ』『イデオン・バスタ』、いいじゃない、それで。」

デク
「めんどくさいよ、そんなの!ならさ、ただの『デルタ』『ノバ』『バスタ』でいいじゃん。俺、いちいち長いの覚えらんないよ!」

ベス
「ダメだダメだ。そういうのは。後先、いろいろ問題が出てくるもんだ。決める時には、決めにゃあいかんのだ。いいじゃないか、『イデオ・デルタ』『イデオ・ノバ』『イデオ・バスタ』で!なかなかだと思うがな。」

カーシャ
「何よ、にゃあって、、、いきなりじゃなくて?。。。ベスは自分が考えたから、そんな風に言うんだわ。」

コスモ
「へぇ~、じゃあさ、カーシャなら、なんて呼ぶのさ。さぞかし高貴な名前がおありなんでしょうねぇ~。」

カーシャ
「あたしはね、それぞれに名前をつける必要がない、ってことを言ってるだけなの。走ろうと飛ぼうと同じことではなくて?それでも、あえてそれぞれに名前を付ける必要があるというのなら、それこそ。。。それこそ。。。」

シェリル
「それこそが何者かの、意志、、、そう言いたいのね?」

ギジェ
「オモチャ屋の意志、、、そう考えれば合点が行く。やがてバラ売りを行うためにも、今のうちにそれくらいはしておこうと、いったところかな。」

シェリル
「金型の型番整理や伝票の関係とか、、、意外とそんなところかもね。たまらないわね、冗談ではないわ。そんなに、ガンプラ並みに見込まれたって、すぐに答えなんで出ないのに。だいたい視聴率だって余裕は、、」

ギジェ
「シェリル、それ以上は。。。」

シェリル
「わかってる、わかってるわよ。バカみたいね、意地になって、みじめね、私。。。」

ベス
「なら、『ソル・アンバー』『ソル・バニアー』『ソル・コンバー』の方は、何も問題はないのか?自分としては、一応、洒落た名前をつけたつもりだが。」

カーシャ
「ベス、もうちょっと自然なのはなくて?『ソル』だのなんだの言われても、こちらにはちんぷんかんぷんで。『イデ・アンバー』とかならまだしもね。そうじゃない?コスモ。」

コスモ
「俺は『ソル・アンバー』『ソル・コンバー』はいいと思よ。ベスにしちゃなかなかだ。だけど『バニアー』っていうのはさ、なんかどうもね。いっそ、『ソル・アンバー』『ソル・インバー』『ソル・ウンバー』にしちゃったら?」

カーシャ
「嫌よ、あたし、『ウンバー』なんて。不潔よ、汚らわしいわ!」

コスモ
「なんだい、お高くとまりやがって。だってさ、ベスさん。どうするのさ?

ベス
「そうだな。まぁ、緊急という訳でもないしな。決めたものの、実際には一度も呼ばなかった、なんて事もあるかもしれんし。。。よし、この件はまた改めるとしよう。」

カララ
「私たちは、、、試されているのですね。。。『イデ』に。」

●ナレーション
ソロシップの旅はつづく。

「、、、はっ、、、、、あっ、いかんいかん、え?どこ?、、、品川?、、、危なかった、乗り過ごすとこだったよ。いやぁ、それにしても、まったく変な夢みたよなぁ、、、、」

2018.4.17