遡る」っていいカンジだなあ

 未開の地を下ると小川があった。生き物がいて、幼少の夏は毎日遊んだのではないかと思う。
 図鑑ではなく本物の生き物と遭遇するうちに、川の上流へ向いて生き物探しをしていた。
 あるとき、川遊びに新人が来たのだろうか。どういうわけか、もっと上流を目指そうと歩いて行った。幼稚園を卒業したての身には倒木や急流は相当アドベンチャーだった。途中、木苺を見つけた。食べたりポケットに入れながら遡っていった。ユリとスイセンの間のような白地に黄と紫の模様のある花が咲いていた。家に持って帰ろうと取ったかもしれない。
 沢の水が細くなりチョロチョロとした流れしか聞こえなくなると山の木々は高く、崇高といったらいいのか、なにかとんでもないところに来ている気がした。そして沢の終点があった。泉というか枯れ沢の滝壺というかそういうところに着いた。ウシガエルだったかカメだったか、主がいて水の中に消えた。
 小川の終点を見つけたときは、大いに感動し、時間があるとき、友達を連れて何回か行ったように思う。そのうち滝壺の上はどうなっているのか、新たなアドベンチャーが始まった。が、木々がなくなり土地が開けると、それは空しくも雨天時の農村の堀に続いていた。

 だんだん小川に行く気持ちが薄れ、その下流で合流する2級河川位の川まで行って遊ぶようになった。

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