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Music Video『WEB iDOL』①


3月14日、Music Video『WEB IDOL』が公開されました。



メイキングは破滅ロマンスInstagramなどにアップしていく予定ですのでここでは完成までのプロセスや思い出を書いていきます。




◆楽曲『WEB iDOL』について
◆映画『Cosmetic DNA』大久保監督
◆評価・値段・数字
◆主演、采乃さん
◆撮影準備(衣装・美術セット)


予定◆撮影開始
|     ◆撮影後
|     ◆おわりに

だいたい時系列順でまとめました。
尚、内容については関係者からの了承を得ています。


◆楽曲『WEB iDOL』について
元メンバーのナガタトモヤがこのトラックを持ってきた時に「ダサいかも…」と本人がまず自信なさげで(ダサクナイヨ)私もAメロが作れずボツになりかけました。
でももうサビは聴いた瞬間から頭にいて、サビのメロを歌いたいからぬるぬる取り掛かり始めました。


才能もないし愛想もないし
消えたい夜が飽きずまた明ける
もう終わりたい もがくと痛い
やめられないだけ

この詞が生まれた時に自分に刺さりすぎて、その後はぼやけていた輪郭がはっきりと見えて破滅ロマンスの音楽となりました。
すでに配信リリース、そして本曲が収録されている2ndEP『電波is魔法』という作品名も『WEB iDOL』の歌詞からとっています。
元よりインターネットを甘くみていない私は、昨今の情勢によってライブ以外でも届けることへの熱がさらに上がっていました。
『電波is魔法』という言葉そのものに強い願いを込めています。

2ndEP『電波is魔法』
イラスト きいさん


リリースから時間が経っていくにつれMV化したい気持ちが強くなっていました。
誰かにお願いする方が精神的な負担が大きいから自分でやる、という根本的な性格と今までの経験から監督は今回も自分でやるつもりでした。
そんな中で出会ったのが大久保健也監督です。

◆映画『Cosmetic DNA』大久保監督
定期的に映画館に行きたい気持ちになって上映されている作品で気になるものをふらっと観に行く。
2021年11月1日もそんな気分で動いた日でした。

女の子三人が寝そべるピンクのポスターに[ざまあ見ろ、女をなめるとこうなるんだ]の文字。
映画『Cosmetic DNA』を選んだ私を褒めたい。
えらいスピリチュアルを働かせている。

あらすじなどは公式サイトリンクにて、ストーリーに触れる感想についても一旦割愛させていただきます。

低予算が伺えるながらも、それがあえてかのように癖になるジャンク感に作用されていて、鳴りっぱなしの音楽と毒々しくて可愛い映像とテンポの良い展開。
観終わったあと「この監督にWEB iDOLやってもらったらすごい良さそう」と思わざるを得なかった。
そして偶然にも主演の藤井愛稀さんのお誕生日で舞台挨拶付き。
もう依頼したい気持ちが70%あったのでどんな人なのか興味津々だった。

最初こそゆっくり静かに話すのが印象的でしたが「ありがとうございます。」の一言すら声を張らないし、抑揚がなくて本当に思っているのか疑わしいレベルだった。
登壇した関係者の方しか向いてないし、そちらにしか話しかけない。
表情も見えない。
結局、大久保監督が客席を見ることはほぼなく横顔だけ認識して舞台挨拶が終了した。
好きでした。
まず、感謝してないわけがない。
これは私が創っている人でもあるから勝手にそう思っている。
「ありがとうございます」「すみません」など
感謝や謝罪にふさわしいテンション感という色をつけて声に出すというのは比較的多くの人が自然にできる。
そこに本当に心がこもっているかは重視されない場面の方が多いと感じる。
私の生活シーンでいえば主にキャバクラやライブハウスの打ち上げなど。私的には後者の方がコミュニケーション能力を問われるので疲れるし出たくないし帰りたい。時給出ないし。
話が逸れました。
とにかく愛想良くしたほうが良い場面で上手にできない人を気にしちゃう性格も相まって舞台挨拶は好印象でした。
一言で言うと人間嫌いの人間好き、大久保監督からはそんな部分が見えました。
(初打ち合わせででこれ言ったら「あ〜、そうです。」て笑ってたので当たり!)


依頼を快く引き受け入れてくれてくださり主演募集を開始しました。

主演募集要項
SNS管理されてる事務所所属の子も
応募しやすいように電話番号ものせた
みんなわざわざ別アカウントつくって応募してくれた
電話していいのに


私と大久保監督は反応が返ってこないことに慣れてしまっているせいか「10人とか来てくれたら嬉しいですね…。」と、期待すると傷つくことが分かっているのでかなり弱気でしたが「言霊ってあるから!」ってなって、「5000人の応募者の中からまず1000人に絞って〜」とか「300人になった段階で〜」とかバカでか数字で話していました。
言霊の件からずっと私ですが。
大久保監督は笑ってのってくれるので打ち合わせのたびに楽しかったです。
実際そこまでいかなかったにしろ、皆さんの拡散のご協力によって予想より応募数があったので書類提出が一次審査として設けられました。

◆評価、値段、数字
活動をしていると自分だけでなく他人のフォロワー数というのも気になります。
どれだけ数を持っているか、FF比があるか。
値段をつけられて、つけていく。
フォロワー数が少ない順で組まれたブッキングライブの出演順。
いろんなものをすり減らし自分の最高を叩き出したものがいいねやRTや再生回数、動員数などという数字に殴られて自分自身を何度も殺される。
そんな日常が『WEB iDOL』の一部です。
結果、殴られること殺されること含めて作品になってしまうのが本作。


しかし既に私は人を数字で見ることに関しては一抜けしているつもりでいます。
インターネットや表現とは無関係というか重視していない子たちが周りに多く、自分の力や個性、知識を武器にも盾にもして生きることを充実させている。
その一挙手一投足に刺激を受けることが多いことに気がつきました。
私の達したい地点に行くために他人の有名は関係ない。
その価値観で人を見ることはいずれ死ぬ私にとって大きな損害だと知れました。
愛想をつくれるのは30分までなのでプライベートでも仕事でも面白い人と過ごすのが有益です。
「もっと利己的に考えろ」とメンバーのRYに言われたことがありますが、どこに誰に時間とお金と心を費やしたいか考えて人付き合いしているので利己的な方だと思います。
むしろRYこそ頼られたら助けることが当たり前で平等に優しい人間なくせに、曲がりなりにもキャバ嬢の私になめた口聞きやがって。
怒ってないです。双方愛情です。分かってます。

もちろん知名度だってその人が築き上げた努力や魅力の賜物なので無碍にしていません。
むしろ誇るべきものであっていいと思っています。
しかし似た傷と人間の“いやらしさ”も持ち合わせながらもがき苦しむ最中であり『WEB iDOL』が突き刺さった表現者と出会いたいと思いました。

◆主演、采乃さん
一次書類選考だけ私も関わらせていただきました。
初めてのことで手順もグダついてしまい応募者の方々にはご面倒とご迷惑をおかけしたと思います。

魅力的で、熱意も見せてくれる素敵な方々にご応募いただけました。
嬉しかったです。
書類上の経歴だけでなく、私自身もその才能を知っていて贔屓目なしに監督の目に留まるであろう子たちも参加してくれました。
ちなみに認知あるなし問わず私からプッシュした事実はありません。
本当にぜひ演じてもらいたいなと思う方が多くて、ずるいですが私が選考に肩入れして合否をつけるのはかなり辛いというのが40%で、60%は信じた大久保監督にお任せしたい気持ちでした。話していくうちに私の音楽も自分のもののように大切に扱ってくれるのが言葉の節々から感じられたのが理由です。
今作は巡り合わせがなかったとしても一部の方々とはまた機会があったらどこかで携わっていただきたいなと勝手ながら思っています。

最終選考。大久保監督とリモートオーディション。
その中で抜擢されたのが采乃さんです。

采乃さん
宣材写真


私が楽曲について説明して訴えかけずとも監督自身が『WEB iDOL』の想いを汲み取ってくれて、曲に寄り添いさらに芝居に抽出できる人を悩みながら決めてくれました。
私にとっても采乃さんは一次選考で「この人に演じてもらいたい」と思った一人です。
楽曲への強い共感の他、特に印象的だったのが自己PR欄の文章。


[(略)自己PRが苦手です。どんな印象をもたれるかとかを賢く考えようとしてしまいます。(略)なので正直なことしか書いていません。 ]
(略)の部分は今の采乃さんに成る経緯やその時の心情などです。

この文章に私への信頼を感じました。
どんな印象をもたれるか賢く考えるというところまで曝け出しても良い相手なんだと。采乃さんにとって賭けだったのかもしれませんが私はそう捉えました。
ご本人にもお伝えしましたが、文章からざらつきを感じるほどに真で、芯で、ぶつかってきてくれたことが嬉しかったです。

◆撮影準備(衣装・美術セット)
スタイリングと美術をやらせていただきました。
こだわりを書き始めると長くなりそうなので省きます。
そのうちZINEとかでまとめたいなって思います。
絶対可愛い。
他の方々が携わってくれた部分だけ触れていきます。

アイドル衣装は梅星えあの衣装でお世話になっている、こむぷれっくす。に依頼しました。
当初『電波is魔法』ジャケットの衣装をそのまま再現しようと思っていましたが、打ち合わせの結果、今まで私が作ってもらった衣装のオマージュにしました。

初回打ち合わせ
おぐちゃんさんのラフ


MVではほぼ分からないと思いますが過去作の要素を含みながら新しい素材にも挑戦した特注品。
ヘッドドレスやチョーカーは、デザイナーのおぐちゃんさんのご好意で制作してくれました。
作中に登場するポスターの納期を考えるとかなり日がなく、爆速で衣装を仕上げていただき、無事撮影を開始しました


カメラマンは夕さん。
普段はサラリーマンをしているのに、いつもギリギリのお願いでも必ず飛んできてくれます。
ポスター撮影で采乃さんとは初めてお会いしました。
明るくて話しやすい子、という印象を多くの人が持つと思います。
でも私は書類選考で知った部分、あくまでそれだけに過ぎませんが、撮影しやすい空気を采乃さんも作ってくれているのかなと感じました。
考えすぎかも。
ちなみに私も「明るくて話しやすい社会適合モード」を備えていますが創作となると空気を読むことが疎かになるのでそんなに良い顔している余裕がないです。
映えるメイクを施したあとはアイドルソングを流したりながら夕さんが主体で進めてくれる撮影を見ていました。

ポスターには使用されなかったVer.


撮影前日。
大阪から東京に大久保監督が到着。
私の部屋、美術セットの確認などをしました。
毎日こつこつ溜めた大量のゴミが部屋中に散りばめられます。
私は片付けるのが苦手なだけでさすがに汚いのは嫌いなんだなと認識しました。
ペットボトルや缶は丁寧に洗い、メイク用のパフや薬の殻、チラシ等のにおいがないゴミだけ残して、食べ物等のにおいのあるものは捨てる。
置き場がなくなりトイレにもキッチンにもゴミの山が積み上がりました。
約3ヶ月もセットに“使えるゴミ”と“使えないゴミ”という目でゴミを見ていたので最近まで“使えるゴミ”に対して「使えるのにもったいない、、」と思っていました。
全部使えないゴミなのに。
習慣って怖い。


撮影前日の思い出として印象に残ってるのが機材レンタル会社と私が電話してるとき。
スピーカーにして会話してたんですがスタッフが愛想なくて、電話切った後に「今の人、めちゃくちゃ怖くないですか?自分だったら何も言えなくなっちゃう...。」て監督が言ってたので、意外とメンタル弱いんだな、私も撮影中気をつけようと思いました。
なぜ意外なのかというと舞台挨拶の時に「面白くなかったとか悪い意見も聞きたい」みたいなことを言ってたのでそこそこ強いのかと。
まあでも自分の作品の感想もらうのと人との会話は全く別物ですね。
そのあともう一度その怖い機材レンタル会社に電話かけると「この電話はサービス向上のため録音させていただきます。」のアナウンス。
「サービス向上する気あんのかよ。した結果があれか。」と言ってる途中に先程の愛想ないスタッフが再登場して全くサービス向上してないまま対応されました。
私はアパレル店員や美容部員以外は態度悪くて愛想ない店員が好物なので平気です。


次回、【Music Video『WEB iDOL』②】
撮影開始です。





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