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「トキメいたら変わるもの」 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第1話より

 学校の授業が終わり、「放課後」となる。学生の自由時間が始まる。部活動に向かう子、そのまま真っ直ぐ家に帰る子、教室に残って友達とお喋りしている子、塾に向かう子、過ごし方はそれぞれだ。

 お台場にあるマンモス校、私立虹ヶ咲学園の制服に身を包んだ、高咲侑と上原歩夢の放課後の過ごし方は、学校近くのショッピングモールでウィンドウショッピング。小腹が空いたら美味しいコッペパンが待っている。小さい頃から仲良しの二人ならばどこに行ったって楽しい、同じ場所だって楽しい。

 ウィンドウショッピング中に見つけたピンク色のドレス。襟元に大きなフリル、そして同じくピンク色のリボンがとても可愛い。

そんな可愛いドレスを勧める侑に対して、そういう服はもう卒業だと返す歩夢。

「着たい服着れば良いじゃん。歩夢は何着たって可愛いよ。」
「もう……またそんなテキトーなことを……。」(※1)

「また」と返すということは、これまでも侑は歩夢に言っていたのかもしれない。


「何着たって可愛い」

それは

「どんな姿だって可愛い」

それは

「本当の魅力は可愛い服ではなく着ている歩夢そのものだから」

でも

それを「テキトーなこと」だと思う歩夢。


この物語はそんな歩夢が自分自身の魅力に気づく物語。侑の言葉を信じて輝く物語(と、なったら良いな)




 いつもの放課後に衝撃が走る。稲妻のような、燃え盛る炎のような景色が目の前で繰り広げられる。ひとりで、たったひとりで歌う少女から。

今日初めて観た子だった。あれもしかしたらどこかで見たかもしれない。でもこんなにも歌って、踊って……曲は知らないけれど、いや曲も知らないのに大好きは伝わってくる、この子にもう一度会ってみたい!




 でもこの子を見つけることは出来なかった。なんでも、スクールアイドルを辞めたらしい。そしてスクールアイドル同好会も廃部となったらしい。







 なんてことはない。いつもの放課後に戻るだけの話。いつものように二人で楽しむ日々に戻るだけの話。別に始まったわけではないから、終わったわけでもない。何も失ってはいない。何もいつもと変わらない。


明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。(※2)


 夕方、演劇部であろう子が高らかに放っていたセリフ。幸福が一生来ないなんて大袈裟だ。充分今だって楽しくて幸せのはずだ。
二人は自宅であるマンションの前に着く。この後マンションの同じ階まで歩いて、それぞれの部屋に帰る。寝て起きたらいつも通りの明日が待っている。



いつものように美味しいコッペパンを半分こに分け合って食べる明日が待っている。お台場で好きな洋服がないか探し回る明日が待っている。気になったシャツをまた見に行く「明日」が待っている。




そんな「明日」が「やって来る」




 「私はスクールアイドル、やってみたい!」(※3)




 「やってみたい」と言えたのは自分の気持ちに素直になりたいから、素直になりたくなったのは、自分の気持ちをまっすぐに伝える術とその凄さを知ったから。
そして、その想いを「高咲侑」は見守ってくれるはずだと思ったから。



この物語は、いつもの明日が変わり始める物語。

きっと「あなた」の明日も変えてくれる物語。



※1~※3全て
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第1話
「はじまりのトキメキ」より

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