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DeNAの年俸査定基準を考える(野手編)

オフシーズンは契約更改で、現在ベイスターズの選手達も更改の真っ只中です。これによって年俸が上がる者、下がる者など色々と出てきて選手にとってはある意味、1年で1番緊張する場面かもしれません。ただファンにとってはある種のショー的な感じにもなっていて、推定ですが年俸も公開されています。

そんな年俸ですが、果たしてDeNAはどういった基準で査定しているのか、気になり調べることにしました。DeNAはデータを重視する球団ですし、査定の基準もかなりシステマチックにやるはずなので他球団に比べると基準は割と見えやすいと思います。今回は選手を何人かピックアップして、調べてみることにしました。

投手と野手では査定の基準も異なりますので、まず今回は野手編という形でやっていきます。

筒香嘉智の成績と年俸推移

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まずは2019年時点でDeNAで最も高い年俸を貰っている選手、筒香についてまとめてみました。筒香は入団時から今まで、2013年の契約更改を除いて全て上昇してきました。

筒香が1000万に到達したのは2年目の契約更改時で、この年は1軍で160打席に出場、8本塁打を打っています。この時点ではまだまだ1軍主力とまではいえない成績ですが、160打席と8本塁打を球団は評価して1300万としたと考えられます。

筒香の年俸が大幅上昇したのは2014年でした。この年は規定打席に到達し、打率.300 本塁打22本 OPS.902と完全に主力として活躍してます。前年が56打席のみということもあり、ここで一気に急上昇しました。2012年にも規定打席には到達していますが、この年は打率.218 本塁打10本 OPS.661と主力と言うには厳しい成績で前年からも下がっているので、規定打席に載ったというだけの評価になっててそこまで伸びてないと考えられます。

1億の大台に到達したのが2015年でした。この年は500打席以上の規定打席到達。打率.317 本塁打24本 OPS.922と前年からも打席数・成績を伸ばしており、2年連続規定打席到達で好成績を残したことが評価されたことと考えられます。

翌年の2016年は更に大幅増加で年俸は3倍の3億になりました。この年の成績は、500打席以上の規定打席到達、打率.322 本塁打44本、OPS1.110で本塁打王・打点王のタイトルも獲得しました。3倍になった理由として考えられるのは前年成績をさらに上回ったことと、タイトル2冠を獲得したことでしょう。それ以外にも3年連続で規定打席到達、打率3割以上、OPS.900以上で好成績を残してきたことなど、球団から最も信頼の置ける打者と認められたことが考えられます。

2017年・2018年は打率3割到達こそできてないものの、規定打席到達、打率.280以上、本塁打25本以上、OPS.900以上を継続できており、安定感をずっと示してきていることから毎年5000万ずつのアップになっていると言えるでしょう。2019年は打率.280を切ってOPSも.900を切ってしまったので、仮に契約更改があったとすると40000~43000万ぐらいに落ち着いたかもしれません。

ここまでの筒香の査定を節目で見ていくと

①1000万到達

1軍150打席以上。8本塁打以上

②1億円到達

2年連続での規定打席到達・打率3割・20本塁打以上・OPS.900以上

③3億円到達

3年連続での規定打席到達・打率3割・20本塁打以上・OPS.900以上、本塁打王・打点王のタイトル2冠

といった基準になってると考えられます。

宮崎敏郎の成績と年俸推移

宮崎

続いて宮崎の成績と年俸推移です。宮崎は入団時は850万でした。そこからまず1000万に到達したのが3年目の2015年で、この時の成績は163打席、1本塁打、打率.289、OPS.693となっていました。筒香の査定基準にあてはめると、150打席以上というのが筒香の1000万到達時と同じで、本塁打1本ですが打率.280以上というのが筒香より良くなっています。これらの要素から1000万超えが達成できたと言えるでしょう。

宮崎が規定打席に到達したのが2017年で、この年は打率.323で首位打者のタイトルも獲得しています。この年の契約更改は年俸8000万でした。タイトル獲得者が1億載らなかった理由として考えると、宮崎はこの年が初めての規定打席到達だったこと、OPS.900に載っていないことなどが理由と考えられます。筒香の1億到達時は2年連続打率.300 20本塁打 OPS.900超えとなっているので、DeNAとしては単年だけの活躍ではなく、複数年での活躍が大台の条件になっていると考えられるでしょう。

そして翌年の2018年は見事に大台の1億を大幅に超えて1.6億という評価を得ます。この理由は上記に書かれた通りで2年連続での規定打席到達・打率.300以上、本塁打28本、OPS.894という成績です。これは筒香の1億到達時と変わりないぐらいの成績ですし、前年にタイトルを獲ってることも反映されての1.6億という評価になっていることでしょう。

2019年はやや成績が下がりましたが規定打席到達は継続し、打率.280以上、本塁打15本の成績を残していますので、予想としては1.2億程度に収まるかと思われます。宮崎がここから3億に到達するには筒香と同じ規定打席到達・打率3割・20本塁打以上・OPS.900以上を2年連続で継続し、タイトル獲得が必要になってくるでしょう。


梶谷隆幸の成績と年俸推移

梶谷

梶谷は筒香・宮崎と違って2軍暮らしが長かったことと、1度は1億到達したもののその後大幅ダウンしてしまった経験があります。こうなった場合の年俸推移についても考察していく必要があるでしょう。

梶谷が1000万に到達したのは2012年で、ちょうどDeNAの初年度でしたが、この年は1軍で250打席に出場しました。打率など成績面は正直良いものとは言えないですが、この打席数が規定打席の半分以上になっている点が評価されて、1000万到達といえます。筒香・宮崎と同様に1000万到達には1軍打席数が大きな要素を占めていると言えますね。

2014年に梶谷は初めて規定打席に到達しました。成績も打率.263、16本塁打、OPS.793という成績で1軍戦力として良い働きをしたと言えるでしょう。このオフは前年からの倍増で4600万になっています。その後2015・2016年と連続で規定打席に到達していますが、ここではまだ1億の大台に到達できていません。筒香・宮崎は2年連続規定打席到達で1億に到達していたことを考えるとやや年俸の伸びや鈍いようにも見えますが、この理由を考えると成績が影響してると言えるでしょう。

筒香は2年連続打率3割超え、20本塁打超え、OPS.900超え

宮崎は2年連続打率3割超え、15本塁打超え、OPS.800超え

梶谷は2年連続打率.280未満、20本塁打未満、OPS.800未満

この成績の差がなかなか1億の大台に到達できなかった理由と考えられます。そんな梶谷も2017年オフに1億の大台に到達しました。この時は4年連続規定打席到達、打率は.250を切ってるものの20本塁打到達の成績になっています。到達の理由としてはやはり4年間安定して規定打席に載ったことと、本塁打を20本以上打てたことが挙げられるでしょう。

しかし2018年には限度額いっぱいのダウン提示をされ、1億の大台から落ちてしまいました。理由としては前年規定打席だったのに、この年は打席がわずか137打席まで減ってしまったことで、少ない成績の割に打率.260 8本塁打 OPS.841と結果を残しましたが、それでも1億に留まることができませんでした。やはり継続して規定打席に載り、安定した成績を残し続けることをDeNAの査定では重要視していることが分かります。

まとめ

DeNAの年俸査定基準を考えるにあたって、DeNA体制の生え抜きで年俸1億以上に到達した経験を持っている3人の成績と年俸推移を見てみました。

この3人の査定から見えてくる基準をもう1度おさらいしてみると、

①1000万到達

・1軍150打席以上・8本塁打以上

・1軍160打席以上・打率.280以上

・成績関係無く1軍250打席以上

②1億円到達

・2年連続での規定打席到達・打率3割・20本塁打以上・OPS.900以上

・2年連続での規定打席到達・打率3割・20本塁打以上・タイトル獲得

・4年連続での規定打席到達、1度の本塁打20本超え

③3億円到達

・3年連続での規定打席到達・打率3割・20本塁打以上・OPS.900以上、タイトル2冠

④1億円からの転落

・前年規定打席から1軍150打席未満に下落

こんな風な基準になっていると考えられます。実際にこの基準で査定しているかどうかは分かりませんが、これまでの査定から考えるとある程度これに近い基準になっていると思われます。DeNAに関しては査定基準も明確だと思われますので、今後も1億円や3億円に到達しそうな選手が出てくる場合、これらの基準が参考になってくると思われますので、比較して予想することもできるかもしれませんね。


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