岐阜地裁に新しい風

今年に入ってから岐阜地裁での準抗告認容事例が続いている(とはいえ3件)なので、少し振り返ろうと思う。

裁判所によって、準抗告(というかその手前の勾留段階)で弁護人の主張の通りやすさの高低は間違いなくある。
去年までの実績を踏まえた当職の感触として
名古屋地裁本庁、名古屋地裁半田支部は勾留請求却下を得やすい
名古屋地裁一宮支部はたまに勾留請求却下できる
名古屋地裁岡崎支部、岐阜地裁本庁は検察庁の支部ではないか
という感じであった。
もちろん自分の実力の足りなさを棚に上げて、裁判所の当たり外れを論じても仕方ないが、体感で少なくとも20件は勾留請求却下(準抗告認容を除く。)を獲得した当職の肌感覚として、「この事件は、名古屋の本庁なら身柄でるだろうけど、岐阜地裁なら出ないかもな」というものはあった。

今年4月に異動があって、約3月。岐阜地裁本庁に新しい風が吹いているように思われる。
1件目。意見書で勾留請求却下の裁判を求めたが、勾留されたものの翌日に準抗告を提出(意見書で追加の記載事項はないが、別件との関係上翌日申立になってしまった)し見事認容された事例。
2件目。侵入盗事件において勾留期間延長請求の全部の却下を求め、予備的に5日を超える部分を却下するよう意見書を提出したが、10日まるまる延長決定されたのに対して、同趣旨の準抗告を即日(意見書から変動なし)提出すると見事認容されて延長が5日になった事例。
3件目。インターネット犯罪において勾留期間延長請求の全部の却下を求め、予備的に3日を超える部分を却下するよう意見書を提出したが、10日まるまる延長決定されたのに対して、同趣旨の準抗告を即日(意見書から変動なし)提出すると見事認容されて延長が5日になった事例。
というように、4月の異動から3月のうちに3件の準抗告認容事例がある。

当然、当職の弁護士としての実力が成長していることも影響しているであろう(傲りではなく、そうでないと困る。)が、それが一番の要因ではないだろう。なぜなら当職の弁護士としての実力が成長していることが一番の要因であるなら、意見書段階で意見通りの裁判がされており、準抗告をする必要がないからである。
そうすると、当職が成長している(はず。でないと困る。)ことに加え、主たる要因として岐阜地裁刑事部のメンバーがそこそこ入れ替わった点を見逃すことはできないだろう。
すなわち、意見書段階で不合理な判断をしてしまうクオリティの低い裁判官が少なからず岐阜簡裁に配属されており(準抗告は事後審なので、原決定が不合理であることを指摘することになる。上記の通り当職の主張は意見書段階と準抗告段階で全く変動がないから、変動がないのに判断をひっくり返される原決定裁判官は質が低いと言って差し支えない。)、かつ、岐阜地裁に身内を擁護することなく「おかしいものはおかしい」とちゃんと言える裁判官が揃っているということである。

岐阜地裁に新しい風が吹いていると言って差し支えない。これを機に、自分も弁護士として能力を磨き、より良い弁護に努めたいと思う。

公開後追記
なお岐阜地裁本庁での準抗告認容事例が4月から7月からの間で3件というに過ぎず、よそでも身柄解放が成功していることはいうまでもない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?